黒の四人組<クァルテット>

d0000025_1658462.jpg取り急ぎまくりますが、ジュリー・デルピー監督・主演の「ニューヨーク、恋人たちの2日間」を見まして、下ネタが多めになった昔のウディ・アレンみたいな、新味はとくにないけどそこそこ楽しい映画でした。んでここに、やたら死とかに興味を持つ黒人の女の子が出てきて、「黒人初のゴスっ子になるぞ」と言われたり、母親のデルピーには「死なんてクールじゃない、aliveでhappyなのがクールなんだ」って言われたり(さんせーい!)するんですが、そう言われてみるとたしかにゴス文化って寒いところに住んでる白人のキリスト教徒のものって感じしますよね。

そのこととは直接関係はしないものの、モダン・ジャズ・クァルテットっていう4人組がいて、このグループは、ヨーロッパ文化に強く傾倒するピアニストとブルース狂のヴィブラフォン奏者が同じ程度のリーダーシップを取っていて、よくもまあケンカしないでやってたなと思うんですが、その実、仲良くみんなでタキシードかなんか着ながら演奏してたそうです。

そもそも、黒人がマジメな顔してタキシード着て西欧のクラシックに影響された音楽をやるっていうのが、なんかこう、「ネタ」っぽい感じがただようわけですが、となると、ロックをやってる日本人とか、寿司を食ってるアメリカ人とかも同じくらい「ネタ」っぽいわけで(寿司だけに)、しかしこの手の問題に深入りしたことは過去にこのブログでも何度もありますから今日はそのへんはすっとばします。

そのMJQのふたりのリーダーのうちでは、わたしはヴィブラフォンのミルト・ジャクソンのことばかり気にしていて、あんまりスウィングしないピアニストのジョン・ルイスについてはさほど注意を払わずにきたのですが、最近何枚か、彼主導っぽいMJQのアルバムを聴いてみて、もう少しジョン・ルイスのことを真剣に考える必要があるなと気付かされているところです。

聴いたのは『モダン・ジャズ・カルテット&オーケストラ』『サード・ストリーム・ミュージック』で、どちらも、ルイスとガンサー・シュラーが言い出したいわゆるサード・ストリーム・ミュージックもの。いわゆる、とか言っても自分でもよくわかってないですし、いまとりたててこれが話題にされている気配もなさそう。ということで英語版のウィキペディア(日本語版の記事はない)を読んでみると、シュラー自身はこれを「ジャズとクラシックの中間にある新しいジャンル」と定義していたとある。ついでにいえば、したがって「サード・ストリーム・ジャズ」などというものは存在しない、と。ない、のついでに話を続けると、シュラーによる「なにがサード・ストリーム・ミュージックではないか」のリストも載っていて、「それはストリングス入りのジャズではない」「それはクラシック楽器で演奏されたジャズではない」などなど。

前記のMJQ名義の2枚は、いわゆるクラシック楽器とジャズが均等のバランスで拮抗している音楽、という感じでしたが、ジョン・ルイス名義(だけど本人は参加してなくて実質的にはシュラーが仕切ったらしい)の『ジャズ・アブストラクション』(現在取り寄せ中)になると、完全にヒップな現代音楽だったり、そこにオーネットやドルフィーが参加してたりと、なんだ、自分の聴きたい音楽はここにあったのか、と灯台下暗し、目からウロコなのでした。そういえばオーネットの初期作『トゥモロウ・イズ・ザ・クウェスチョン!』は、タイトルがかっこいいのとドラムスがシェリー・マンなのと曲がキャッチーなのとで、好きなアルバムですが、ここでのベースはMJQのパーシー・ヒースだったんですよね。オーネットがアトランティックと契約するにあたっては彼だったか、MJQの誰かだったかの推挙があったなんて話も聞いたことがある気がする。

とくに調べてないのであてずっぽうに言うけど、黛敏郎なんかサード・ストリーム・ミュージックにかなり共鳴していたんじゃないだろうか。彼が音楽を手がけた成瀬巳喜男の「女が階段を上る時」なんか、見直してみるとおもしろいかもしれない。このへんのことはきちんと検証しているひとがいるとは思うんだけど(いなかったら逆に困る)、なんにしても、つたないやりかたでも自分で考えてみることはムダではないはずなので一応書いてみた。

そんなわけで明日の「黒の試走車」のわたしの選曲は、夏らしいラテン(ただし暑苦しくない、軽めのやつ)とMJQ周辺と、もしかすると現代音楽がちょこっとずつ混じった感じになるかもしれませんがまだ選曲してないのでなんとも言えません。毎年言ってますけど夏のメスカリートはエアコンの利きがよろしくなく、そのぶん、ビールが美味しいです。お時間あったら遊びにいらしてくださいませ。

☆黒の試走車<テストカー> Vol.77

日時:2013年08月03日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート(渋谷区円山町28-8第18宮廷マンション1階奥つきあたり)
地図。
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:あずまきょういち/チバ/森山兄
ゲスト:/ひろみ(yu mei)
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by soundofmusic | 2013-08-02 17:00 | 日記 | Comments(0)


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