2014年CDグッド10

d0000025_3464153.jpgみなさまあけましておめでとうございます。恒例の、といっても2013年度版に続いてまだ2回目ですが、2014年のCDグッド10のお時間です。

購入環境について簡単に振り返っておくと、ディスクユニオンでの中古品購入と、アマゾン・マーケットプレイスやイーベイなどでのネット通販が柱でした。割合は集計してないけど、どうだろう、半々かな。2014年はそれプラス、国内盤の廉価CD再発が怒涛の勢いでして、ほぼ毎月のように大量にいろいろ出てたので、それらも買ってました(おもにソウルとジャズ)。いよいよCDが売れなくなってきたもんだから、1枚1000円とかの価格設定になってて、だったらこっちもそれなりの覚悟があるぞとばかり、1回にリリースされる30枚とか50枚とかを逐一事前に試聴して下調べしておいて、発売されたらポイント10倍の日にタワレコへ、というサイクルを確立してました。さすがに買うのは1回に最大で10枚とかそんな程度でしたが。

中古CDも確実に値崩れが進んでいます。これは弟くんも日々リアルに感じてると思う。薄々「数年後にはゴミになるかも……」と思いながらも、ありがたく買わせていただき続けました。わたしが本格的にディスクユニオンで中古盤を買い始めたのは1991年ごろからですが、この四半世紀で、いまがいちばん中古CDを買うのに適した時期です。体感として間違いない。

それら買ったCDは、PCで取り込まれることは基本的にはなく、自宅ではフィジカルなCDプレイヤーで、外出時にはCDウォークマンで、聴かれています。CDウォークマンを買った経緯についてはここに書きました。

秋口からは、CD化されていない音源を中心にLPを買うことも再開しました。これは正直キリがないんですが、世の中、CDになっている音楽がすべてではないというごく当たり前の事実を忘れないためにも、月に何枚かずつ継続的に買っていくのは悪いことじゃない気がします。

前置きが長くなりましたが、2014年のCDグッド10。順位なし。並びは購入日付順です。

◇:Jerry Irby『Boppin' Hillbilly Series』(1940~50年代録音)
●:たちなみえみ『ガーデン』(2014)
▽:王舟『Wang』(2014)
☆:Lo Borges『A Via-Lactea』(1979)
*:Os Cobras『O LP』(1964)
■:Jeremy Steig『Flute Fever』(1963)
@:Grateful Dead『Blues for Allah』(1975)
≠:YUKI『FLY』(2014)
∵:オウガ・ユー・アスホール『ペーパークラフト』(2014)
§:Avishai Cohen『The Trumpet Player』(2003)

邦楽の新譜がいつになく多いのは、前述のとおり、タワレコの利用頻度が高まったため、そこで貯めたポイントを使って買ったりしたからです。新しめの洋楽は、広義のアメリカーナものを中心にいくらかは聴いたものの、2013年のミルク・カートン・キッズやルーク・ウィンスロウ=キングに匹敵するものはなかったかな。割合的に大量に聴いたはずのソウル(ディスコ以前の)が1枚も入ってないのはバランス的にヘンなのですが、まあそういうこともある。

コメントを簡単に。

◇:まったく存じ上げない方でした。ディスクユニオンのカントゥリーのコーナーで見かけて、安かったので気になってその場でスマートフォンで検索→適当にYouTubeで10秒くらい聴いてみたら、あっ、ゴキゲンっぽいな、とわかったので購入。ヒルビリーとホンキー・トンクの融合、ってことは白と黒の衝突、つまりはアメリカそのものであって、嫌いなはずがない。曲によってはあきらかにロックンロールへとつながっていく道が見えたりする。最近の細野晴臣のやっていることとも大いに通じる。

●:富山県高岡市在住のシンガー・ソングライター。ハイファイのメルマガで紹介されてて知りました。いま日本で作られている音楽で、ブリティッシュ・フォークの「あの感じ」にいちばん近いのがこれだと思いました。定価が1000円なので、試聴して即決できたのもありがたかった。ライヴが見たいので誰か東京に呼んでください。いや待てよ、森山家のルーツをさかのぼると富山県の立山あたりにたどり着くらしいので、行ったことのないそのへんを訪問しがてら、高岡まで見に行ってみようかな。

▽:2013年秋、森は生きているのレコ発で見て気に入ったひと。ヘンなクセのない飄々としたうたに、ドタバタしたリズム。品がいい。

☆:2014年はなんだかスポーツ関係の催しがブラジルであったそうで、それに便乗する形でブラジル音楽のCDがたくさん再発されました。これもその1枚ですが、このひとの靴のジャケのアルバムがそんな好きではなかったもんで、リリース時は試聴もせずに見送っていました。数か月たって、たまたまタワレコでぶらぶらしてるときに試聴して、うわっこれ聴き逃してたのはヤバいヤバいヤバい、と気付いて購入。ミナス音楽の宇宙的な浮遊感ってのがそれほど得意ではないのですが、これには打ちのめされました。ホースから飛び散る水と銀河を重ね合わせたジャケットも秀逸。いつかアナログ盤もほしい。ちなみにタイトルの意味は「天の川」。

*:これはどこで知ったんだったか……とにかくわたしはヒマさえあればインターネット越しになにかの試聴をしてますから、きっとその過程で耳にしたんでしょう。で、どうせ高いんじゃないの~とか思いながらアマゾンをチェックしてみたら安かったので注文。ミルトン・バナナ(ドラムス)、テノーリオ・Jr.(ピアノ)らを擁したハードコア・ジャズ・サンバ・コンボ。タダで聴きたいひとはYouTubeに全篇アップされてたような。

■:ジャズの再発っていうと、たいていは1年か2年おきに再発されている「名盤」が出し直されるだけっていうのが大半なわけですが(演歌の全曲集かよ)、たまに、世界初CD化のものだとか、輸入盤で昔出たっきりで品薄になっているものだとかが含まれてたりするので、そのへんを目ざとく見つけていきたいですよね。そんなわけでこれはよいほうの再発です。ジャズ・フルートっていうとどんなにマジメにやっててもなぜか笑ってしまうハービー・マンがいて、もちろん大好きなんですが、スタイグは彼とは正反対で、常に鬼気迫るプレイを繰り広げております。全篇にみなぎるおそるべきテンション。21歳、驚異のデビュー作。

@:いままでほとんど聴いてこなかった70年代のデッドを聴いてみようと思ったのは、ひじかたさんが「デッドは意外とポップ」とか言っているのを耳にする前だったか、あとだったか。とにかく、いざ興味を持ってみると、ワーナー・ブラザーズを離れて自分のレーベルから出していた時期の作品は、極端に流通量が少ないことがわかりました。そのぶん、探し甲斐がある。わたしの考えるロック・バンドの定義として、(ジャズやヒップホップと違って)「いい音楽を作ることよりも同じ仲間と音を出し続けることを最優先する集団」というのがあるんですが、たとえばこのアルバムの「フランクリンズ・タワー」の絶妙なアンサンブルは、どんな巧みなプレイヤーにも出すことのできない、長年連れ添った仲間ならではの音なんじゃないかなと思うわけです。

≠:YUKIってぇのもおもしろいひとで、自分では曲は書かないし作曲や演奏のスタッフもそれほど固定されている感じもせず、やっていることもそのときどきで違うのに、それでも毎回ゆるぎないYUKIブランドの安心感があります。わたしは3作目の『ジョイ』から聴き出して、『うれしくって抱き合うよ』以外のアルバムはだいたい同じくらい好きなんですが、この7作目『FLY』はいままでに輪をかけてとにかくよく聴いた。毎日毎日飽きずに聴いてた。おそらく彼女の想定する客層にわたしは含まれてないだろうけど、このひとの歌詞の題材のヴァリエーションと描写のこまやかさには舌を巻きます。

∵:前作『100年後』でも相当なところまで到達したと思っていて、それでもってライヴを見に行ったら、なるほどこういうふうにロック・バンドの形式を使いこなすひとたちなのか、とおおいに感心することになり、そのまま新作を心待ちにしていましたところ、予想を超えるとんでもない場所まで大股で行っちゃって驚いた。わたしはロックが8ビートとエレキ・ギターに必要以上の権力を与えてしまったことに対して批判的な立場をとる者ですが、それを内部から揺り動かそうとする彼らには、今後とも期待と信頼を寄せていくつもりです。なお、坂本慎太郎の作品との類似がよく言われていましたが、あれは、音は非常に気持ちいいのにあのひとならではのアングラっぽさがむき出しになった歌詞がどうにも受け付けられなくて、結局あんまり聴かなくなりました。

§:現代ジャズ界にはアヴィシャイ・コーエンという名前のひとが少なくともふたりいて、起用するメンバーもカブってたりしてるから紛らわしい。これはトランペット奏者のほう(アルバム・タイトル見りゃわかるね)。2014年は、JTNCの後押しもあって、ジャズにおけるヒップホップ風の細分化されたビートが急激に認知された印象がありまして、もちろん早耳のひとは以前から注目してたんでしょうが、そうした流れの中でこのアルバムを聴くと、すでに10年前にその萌芽があったことが容易に理解できましょう。ちなみに本作のドラムスはジェフ・バラード。ことに1曲目と最後の曲の、トランペットとドラムスの、分解寸前の距離感はスリリング極まりない。そしてこのラスト曲というのはオーネット・コールマン「Giggin'」で、オリジナル版と聴き比べると、コーエンたちが、オーネット独自のタイム感をバンド全体に拡張させようとしていることに気付かされます。コーエンのトランペットが別にドン・チェリーに似ているわけではないというところもポイント。

2015年もみなさまとそして(おもに)わたしに、いい音楽との出会いがたくさんありますように。
[PR]
by soundofmusic | 2015-01-03 03:48 | 日記 | Comments(0)


<< 肩 末 >>