経済

d0000025_16285335.jpgHMVの渋谷店がこの夏に閉店になるそうで、たぶん30代以上のひとを中心に、例によって追悼の言葉が渦巻いているみたい。わたしが言うまでもなく、センター街の奥にあったころの店舗が渋谷系のそもそもの発祥地だったわけだけど、わたしが東京に来たのは1991年だから、当然その店舗には何度も行ったことがある。

まあそれはそれとして、なぜ閉店になるのかといえば、それはもう、(店で)CDを買うひとが少なくなったから、で間違いないんだろう。わたしはCDは安いところで(輸入盤や中古盤を)買うし、かつ、国内盤の新品CDってほとんど買わないから、いきおい、HMVの実店舗を利用する機会も、最近ではほとんどなかった。WAVEがなくなったときのほうが、いまよりは多少驚いていたとは思うけど。

今回考えたのは、本当にそんなにみんな、音楽にかけるお金が減っているのだろうか? とか、高校生だって、CD1枚1500円だったら、わりと気軽に小遣いで買うんじゃないか? とか、そういうこと。そこで、なぜそんなことをするのかわからぬまま、わたしが音楽にいくらくらいお金をかけているか、公表してみることにする。

小遣い帳によれば、去年1年間でわたしが音楽に使った直接の金額は約66万円。それだけの額を、CDとレコードの合計589枚と、ライヴ20回でつかった。クラブ・イヴェントにはたぶんほとんど行っていないし、ヤフオクやユニオンでCDを売ったことも、たぶん去年は一度もない。

ちなみにこの、毎月平均55000円という金額は、食費よりは多いけれども家賃よりは少ない。そういう金額。もっとも、10年前は、ヘタするとこの倍近く浪費していたから、それを考えると、たしかに音楽にお金をかけなくなったともいえる。

大人のこづかいのつかいみちとして、月55000円ってどんな程度のもんなんだろ。毎月そのくらいの金額を呑んでしまうひとはいそうだし、洋服や靴やカバンを買うひともいるだろう。本を5万円買ったら、読みきれないしな。もちろん、毎月5万円分のCDも、聴き切れないに決まっている。

聴きたい音楽がない、というのは一種の怠慢だと思うけど、音楽は聴かなくても困らないものだから、そのことを責めるつもりはない。ただ、音楽から遠ざかってしまったひとが、ノスタルジーだけでHMVを追悼するんじゃ、HMVがかわいそうだろうとは思う。とはいえ、個人個人が自分の思い出を語っているのだからといわれたら、反論はできない。だから最後に、ジャッキー・マクリーンの言葉を紹介しておく。たぶんすでに何度か紹介した気もするけれど、「トリビュートは、その対象が生きているうちにやるべきだ」というのが、それです。

なくなったものに向かって気の利いた言葉を投げかけるヒマがあったら、黙ってCD買ってやってよ。

(この話題はいろんな方面に向かってふくらんでいきそうな感じもします。本屋についても似たようなことがいえるだろうし、そもそも国内盤CDの値段は適正なのか? とか。ミュージシャンの数が日本とは比べ物にならないくらい多いと思われるイギリスにおける産業構造はどうなってんのか、とか。ただし言えるのは、ミリオンセラーが出なくなったことをネガティヴにだけとらえるのじゃなくて、身の丈にあった売れ方・買い方が普通になったと見るべきなんじゃないかとか……きりがないので以下略)
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by soundofmusic | 2010-06-09 16:29 | 日記 | Comments(0)


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