コラージュ

d0000025_20541594.jpgときどき、思い出したみたいにBBCのラジオを聴くのですが、このあいだ、1996年を振り返るみたいなコーナーがあった。その年に流行った曲を紹介する、日本でもまあありふれた企画なんだけど、ひと味ちがうな、と思ったのは、曲名の紹介とかはなしで(番組の最後に紹介すると言ってた。あと、ツイッターではリアルタイムで)、曲と、世相を現すサウンド・クリップとをミックスというかコラージュしてかけていたこと。

ぼんやり聴いていたので、おそらくニュースとかから採ったのであろうサウンド・クリップは認識できない。曲も、まず最初がオエイシスの「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」で、おおーっ来たーって感じなんですが、ほかにはスパイス・ガールズくらいしかわからなかった。その番組で聴いて、ちょっとひっかかって探してみた曲。

○Don't Marry Her - The Beautiful South
○OMC - How Bizarre

ヒューティフル・サウスは、印象に残るサビの、さわやかポップスなんだけど、歌詞を検索してみたら普通にひどい……まあいいよね、洋楽だしね。OMCは、この訛りはどこ系のひとたちなんだろう、インドかな、でも違うよな、と思って調べてみると、ニュージーランドのグループだそうです。

ちなみにBBCラジオでは、呼んできたゲスト5人くらいのそれぞれのiPodを、誰のだかは明かさずにシャッフル・モードで再生して、みんなでそれが誰のだかあてる、みたいな遊び(たぶん)をやってました。これもなかなかおもしろいと思った。

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コラージュといえば、マーシャル・マクルーハン『メディアはマッサージである』が、すさまじかった。だいぶ以前に日本でのみCD化されていて、去年アメリカ盤が出たのを買ったんだけど、これを、よくある「朗読+音楽」のレコードだと思ったり、いくらジョン・サイモンがやっているからってそんなたいしたもんではないだろう、と見くびったりすると、もったいないことになる。

このCDを聴いて思い出したのは、市川崑の撮った映画「女性に関する十二章」のこと。あの映画は、伊藤整のベストセラーが原作ということになっているけれど、あの本はとくにストーリーがあるわけでもない、軽妙かつ思弁的なエッセイ集だから、そもそも劇映画にしようがない。だから市川は、ベストセラーという現象とそのタイトルだけをちょっとだけ拝借して、好き放題やってみて、それはとても正しかった。

たとえば『メディアはマッサージである』を寝入りばなに聴いても、マクルーハン先生の思想が睡眠学習的に脳髄に染み込む、なんてことはないと思う。ジョン・サイモンは、大ベストセラーの原作からの朗読を勝手に切り取り、ステレオ空間の右に左に貼り付け、ヒップな音響で隙間を埋めてみた。それはとても正しい。いまでもなお。

そもそも、ベストセラー小説の劇映画化ならともかく、「ベストセラーになったメディア論の音盤化」ってなんだよって話なんですが、ベストセラーの○○化なんてものはほぼすべて便乗商品だと思えば別段そうそう腹も立たず、最近公開された、原作を読んでいるひとはほぼ全員がものすごくありえないと考えているらしい映画についても、あれだけの規模で公開されていると、映画だけ見て、見たあとも原作を読まないひとが圧倒的多数だろうから、読んでから見たひとは「見なけりゃよかった」と思い、見ただけのひとは原作についてはたぶんなにも思いをめぐらさず、そしてお互いはおそらく交わることがない。


アンケート未提出のみなさんへ。〆切は今月末日あたりと思ってください。よろしくどうぞ。
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by soundofmusic | 2012-02-25 20:56 | 日記 | Comments(0)


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