ザ・ヴォイス・ザット・イズ!

d0000025_203131.jpg土曜日、下北沢のラ・カーニャで中村まりのライヴを見ました。安宅浩司(ギター)と原さとし(バンジョー)を加えてのトリオ編成。ロンサム・ストリングスと一緒のときだとか、完全ソロだとかでは見たことがありましたが、この日はいままでとは違って、編成の都合なのか、店の雰囲気のせいなのか、不思議とリラックスした印象でした。

もちろん、ロンサムのベーシストである松永孝義が亡くなったばかりで、本人としてはリラックスとはほど遠い心境だったろうけど、必要以上にしんみりするわけでもなく、淡々と……というのとは違うな、粛々と……でもない、YouTubeを見ていて知った古い曲を、ほら、世の中にはこんなにいろんな音楽がある、と次々に紹介していく、その、音楽に対する態度が感動的だったなあ。

適当な記憶に基づくならば、この日の演目、オリジナルとカヴァーが6:4くらいの割合だったんじゃないかと思いますが、交互に歌われると、彼女のオリジナル曲が、曲も、うたの世界観も、発声も、深くアメリカ音楽を味わい尽くした結果の産物だとすんなり理解できます。平たい顔族がよくやりおるわい、と、すっかり何様な気分でした。

どの曲だったか忘れましたが、バンジョーとのリズムが、ンッチャ、ンッチャ、と裏っぽくなっているのがあって(用語の使い方、正しいですか?)、たとえばこれなど、電化したバンドの演奏で聴いたら気持ちいいんじゃないかと思えたし、また、日本人として稀有な発声の彼女が、日本語で歌うのもいつか聴いてみたい、と思ったのでした。ってこれ、両方とも、セル・アウトしろって言ってることになるのかな?

セル・アウトっていうとなんか印象悪いけど、帰ってきて、ライヴの前にディスクユニオンで買ったCD『のこいのこ大全』を聴いていたら、そんなこともないだろうと思った。名前は知らなくても声は必ず聴いたことあるはず、というのはあまりにも陳腐な紹介の仕方だけど、たとえば♪オノデンボーヤが未来を運ぶ~(中略)電器いろいろ秋葉原、オーノーデーン♪を歌っているのがこのひと。

このCDは、CMソングを中心に、ポンキッキのうたなども収録した全61曲入り。CMソング(というかジングルか)は15秒だったり30秒だったりして、それがしっかりとカントリーだったりセカンド・ラインだったりする。というのはあまりにもいっぱしの音楽マニア風の物言いで、なににぐっと来るかといえば、あまりにもしばしば意味がない、商品名を連呼するだけだったりする歌詞を、過剰に思い入れるわけでもなく、かといってニヒリズムに走るでもなく、屈託なくうたう、のこいのこの歌唱に、なのであって、その秘密を解き明かしてくれるような音楽批評がどこかにないものかと思いながら、今晩はもう寝る。
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by soundofmusic | 2012-07-23 02:02 | 日記 | Comments(0)


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