適した島

d0000025_1694613.jpgおそらく森山の弟のほうもちょくちょく同じ目に遭っているのではないかと思うのだけど、日常生活において困る(というほどでもないけど)質問のひとつとして、「ふだん買ってるCD、いったいどうやって選んでるの?」というのがある。そして、おそらくこちらも兄弟でほぼ共通しているのではないかと思うのだけど、選んでなどいない、が答えということになる。

ピンと来ないのであれば、夕暮れ時のスーパーマーケットにいる主婦に、夕飯のおかずをどうやって決めているのかと訊ねることのバカバカしさを想像していただきたい。もちろん、肉が食いたい日とか、子供のリクエストによって今晩はコノワタ(渋いね)、だとか、個別のケースはありえるとしても、そうそう毎日いちいち考えてられるわけもなく、たまたまその日に安かったものとか目に付いたもののなかから、半自動的にピックアップしているのが現状だろうから。

とはいうものの、実際のところは、アマゾンからのおすすめをもとに試聴しまくったり、誰かがどこかで推薦してるのを買ってみたり、あるいはDJの際に一緒に回したひとがかけていたのをチェックしたり、つまりソースはどっかにはある。さきほどと言っていることが正反対だけどあまり気にしないでいただきたい。ひとの尻馬に気軽にのって、それで結果が大成功だった場合の気持ちよさにはこれがまた格別のものがあって、だから今日は、最近そんなふうにして買ったCDをみなさまにもおすすめしてみましょう。

小尾隆のブログ、おもにルーツ系のロックやシンガー・ソングライターについて滋味のある文章でつづられていて、いつも楽しんで読み、ときには気になってとりあげられている音楽を試聴したりしている。先月、「サウスサイドを歩くリトル・ウォルター」という回があって、これにはしびれてしまった。とくに最後の一節に。

リトル・ウォルターのこのアルバムを聞くと、私はブルーズという表現が最もヒップだった時代のことを考える。そしてウォルターが威勢良くサウスサイドを闊歩する姿を想像するのだった。

リトル・ウォルターはベスト盤を1枚持っているだけだった。それは2009年の秋、家族で奄美大島を訪れた際、ひとりで立ち寄った古本と中古CDの店で、せっかく来たのだからなにか買っておきたい、との思いで半ば無理やりに購入したもので、旅先でCDを買うのは好きだけれども、そもそも奄美大島はあまりCDを買うのに適した島ではない。そういう用事ならばブリテン島とかマンハッタン島に出向いたほうがよい。

そんなわけでさしたる印象もなかったリトル・ウォルター、小尾氏が紹介していた『コンフェッスィン・ザ・ブルーズ』が猛烈に聴きたくなり、さっそくネットで試聴して、注文(写真は別のアルバム)。それがこのあいだ届いた。ここにはたしかにヒップなポピュラー音楽としてのブルーズがあって、1990年代の日本の若者がミッシェル・ガン・エレファントに熱狂したように、1960年代のロンドンの青年たち(彼らはたとえばローリング・ストーンズという名前のバンドを結成したりもするだろう)がこの音楽に夢中になった様子が目に浮かぶようなのだ。

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話かわって、デイヴ・ブルーベック・クァルテットは黒人とユダヤ人が所属していて、ヒップな音楽性と商業的成功を両立させた最強のグループだった。作品数はやたらめったら多く、トゥアーで回った国の数もそこらのロック・バンドの比ではない。

わたしが知る限りでいちばんかっこいい彼らの曲は『ボサ・ノヴァ・USA』に収録されている「カンチーガ・ノヴァ・スウィング」で、これはおそらくYouTubeにあがっていないようにおもわれる。ので、『ニューヨークの印象』から「サマー・オン・ザ・サウンド」と、『日本の印象』から「トキのテーマ」をお聴きいただきたい。ジャズという表現が最もヒップだった時代のこと。

そうそう、サイモン&ガーファンクルのこの曲も、たしかデイヴ・ブルーベック・クァルテットのベーシスト、ジーン・ライトと、ドラムスのジョー・モレロがバックを務めていたんじゃなかったっけ? Always groooovy.
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by soundofmusic | 2012-12-06 16:16 | 日記 | Comments(0)


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