ロックンロール

d0000025_1340245.jpgちょっと書き出したら話が長くなりそうだったのでそれは消してすっ飛ばし気味に書き進めることにしますが、シンガポールに行ってきました。たぶん90年代の末ごろ、母と一緒に一度行ったことがあって、そのときの思い出としては、ちょろっと街を歩いても中古盤屋が見つけられなかったことと、帰る前の晩、母が、どこで聞き付けてきたのか忘れましたが、「エルヴィスっていうバーがあるらしいから行きたい」って言い出したのでタクシーで乗りつけてそこに行ったこと。

そのバーにはDJっていうかレコード係がいて、たぶんベタなエイティーズものとかかけてたんじゃないかと思うんだけど、「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」のソウルフルなカヴァーがかかって、おっかっこいいじゃん、って思った。バーテンのひとに、これ何?って訊ねたんだけど、店内の音がでかいのと、相手のシングリッシュが聞き取れないのとで意思疎通できない。ジャケを見せてもらったら、アース,ウィンド&ファイアーだった。話のついでに、「シンガポールって中古盤ってどこで買えるの?」と訊いたところ、うーん、難しいねー、との返事。そうなのか、と思って帰国した。

今回シンガポールを再訪したのは、別にそのときのリヴェンジとかではなくて、単にたまったマイル消化の都合。東南アジア~南アジアあたりのどこかに行けるくらいたまってたんだけど、あまり行きたくない国、というのがいくつかあって、箇条書きにすると、
 ・水を飲むとおなかを壊す国。
 ・歩いていると警察に呼びとめられて、ここを通るにはいくらいくら必要、と暗に小金を要求される国。
 ・字が読めない国(アルファベット、漢字はOK)。

といったところでしょうか。自分は、東南アジアに好んで行くようなバックパッカー・タイプの旅行者に対しては確実に偏見を持っているんだけど、こうして書いてみると、日本以外のアジアの国々に対して偏見があるんだろう、と言われても仕方ないですね。すみません。

ともかく今回も、出発前の空港で、もうすでに服装がリゾート・モードになっている大学生っぽいグループ(バリに行くらしい)がいたりして、あーこういう浮わついた感じね、ふだん着ない派手な服とか着ちゃうノリね、はいはい、と思ってましたが、と同時に、国際線の空港って、乗り継ぎ待ちしているうちに死んだみたいにまったりしてるひとがたくさんいて、その対比が面白かったりしますよね。

結論から言って、シンガポールにも中古盤屋はあります。ただし中古CDをリーズナブルな値段で見つけるのはかなり難しいなという印象。写真に載せた店のほかにもいくつか、開店前だったり、たいしたことなかったりした店はあって、まあシンガポールに行くんだったらレコードのことなど考えず、普通に観光したりうまいものでも食べたりでっかく育った木を眺めたり鳥の鳴き声でも聴いたりしてたほうがいい。

ただし1軒、レッドポイント・レコード・ウェアハウスは、いままで行ったいろいろなレコード屋の中でも上位にランクされる異様な店だったので、ちょいと書き残しておきます。店内の写真とか店主のインタヴューのヴィデオがこちらにあります。

まず、事前に場所を調べて、ストリート・ヴューを見たりしても、とてもレコ屋がありそうな場所には見えない。行ってみると、なんか工業団地みたいな一角にある、バカでかい工業系の雑居ビルで、オフィスとか小売店も入ってはいるけれど、半開きになったドアから中をふと見ると一心不乱にミシンで仕事をしている女のひとたちがずらっといたりして、うわっ女工哀史、とか思うわけです。ちなみに上の階に行くには荷物搬入/搬出用のでかくて動きのゆっくりしたエレヴェイターを使いました。

上記リンクの写真を見るとわかりますがけっこう広い。CDはほんの少しで、ほとんどアナログ。1時間ちょっとかけて、おもに英米のロック、ジャズ、あとラテンをさらっと見ただけでしたが、中華、マレー、インドものも大量にある。これはほかの店もそうで、コーナーの仕切りがない店だと当然、それらが渾然一体となって売られていて、ああ、多民族国家というのはこういうことか、と思ったりもします。ここ数年、海外旅行に行くたびに、将来日本がここの国みたいになることはあるだろうか/なったらどうだろうか、と自然に考えてしまうことが多くて、今回もレコードを掘りながら、そんなことも考えてました。

そうそう、前回のシンガポール訪問の忘れがたい思い出のひとつに、こんなことがあった。たしか中華街っぽいところを歩いていて、道を一本へだてた向こうがインド人街になっていたのね。横断歩道を渡ってそっちに行くと、まずスパイスのにおいが強烈に鼻を刺す。なんか食べようってなって、ただし現地っぽい店はちょっと、とファストフード的な店に入ってみたら、店がまえは西洋的なファストフードのそれなのに、メニューは全部本格的なインド料理ばっかりで、なにを食べたらいいのかわからない。もちろんそう感じたのは当時の感想で、いまにしてみたら別に本格的でもなんでもなかったんだろうけど、同時に、あれは、ある種のロックンロールにも通じる、越境の感覚だったんだろうとも思う。今回、あの場所はどこだったんだろうと気にしながら街を歩いてみたけれど、そもそも中華街とリトル・インディアは隣接してなかった。
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by soundofmusic | 2013-06-21 13:42 | 日記 | Comments(0)


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