女の顔も履歴書

d0000025_259627.jpg気になりつつも見逃していた、というか、あんまり割引システムが充実していないので行くことが少ないイメージフォーラムでの上映だったので意図的にスルーしていた、オリヴィエ・アサイヤスの「クリーン」を見ました。場所は下高井戸シネマ。落ちてきた新作を効率よくフォローできる確率で考えてみると、ここは東京でも最強の映画館のひとつかもしれません。

さて、「クリーン」、うっかりスルーしっぱなしにしなくてよかった。母親版「レスラー」か、川を渡らない「フローズン・リバー」か、どっちにしても正しくないたとえですが、要はベタでけっこうじゃありませんか、と開き直りたくなる映画。マギー・チャンが演じるのは、もともとは歌手で、ケーブルTVの司会なんかもしてとんがった格好をしてた、という役どころ。日本で言えば誰だろう。YOUとか濱田マリ?

で、その、自身もドラッグ中毒である主人公が、夫であるミュージシャンをたぶんオーヴァードーズで亡くして、息子と暮らせるように人生を立て直す話で、クリーンって、そういう意味です。見づらいですが、写真を3枚載せておきました。上から、前半の、まだドラッグが抜け切っていない顔、中盤の、立ち直るべく中華料理屋で働いているときの顔(まだやややさぐれ気味)、後半、息子と一緒のときの母親の顔。

とにかく最初のほうのマギー・チャンの、美人の面影はすっかりこそげ落ちて、いかにも年食ったロックのひとにありがちな(というイメージの)不健康さに驚く。まともな大人として年をとれないライフスタイル+ドラッグの影響、というか、肩肘張って音楽業界渡ってきました、というか。なんかこういうひといるよなあ、と。

ところが後半、クスリが抜けて、新生活へと走り出すころには、別人の顔になっている。ゆでたまごみたいな、つるんとした顔。単純な母性崇拝ではなくて、人間の顔は事実として変わるのだ、ということがひとつの映画の中で示されていて、よかった。

マギー・チャン以外にも、女優の顔が気になる映画ではあった。アサイヤスの女性の好みがわたしと似ているのか、あるいはアサイヤスが女好きであるかどちらかだと思われる。たぶん後者だろう。マギー・チャンがいろいろ就職活動するうちで、いまは成功している旧友を訪ねる場面がある。その旧友のアシスタントであるサンドリーヌ役の、レティシア・スピガレッリというひとも、妙な色気があって気になって仕方がなかった。写真を探してみたけれど、これだ!というのが見つからない。とりあえずこういう顔ではあるのだけど、これだと、なんだかそこいらにいるひとみたいでもある。

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撮影のこととかにも触れておきたいとも思うが省略するとして、音楽ネタも多くておもしろかったです。CDのジャケのデザインの打ち合わせをしている劇映画って、初めて見たかもしれない。セリフには「Q」とか「モジョ」といった音楽雑誌名が出てくるし、担当の女の子があなたに夢中だからドリームワークス(このレーベルももうないわけですが)と契約できる、なんてのもあった。

「Q」も「モジョ」も、わたしが名前を知っているくらいだから有名雑誌に違いない。日本のロック映画で似たようなことが可能だろうか、と考えてみると、やっぱり難しいだろう。やればいいのに。「あいつはロッキングオンの誰それと寝たらしいよ」とかそんなセリフの入ったロック映画を。

それにしては、「クリーン」、最後にとってつけたように、この日しかスケジュールがあわない、と言いながらパリからサンフランシスコにレコーディングしに行くので、ホントかよ? とちらっと思ってしまいましたが、まあ、映画なので許す。

革ジャン姿でコンビナートを背景に喫煙するマギー・チャンのささくれだった感じとか、最初のほうに出てくるバンド、メトリックのライヴ・シーンとか、かっこいいです。ロック映画ではなくて「ロック好き映画」として、正しいたたずまい。なぜか全面的にフィーチュアされているブライアン・イーノの音楽も、ナイス。

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27日のPPFNPの詳細が出ています。お店の都合で今回は、18時~20時半までの変則時間帯での開催です。お気をつけください。

恒例のアンケート冊子、現在鋭意製作中です。イヴェント当日までには余裕で仕上がっているはずなので、参加してない方は、ぜひもらいに来てくださいね。アンケート参加するつもりでまだ提出していないひとは、なるべく早めにお願いします。
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by soundofmusic | 2010-03-12 02:59 | 日記 | Comments(0)


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