アメリカのことばかり

d0000025_21245841.jpg幕張まで、ビーチボーイズを見に行ってきました。幕張は初めて行きますがとにかく遠い。津田沼のディスクユニオンとかに寄って余裕をかましていたらトップバッターの星野源には間に合わず、アメリカ(グループ名)が始まったあたりで入場。最初のほうで「河を渡るな」とか「ヴェンチュラ・ハイウェイ」(ジャネット・ジャクソンのこれで清涼感あふれるリフが再使用されたのもすでにめちゃくちゃ懐かしい!)とか惜しげもなく繰り出してきて、まあそりゃみなさん同様、わたしだって四六時中アメリカ(グループ名)のことばかり考えているわけではないのですが、そこから最後まで、多少おおげさにいえばヒット曲、名曲のつるべうちで、途中で予告されていなかったクリストファー・クロスも出てくるわ、最後の「名前のない馬」も、あんまり好きな曲じゃないよなーとずっとおもってたけど、そういう話じゃないんだなと思いました。

アメリカ(グループ名)の名前の由来ってたしか、うろ覚えな知識をインターネットなどで確認することなく書くと、彼らは英国駐留の米軍のひとたちの息子かなんかで、現地のアメリカン・スクール(って言うのかな、やっぱり)で知り合って結成されたとかでしたよね。故郷への憧憬からあまりにもストレートな名前をつけちゃったわけで、グループ名はよく考えてつけなくちゃいけないわけですけど、そうはいっても、このエピソードはいつもちょっとだけ泣けてしまう。

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ビーチ・ボーイズは、マイク・ラヴとブライアン・ウィルソンが同じステージに立っているだけでもそりゃ感慨はありますよ。でもね、キーボードの前にずっと座っていて入退場のときのほかは一度も立ち上がることもなく、ステージでもしばしば放心して他人事のようにぼんやりしているブライアンを見るのは少なからずショックであって、そりゃいてくれるだけでいいとももちろん思いますけど、こういう状態の人間を、結成50週年にかこつけて世界中引きずり回すのは倫理的に問題だと強く感じました。

マイク・ラヴ、アル・ジャーディン、ブルース・ジョンストンはみんな歳の割には充分元気で、それは掛け値なしに嬉しかったです。演奏もコーラスも、バックの若い衆(黒焦げになったブロッコリみたいな頭のひとがいたから、おそらくワンダーミンツ中心でしょうか?)にだいぶ支えられていたとはいえ。

音楽的にも文化的にももちろん人間関係の上でも、計り知れないほどのモヤモヤとグダグダを経験しているはずの彼らが、ひとたび音楽を作り出すと、レットベリーの「コットン・フィールズ」も、チャック・ベリーの「ロックンロール・ミュージック」も、無害そのもののような、明るくて健康的なハーモニーで飾られてしまう。うたっている内容も軽薄ならば、見てくれだっていわゆるロック・バンド然としたかっこよさはない。昔からいままでの写真が載っているパンフレットをちらっと見たけれど、一度たりとも外見がかっこよかったことなんてなかったんじゃないか。

ブライアンは、本来ならダニエル・ジョンストンやムーンドッグみたいに暮らしたほうが幸せだったろうし、いっそポップスじゃなくて現代音楽の作曲家になってもよかっただろう。それでもこうして、70歳を過ぎて、昔の仲間と、こうして、いる。

その昔の仲間、もうおよそブライアンと仲直りすることなどできないだろうとみんな思っていたマイク・ラヴは、「オール・ディス・イズ・ザット」の前に、こんな話をした。……これは、超越瞑想にハマっていた時期にアル・ジャーディンと一緒に作った曲なんだ。マヘリシ・マヘシ・ヨギ……すいません、ちゃんと聞いてなかったんですが、40年もたっていまだにそんなことに言及することにびっくりした。歌詞もなんかスピリチュアルだったような気がするんだけども。それ以前にこんな地味な存在の曲、よくやったなあ。収録アルバムは『カール&ザ・パッションズ~ソー・タフ』って、アルバムの存在ごと忘れてたよ。

スピリチュアルといえば、「神のみぞ知る」ではカールが、「フォーエヴァー」ではデニスが、それぞれ巨大スクリーンに映し出されて、生きているメンバーたちと共演した。単なるカラオケじゃないか……しかもめちゃくちゃ泣ける。日本はこの時期お盆だと知っての演出なのだろうか。まさか!

ほかのなにものでもない、ロック・バンドって一体なんなのか、どうやって定義づけされる音楽的存在なのか、ということを考えていた時期があって、あるとき至った結論は、「よくも悪くも、音楽的達成よりもメンバーで音を作ることを優先する集団」っていうものなんだけど、幕張で見たビーチ・ボーイズには、ロック・バンド特有の業みたいなものが確実にあった。そこんとこはもう、好きとか嫌いとかいう問題ではないです。とりあえずひさしぶりに聴いた『サンフラワー』は超名盤だったわ。
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by soundofmusic | 2012-08-19 21:29 | 日記 | Comments(0)


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