おひや

いま勤めている会社は、ま、仕事なので、とくに面白いはずもないのですが、どんな仕事でもそうであるように、その仕事をしていなければつかうことのない言葉をつかう機会があるとはいえる。

といったことを考えたのは、いつだったか、どこかで食事をしていて水をもらうときに、おひやをください、と言ったときで、おひやって、若いころは自分のつかう言葉じゃないと思っていた。いつごろから使用可能になったか忘れましたが、まあ30すぎてからでしたでしょう。

18歳のころ、大学の同級生と一緒に食事しに行ったとき、彼がまとめて会計をすることになったとき、お店のひとにごく自然に「おあいそお願いします」と言ったのにも衝撃を受けて、どれくらいの衝撃だったかというと、まだそれを覚えてる。たぶんいまだに、自分でおあいそ、と言ったことはない。彼は関西出身だったが、あっちのほうだと10代の少年の言葉づかいとして普通なんだろうか。

サーヴィス業に携わるものとして、つかってみたい言葉として「手前ども」がある。どさくさまぎれに使用した履歴はありそうだけど、ごく自然に口から出てきて、聞いたほうにも違和感を与えないためには、あと5年10年、必要かも。それまでいまと同じ仕事をしているとしたらそれはそれで問題だけど……。

同じように、使用法がよくわからぬままでいた言葉のひとつとして、パーティ・バンド(もしくはパーティ・アルバム)がある。パーティ、というのがまずわからない。宴会、あるいは居酒屋での呑み会ならわかるし、そこでかけるにふさわしいロック・アルバムなんてのも、考えれば思いつきそうだけど。

なんてことを考えながら昨日は六本木のビルボードライヴに赴き、ジム・オルークのライヴを見てきました。彼が最近、いろんなヴォーカリストを迎えて作った、バート・バカラックのカヴァー集の発売記念ライヴ。ということで、ジムさんをバンマスにしたバンド(けっこう豪華メンバーだったっぽい。ドラムスはウィルコのグレン・コッチだったし)に、細野晴臣、カヒミ・カリィ、やくしまるえつこ、青山陽一、小池光子、坂田明といったゲストが出たり入ったりして、曲ごとにヴォーカルがかわるというもの。

演奏はどうしても即席感が否めず、進行も淡々としていて、アレンジも一般的なバカラックのイメージから大きく逸脱するものもなく、上のほうの席から、フライの盛り合わせ食べつつ、ジーマ飲みつつ聴いていたら、同じクラスのジムくんのバンドが学園祭に出るから見に来ました、みたいな気分になってきました。

そうか、パーティ・バンドとは、日本語にスライドすれば学園祭のバンド、ということか、と妙に納得すると同時に、90年代初頭、フジテレヴィかなんかで、夜中、ピチカート・ファイヴがバカラックの曲をやる番組? を見たのを思い出したりしていた。あれこそ由緒正しい学祭ノリ≒パーティ・バンドだったな、と。
[PR]
by soundofmusic | 2010-04-16 16:12 | 日記 | Comments(0)


<< 難しい発音 ディランにて >>