難しい発音

この間の金・土・日と、ツタヤが旧作レンタル100円セールをやっていた。おいおいあれもこれも100円だったらみんな借りられちゃうよ、と巨大なあせりをかかえながら土曜日の昼過ぎに池袋のロサのツタヤに行ったら、意外といろいろ残っていて、何枚か借りたついでに、デイヴィッド・ジョーンズ「チャーリング・クロス街84番地」を借りてきた。

どう控えめに見積もっても感動的としか言いようがないヘレーン・ハンフの原作をそのまま映像にしたような、小細工をしない感じがわりあい好ましかったのだけど、気になったのは例によって邦題のこと。原題は84 Charing Cross Roadで、これは、原作者のハンフと手紙のやり取りをしていた、ロンドン市内の古書店の住所。だいたいこのあたりです。

地図を見てみると、ここは、英国フォーク史上で最重要クラブのひとつ、Les Cousinsがあったグリーク・ストリート49番地とも近いみたい。この、Les Cousinsという店の名前がイギリス人によってどう発音されていたのかは以前から地味に気になっていることのひとつ。しかし今回の話題はCharing Cross Roadの発音のほう。

わたしはたぶん少なくとも1回は、84 Charing Cross Roadの前を通ったことがあるはずだし(そのころはこの本のことは知らなかったけど)、テムズ川沿いにはCharing Crossという駅もあるから、地下鉄のアナウンスなどでCharing Crossと発音されているのは何回も聞いたことがあると思う。わたしの感覚だとそれは「チェアリング・クロス」であって、だから江藤淳が訳した中公文庫版のタイトル「チャリング・クロス街84番地」はまだしも、「チャーリング・クロス」はほとんど許容できない(けど、日本版のグーグル・マップもこの表記)。

わたしがチェアリングだと信じるのは、Room sharingがルーム・シェアリングであるのならCharingはチェアリングでしかありえないだろうという発想からで、でも、こうした論理的一貫性は、英語には存在していないことも少しは知ってる。

ということで、ネイティヴの発音はないかしらとWikipediaをあたってみたけど、発音は載ってない。そのかわり、こんなものを見つけて、ひとしきり読みふけってしまう。これは旅行関係の掲示板だろうか、南アフリカのひとが、まさにCharing Crossの発音について訊いている。いわく、「ケアリング・クロスでしょうか、チェアリング・クロスでしょうか、それともほかの発音でしょうか」と。みんなの書き込みをひとつひとつ読んでいくと、どうやらチャリング・クロスが優勢らしい。「チェアリング・クロスなんて発音しているひとには、うちの爺さん以外、会ったことない」との書き込みもあって、これにはショックを受けた。

そのうち話はどんどん逸れはじめて、というのはつまり、どこでもそうでしょうけど、ロンドンには、部外者には発音しにくい地名がたくさんあるのだ。地元民の間でも複数の発音が混在していたりもする。Leicester Squareがレスター・スクウェアなのは有名だけど、たとえばMaryleboneに関しては意見が割れまくっている。

挙句の果てには、「そもそも、Pronunciation(発音)をどう読んだらいいのか、それが難しい」と言い出す奴まで現れる始末。2004年に行ったっきりのロンドンに、ひさしぶりに遊びに行きたくなる。
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by soundofmusic | 2010-04-21 04:56 | 日記 | Comments(0)


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