神はいないのに

d0000025_1312013.jpgさて土曜日はそんなこんなでしたが、日曜日はクアトロでオリジナル・ラブを見ました。1996年、2012年に続いて3度目。ひさびさに見た去年も、たいがい驚いたものでしたが、今回はさらに針が振り切れてた。メンバーはコーラスの真城めぐみ以外はたぶんみんな揃いの衣装で、黒のシャツに原色の細いネクタイというニューウェイヴ仕様。出てくる音はといえば、ぶっといシンセのリフに裏打ちっぽいドラムが重なり、そこに田島の分類不能なテンションが乗っかってくると、やっぱり興奮せざるを得ない。

私事ですが、高校生からはたちくらいまでの間、70年代後半から80年代前半あたりの、ニューウェイヴとか(日本では)テクノ・ポップと呼ばれていた音楽をよく聴いていましたが、いろいろ聴いてみてもどれもこれも結局、人間くささが抜け切れてなくて、そこがいまいち不満?でした。人間社会において機械になりきる強靭な意志(それはすごく人間的なものなわけだけど)を持っていたのはクラフトワークだけだったんじゃないか。そしていまは、ラップトップ1台あれば音楽が作れてしまう世の中で、だからといってそれをわざわざロボット的な営為であるとは誰もみなさない。まあこのことは今度時間のあるときにでも……。

で、若いころのわたしは、機械っぽい表象を目指していながら人間くささが残っているものを「中途半端」とみなしていたわけですが、今回のオリジナル・ラブを見たら、いやいや、そこがよかったんじゃないか、とようやく思いました。つまり、1980年代前半の原宿にはピテカン族もいれば竹の子族もいて、彼らがすれ違う往来にはまだ傷痍軍人もいた。そういう時代の、汗くさいニューウェイヴ、呼吸したり飯をくったりするロボットの音楽。

むやみやたらに放出されるエネルギーには、パンクっぽかったとも聞くプラスチックスのライヴってこんな感じだったのかな、と思いましたし、ズンドコズンドコいうリズムにはアダム・アントを連想しました。家でBBCのラジオ聴いてるとたまにアダム・アントがかかって、けっこうかっこいいんですよ。田島貴男はヴァンパイア・ウィークエンドに注目してるそうだけど、確実にトーキング・ヘッズ→VWなニューヨーク感もある。

かと思うとアンコールの「ラヴ・ソング」。連日の猛暑の話題から入って、♪倒れないでくれ/倒れないでほしい♪という歌詞を、それこそ倒れる寸前のゆっくりなテンポで、ねばっこーく暑苦しーいソウル・マナーで、熱唱。去年のトゥアーでの同曲のライヴ映像がこちらですが、今年のは、さらにスローでさらにソウルフル。なんかのときのルー・リードのライヴで、めちゃくちゃ遅いテンポで「スウィート・ジェーン」をやっててかっこよかったな、なんて思い出したり。(たしか)オーティス的なあいのてを入れながら、ステージ上をうろうろしながら歌う田島に当たるライトがかっこよくて、こういうのってソウルのライヴ盤のジャケでありそう。そして唐突に、勝新を連想したり。さらに言うと、田島貴男はインド映画に出たりするとおもしろいんじゃないか。主人公の友人役とかで。

音楽に限らずなんにしても、作り手と受け手の双方に、まあこのくらいでいいんじゃないスか、という暗黙の了解ってあったりするものですが、やっぱりそこを突き抜けるときの快感って確実にあって、あれっ、そんなとこまで行っちゃうんだ?みたいな瞬間に触れるとわくわくする。当たり前だけどミュージシャンってサーヴィス業なんだよなあってことをひさしぶりに思い出しました。で、この過剰なサーヴィスに接して最後に思ったのは、もしかしたらタイニィ・ティムってこんなひとだったんじゃないかと。音楽性は違うけど、歌が体の中からあふれだして、口に栓かなんかするまでずっと歌ったり踊ったりしているっていうね。

そういう音楽には聴く側もそれなりに反応するもんで、終演後、客電がついてSEがけっこう大きな音量で流れて完全に追い出し/追い出されの時間に入ってもなお、少なからぬ数のお客さんがえんえんと「田島! 田島!」コールを続けてたのが印象的でした。森山弟&宇内さんと合流する都合があったので途中まで見物してたけどあきらめて降りてきちゃいましたが、まさか田島だけ出てきて弾き語りで「惑星」とかやったりしてないだろうな。そんなことがあったら死んでも死にきれない。

ところで以下、備忘というか業務連絡めきますが、トゥアーの日程を見ていたら、宇都宮でも田島貴男のライヴがあることが判明。岡本にあるコーヒールンバという店で、けっこういろんな(宇都宮にはこなさそうな)ミュージシャンを呼んだりしているようなので、帰省のついでになんかを見るのもおもしろいかも、と思いました。カジヒデキとかヒックスヴィルとかもやるような店。店主は同世代か? まあ、だいぶ前に宇都宮を離れたわたしの感覚では、岡本は宇都宮には入んないですけどね。
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by soundofmusic | 2013-07-16 13:19 | 日記 | Comments(0)


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