笑っちゃうリズム

d0000025_04822100.jpg大和田俊之の「アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで」(講談社選書メチエ)を読んだ。最初の1章にはかなり興奮したものの、読み終えてみると、よくも悪くもアカデミシァンの書いた本だなという印象。眼からウロコが何枚か落ちたので充分もとはとったつもりたけど、いままでに読んできた忘れがたい音楽本の何冊かであるとか、この本を紹介した佐藤良明のブログの記事であるとか(余談ながら、佐藤良明がブログをやっていることは今回はじめて知った)、あるいはこの本に取り上げられている音楽そのものであるとか、そういったものほどには、残念ながら、グルーヴしていない。

そこに眼をつむれば、アメリカ音楽を偽装≒他者になりたい欲望で読み解き、白と黒の交わる地点にラテンという名のナタで思い切り切り込むような論の構築の仕方は充分にスリリングだし、まあ必読といえるでしょう。

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とはいえですよ、音楽ファンのはしくれたるもの、こういうことは本ではなくてレコードから教わりたいのであって、これを読んでいる途中にディスクユニオンで買ったアルバム『ヒア・ウィ・ゴー・アゲイン』は、そういう意味でも刺激的だった。

カントゥリー界の異端の大御所ウィリー・ネルソンと、ジャズ・トラムペットの優等生ウィントン・マルサリスが、ラヴィ・シャンカールの娘のヴォーカリスト、ノラ・ジョーンズをゲストに迎えるというだけで充分にワクワクするわけなのだけど、さらにはこのアルバム、レイ・チャールスのカヴァー集。

ざっくり言ってソウル歌手としてだけみなされているかもしれないレイは、ジャズのビッグ・バンドの体裁でカントゥリー&ウェスタンをやったアルバムがあったり、あるいはほとんどジャズ・ピアニストに近かったりと、なかなかに一筋縄ではいかない男。

写真はアマゾンに掲載されている、『ヒア・ウィ・ゴー・アゲイン』の曲目表。カッコ内はリズム・パターンを示しているもので、これはCDの裏ジャケットにも記載がある。この手の表示は、わたしにとってはおもに昔のラテンのアルバムで懐かしいものなんだけど(というか、ほかでは思いつかない)、たとえば1曲目からして「Gospel 2-Beat/Boogaloo/4/4 Swing」であって、いったいどう踊ればいいのか、これでは途方にくれてしまうだろう。7曲目の「Boogaloo With Afro-Latin Backbeat/ 4/4 Swing」なんてのも笑えてしまう。

踊るためとしてはときにほとんど用をなさないこうした表記は、レイ・チャールスの、ひいてはアメリカ音楽のときにバカバカしいほどの多様性を端的にあらわしている気がして、おもしろい。

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今晩です! アメリカ音楽とその他の音楽の多様性を自腹を切って買ったCDを使って再現するイヴェント、PPFNP! みなさんこぞって渋谷にお越しください!
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by soundofmusic | 2011-05-14 00:50 | 日記 | Comments(0)


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