誘惑について

太陽が照りつける夏の浜辺や、通勤客でぎゅうぎゅうづめになった満員電車や、暗い夜道などを舞台にしたTVドラマや映画などでは、しばしば、肌の露出の多い女子などが性的被害を受けた際の男性側からのコメントとして、「あんな格好して、誘われるのを待ってたんだろ」などというものがあり、こういうのを引き合いに出すのはあまり適当でなく、不適当かもしれないものの、それの男性版・CD版がわたしであると考えていただいてもあまり間違いではない。

その手の誘惑は非常に多く、実際の店舗に行かなくても、家でインターネットをしていたりするといつの間にかCDのことが書かれたページを見ていたりするし、挙句の果てには、アマゾンやHMVは定期的に新譜情報を送りつけてきたりする。そしてわたしもわたしで、ある一定確率でその手の誘いに乗ったりするものだから、被害を受けて警察に「ひどいCDです! 取り締まってください!」などと訴え出たとしても、警官は顔も上げずに書類を作成しながら「あんたのほうにもスキがあったんじゃないの~?」などとつぶやくに違いない。

それにしてもいつもながら感動的なのはシカゴのダスティ・グルーヴ・アメリカの品揃えと価格。新品と中古の両方を扱うオンライン・ショップであるこのサイトのなかで、ほとんどの場合は「New CD's under $9」のコーナーしか見ないのだけど、毎回毎回、知らないCDがこんなにあるのか、と心地よい驚きがあるし、でもって7、8枚買ったとして、送料も込みで、ディスクユニオンで中古盤を買いあさるのとさほど変わらぬお得感が得られる。

で、ブラウズしているとアマゾンだかHMVだかからメールが届き、ヴァーヴとイムパルスの名盤が1100円で一挙発売! だとか教えてくれるもんで、喜び勇んで見に行ったら、残念ながらというか案の定というか、何度も何度も再発されて出がらしたようなカギカッコつきの「名盤」ばかりなのでした。もちろん内容のよいものが安定供給されるのはいいことだけど、コルトレーンの同じアルバムを2年おきに再発してどうするよ? 旧譜を売ること、イコール、名盤の品番だけを変えた再発、だとしたらひどい。100タイトルなり出す中に、初CD化が1枚もないのは異常だと思わないのだろうか。

書きながら思い出したのだけど、こんなに怒っているのにはわけがあって、そのラインナップのうたい文句が「現在CD化されていないリクエストの多かった名盤」とかだったからだ。そう聴けば、たとえば10年近く前に一度CDになったけどそれっきりだったものとか、輸入盤は出ていたけど国内盤になっていなかったものとかを思い出すのが普通だろう。それでいて、ラインナップがこれこれだからね。もちろん、この100枚自体が悪いとはひとことも言ってないよ。ただ、このうち多くが2度も3度も再発されているはずで、そうしたものを「ジャズ・ファン納得のシリーズ。」と言ってのける面の皮の厚さにあきれているだけの話。

自社で権利を持っているもののうち何が価値があるのか判断ができぬまま、とりあえず数だけ出しているような会社の商品には、いくら安くともそう簡単には誘惑されない。いくらわたしでも。

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あさっての土曜日、「黒の試走車」です。19時から23時まで、場所は渋谷のメスカリート。数日後から渡米して1年間戻ってこないらしいsteinさんがゲストとして登場。渡米前最後のDJなのかな? お見送りがてら、遊びにきてみてください。もうひとりのゲストは1月にも出てくれたkoyoくんです。お楽しみに。
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by soundofmusic | 2010-03-04 17:23 | 日記 | Comments(0)


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