フリー・ソウル・アメリカ(海外篇)

d0000025_0251311.jpgいつぞや書きました「フリー・ソウル・アメリカ」の海外篇です。つまり、非米国人によるアメリカ音楽のコンピレーションの案。アメリカ人がやってないんだったらアメリカ音楽とは言わないだろう、と思うひともいるかもしれませんが、「アメリカ音楽」っていうのは国籍のことではなくて、そういう巨大なジャンルなんだと思います。で、実際の/実在のアメリカとの距離の取り方なんかも含めて楽しめそうな12曲です。日本以外のアジア、中近東、アフリカ、その他の諸国にも楽しいアメリカ音楽があるんだと思いますがそのへんのことはよく存じ上げませんので、詳しいひとは逆に教えてください。

◇ 雪村いづみ「火の玉ロック」(1958/日) →☆

○ Esquivel & His Orchestra "Sentimental Journey" (1960/メヒコ) →☆

△ Mongo Santamaria "Watermelon Man" (1964/キューバ) →☆

$ The Rolling Stones "Factory Girl" (1968/英) →☆

# Claude Francois "Stop au Nom de l'Amour!" (1971/仏) →☆

▼ The Band "Mystery Train" (1973/カナダ) →☆

■ Bee Gees "Stayin' Alive" (1977/英=豪) →☆

∵ D.A.F. "Liebe auf den Ersten Blick" (1981/西独) →☆

* HIS「パープル・ヘイズ音頭」(1991/日) →☆

+ Nick Lowe "Poor Side of Town" (2001/英) →☆

● Caetano Veloso "The Man I Love" (2004/ブラジル) →☆

★ Daft Punk "Get Lucky" (2013/仏) →☆

コメント。

◇ 雪村いづみによる、ジェリー・リー・ルイスのカヴァー。天才的なシャウト。たぶんまだこのころの日本には、ロックンロールを演奏できるコンボが存在していなかったので、この曲も当然レコード会社のオーケストラによる伴奏です。ドラムがまったくグルーヴしてませんが、これは日本人だから、ということではなく、エルヴィスのRCAのファーストのバック・バンドもこれと大差ありませんでした。いまから振り返るとおかしなもんですが、できなかったものはできなかったのであって、後世から指差して笑ってはいけません。

○ そのRCAで、1950年代後半から1960年代中盤にかけてたいへん想像的で異常な仕事をしていたのがメヒコ出身のバンド・リーダー、エスキベルです。ミッド・センチュリーの宇宙趣味、未来志向を音にするとこんな感じだったんでしょうかね。こういうステレオものはなんとなくRCAの独壇場という印象があります。そういえばこのリストには宇宙出身のサン・ラとかが入ってませんが、そのへんは各自補完してください。

△ キューバからもこのモンゴ・サンタマリアに限らずたくさんのミュージシャンがアメリカ音楽に貢献していまして、アフロ/キューバン・ジャズ系の大ヒット曲っていってすぐ思い浮かんだのがこれ。作曲はジャズ・ピアニストのハービー・ハンコック。冒頭のリフはスイカ売りのかけ声にヒントを得たとかいう話もあって、それがホントかウソかはわかりませんが、先入観を取っ払って聴くと、ラテン音楽と同じくらい、ソウル音楽のようにも聞こえる。気がします。

$ 子供のころ、実際に彼らの音楽に親しむ前から、なんとなく、ビートルズはイギリスのバンドでストーンズはアメリカのバンドだと思っていたんですが、意外と本質をつかんでいる気がするあの思い込みはどこから来たもんだったんだろう。カントリー風でもあってアイリッシュ・トラッドの香りもあって、なおかつパーカッションはちょっとインド入っている。へんな曲。

# ご多分にもれず、クロード・フランソワの存在は、映画「最後のマイ・ウェイ」を見て初めて知ったクチです。このひとは自作もたくさんあるようですが、英語のポップスをフランス語化する作業を執拗に続けていたところに興味を惹かれますね。まあやっぱりロックとかソウルに向いてる言語と向いてない言語があるのだとは思いますが、「うん、なかなかよくやってるんじゃない?」と上から目線で愛でてあげたいです。オリジナルはスプリームスの「ストップ!イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ」。

▼ ザ・バンドはほとんど70年代アメリカン・ロックの権化みたいなもんですが、メンバー5人のうち4人がカナダ人なので無理矢理ここに入れてみます。この曲が入っているカヴァー・アルバム『ムーンドック・マチネー』を、彼らによるアメリカ音楽研究レポートとして聴き直すとおもしろいかも(強引)。でももしかしたら彼らも、ドゥービー・ブラザーズとかグランド・ファンク・レイルロードなんかを聴きながら「やっぱ俺らにはこういうのはできないよなあ」とか口惜しがってたりして(たぶんそんなことはない)。

■ ボウイの「ヤング・アメリカンズ」とビージーズのこれとどっちにしようかと聴き比べてみたら、いま現在のわたしにはあきらかにこっちのほうがかっこよく聞こえました。当然、ディスコなんて嫌いだったけど、当時の彼らが言ってた、とくにディスコとは思ってなくてブルー・アイド・ソウルのつもりで作った、なんてコメントが腑に落ちもしますね。ちなみに初期のビージーズは最高だから聴いてみてね。

∵ 村田さんがツイッターで紹介してて、ドイツ人による最高のロックンロール、って書いてた。たしかに構造的にはそうだわ。なんかほかにもこういう、骸骨みたいなロックンロールがニューウェイヴ期にあった気がするけど、思い出せない。ちなみにこの曲のタイトルは一目ぼれ、っていう意味。歌詞もなんとなく、そういう単純な内容なんじゃないかという気がするけどこればっかりはわからない。

* 若い方はご存じないと思いますが、細野晴臣、忌野清志郎、坂本冬美、によるスーパー・グループです。これはジミヘンのカヴァー。自分が若いころは色物としか思ってなかったけど、ロックの形式を輸入するのではなくて噛み砕いて日本語化するにはここまでやらなくちゃならなかったのかと思うと、嬉しいやら情けないやらで涙が出てきます。このこぶしはすごいなあ。

+ 30年以上アメリカ音楽にあこがれ続けて、ジョニー・キャッシュの娘と結婚までしていた男がついにアメリカ音楽の真髄と一体化することに成功した記念碑的アルバムが『ザ・コンヴィンサー』。これはジョニー・リヴァースのカヴァーで、歌唱もオリジナルより数倍滋味深いんですけど、歌詞がまた泣ける。数年前、カーネギー・ホールの地下の小ホールでニック・ロウを見たことがあって、そのときはMCがあんまりウケないと「あれ、なんかランゲージ・プロブレムが……」とか言ってごまかしてました。道は遠いわけですわ。

● マニアのひとにはトーシロー扱いされるでしょうけど、カエターノのアルバムだとこの曲が入っている米国曲集『A Foreign Sound』がいちばん好きです。ゴダールがたぶん、世の中にはアメリカ映画と非アメリカ映画(あるいは対アメリカ映画)しかない、と考えているのと同じように、カエターノも軽やかに、かつ悲壮な覚悟でこのアルバムを作ったに違いないので、だから日本のレコード会社がこのアルバムに『異国の香り~アメリカン・ソングス』だなんて、なんの葛藤も屈託もない邦題をつけたのは失礼ですし、間違いなんですよ。

★ 現代のアメリカ人はこういうことをやりたいけどやれないのか、恥ずかしいからそんなこと考えもしないのか、こういう音楽をそもそも知らないのか、そのへんはよくわかりませんけど、最初聴いたとき、えーっこれダフト・パンクなの、って思ったわけじゃないですか……(以下、話が続かないので省略)

こういうリストは、酒でも呑みながら適当にでっち上げるのが楽しいんでしょうけど、軽ーくやろうと思ったらまたしてもついつい本気になってしまった。自分ひとりで意気込んでるとなんか恥ずかしいので、誰か尻馬に乗ってやってみてくださいよ。お願いします。
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by soundofmusic | 2014-06-19 00:28 | 日記 | Comments(0)


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