CDだとか映画については、なにか書くにしてもとりあえず聴き終ったあと、見終わったあとにするのが普通だけど、とかなんとか言ってても買ったばかりで聴いてもいないCDの写真をツイッター経由でフェイスブックに垂れ流しているわけだけど、本の場合は、読み始めてから読み終わるまでに比較的時間がかかるから、まだ半分にも到達していない状態で、こうして興奮して、安田謙一
「なんとかと なんとかがいた なんとかズ」(写真)について書き出さざるを得ない。
オリジナル・アルバム的な著作としては前作
「ピントがボケる音」から9年、いくらなんでも待たせすぎやろ! とやはりここはエセ関西弁でツッコミを入れたくなるけれど、事実としても惹句としてもまさに10年に1冊もの。もしもわたしがギタリストだったら必死で彼のフレーズをコピーしまくるだろうし、トラックメイカーだったらこの本だけをサンプリングして数年間は食っていける。そしてもしもわたしがDJだったら(って、DJだけど)、この本をそのままターンテーブルに乗せて、自分はカウンターでバーボンソーダでも飲んで談笑していれば充分、間が持ってしまうのだ。おそるべし。
どこを読んでも、もうほんと他人とは思えない……というのはあまりにもおこがましい。わたしにとって安田謙一は、こういうふうになりたい存在としての自分、なんだな。というわけで、とりあえず彼のイカしたリフ、ゴキゲンなフレーズをいくつか抜いてみようか。
たしかに、現在、“歌詞が日本語で歌われたロック”は巷にあふれ、市民権を得ているように見える。が、その成り立ちは、単なる「慣れ」の結果のような気もする。
「ヤジ」はそのスピードがもっとも重要な特性であるのはもちろん、時間をおいてさまざまな因果を発見することの多い、一種の啓示のようなものだ。
ライ・クーダーの新しいアルバム「チェベス・ラヴィーン」は、浦安からロサンゼルスに舞台を移した「青べか物語」(山本周五郎)である。
安田謙一は長年の会社員生活をやめて、ゼロ年代のほぼすべての時期、文筆で生計を立てていたそうだけど、近年、バイトを始めたのだそうだ。なんか日本、貧しい国になっちゃったな、とそれでようやく、気付いた。