大改造

d0000025_4382767.jpg昼間、ツイッターを見ていたら、吉祥寺駅が一夜にして大改造されていままでとはまったく違った様相を呈しているぞ、という旨の発言がちらほら回ってきてて、そういやたしかに井の頭線のあたりで工事がおこなわれていたような気はうすぼんやりとはしたものの、吉祥寺には年に数回(春夏秋冬各1回くらいかも)くらいしか行かない身としては確信があるわけでもなく、なんてことを思っていると井の頭線は吉祥寺に着いてしまい、南口に出ようとすると動線がまったく原型をとどめておらず、ぐるんぐるんと迷宮の中を歩かされるような具合になっていて、いったい自分が東西南北どちらの方向を向いているのかわからぬようになったところでようやく見覚えのある、南口の、狭いところを無理やりバスが走っているあの道に吐き出された。

とは言うものの、吉祥寺駅の今昔が今日の本題ではなくて、南口から徒歩数分のところにあるマンダラ2で見た、NRQ/鈴木常吉/酒井俊のライヴ、トータル3時間半について書こうと思います。

NRQを見るのは2度目だけど、実にしみじみといいバンド。ベル・エポックのパリにも、1920年代のニューオリンズにも、1930年代の上海の租界にも、1970年代のニューヨークのロフト・ジャズ・シーンにも、どこにいてもおかしくなさそうで、それでいてどこからも少しだけはみ出していそうな音楽。本当だったら地下の薄暗いライヴ・ハウスじゃなくて、ホーチミンとかバンコクとか、どこか蒸し暑い街の川沿いのレストランあたりで、風に吹かれながら聴きたい音。

ベースとニ胡がまじめな音を放つところにもってきて、ギターとドラムスが心持ちヤクザでヒップなのがかっこいいですね。ドラムスの中尾勘二は、本業の管楽器(サックス、クラリネット)は常に音が小さくて、気がつくといつの間にか鳴っているくらいのものなのに(そこがよい)、ドラムスを叩くときは別人格みたいなのだ。

鈴木常吉は元セメントミキサーズのひとで、最近では「深夜食堂」の歌をうたっているそうです。台湾でから今日帰ってきたばかりだとかで、なにがなんだかどうしてここにいるのかよく分かっていない様子。とにかくわたしは無頼っぽいものについてはまず警戒してかかる性質なので(申し訳ないけど、トム・ウェイツとかなんか信用できない)、投げやりで放り出すようなうたとMCに、最初のうちは、これははたしてどうなのか? というか、なんなのか? と思いながら見てたけど、最終的には、見てよかった。無頼っていうか、無骨。無骨って、明らかに骨があるのに骨がない、って書くのはおもしろいと思った。

酒井俊は、中尾勘二(ドラムス、管楽器)、関島岳郎(テューバ)、桜井芳樹(ギター)との4人で登場。何度も見ているけれど、この日は、比較的たくさんの、しかも、必ずしも自分目当てではないかもしれないお客さん相手に、エネルギーの充満したパフォーマンスだった。前々から、ロック系のひとたちと対バンしたらいいんじゃないかとか、map系のライヴとかに出たら興味を持つひとがいっぱいいるんじゃないかとか思ってたんだけど、その考えはたぶん間違ってないはず。というか以前から、新宿のピットインでもここマンダラ2でも同じようにうたってたわけで、わたしが言うことでもないんだろうけど。でもとにかく、「黒の舟唄」なんかで4人が発する爆音を浴びていたら、これは余裕でフジロックでだって大受けをとれるぜ! と思いました。フジロック、行ったことないけど。

あとはあれだ、「四丁目の犬」から語りに入って、おばけ煙突の話になって、川原の砂利の話になって、そこから「ヨイトマケの唄」へとつながっていく構成には脱帽。これはほとんど映画(の編集)だなと思ったよ。

アンコールは、全員が所狭しとステージに乗って、鈴木と酒井のデュエットで「喜びも悲しみも幾年月」(同名映画主題歌)と「水の中の女」(鈴木の曲)、そして最後に、作曲林栄一、作詞酒井俊の「ナーダム」。途中で酒井と鈴木が、ふたりで谷中に行ったときの話を延々と始め、もはやMCとかそういったものを通り越して、雑談というか漫談というか、とにかくいまこの瞬間が曲と曲のあいだであることを忘れそうになった。全体通して、いいものを見ました。
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by soundofmusic | 2012-08-13 04:39 | 日記 | Comments(0)


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