バンドをやってた友達

d0000025_8304279.jpgクラムボン・ミトが語る、バンド活動への危機意識「楽曲の強度を上げないと戦えない」、というインタヴューが話題になっているようで、読んでみました。なるほど相当に熱のこもった内容であるのはたしかで、ミトが持っている危機感が伊達や酔狂でなく本物だということはよく伝わってきました。

ミトがここで語っていることをざっとまとめると、長年やってきていろんな状況をかんがみるに、ボカロとかアニソン方面で若い才能が台頭してきて、もういままでの自分たちのやり方では通用しなくなったので、意識的に変わることにした、とくに原田郁子の詞に徹底的にダメ出しをした、って感じになると思うんですが。

言葉の調子が強いのでなんとなく説得されてしまいそうになるんだけど、なんか必要のない危機感を持ってるように思えてならない。いちばんイヤなのは全体的に余裕がなくなっていることで、この余裕のなさは、純粋に音楽的なものというよりもかなり経済的なものが要因としてあるんじゃないだろうか(根拠はないけど)。デビューして15年っていえば中堅というかヴェテラン級で、でも2年に1枚アルバム出せば悠々と食っていけるってほどの売れ方では全然なくて、でもまさかもう工事現場のバイトするわけにもいかないし……って、そういうポジション。

ミトの言う、自立的にバンドを運営していく重要性、みたいな部分はかなりの程度、正しいのでしょう。でも、ボカロPのひとたちの「<設定厨>の極み」みたいな歌詞を高く評価するっていうのはなんか的外れのような気がする。そっちのが現代っぽい、っていうんならそりゃそうなんでしょうが、だったらミトさんが言ってるのは、クラムボンを現代化してガンガン売っていくぜ! っていう、セル・アウト宣言にすぎなくないですか?

ここ半世紀くらいのバンド史的なものをざっと振り返ってみるに、とても同じひとたちとは思えないほど音楽性や雰囲気やルックスが変化したバンドっていくらでもあったでしょう。その変化の理由は、自発的なものだったり、外部のプロデューサーによるものだったりさまざまですが、変わっていくバンドってのは、いちいち能書きなんぞ垂れずに、どんどん変化していくものなんじゃないんだろうか。

あと、この件については、ボブ・ディランが出てきたときにキャロル・キングとジェリー・ゴフィンが(どっちか片方だったかもしれない)、いままでやってきた自分(たち)の仕事が急に恥ずかしくなって、レコード叩き割ったっていう(たぶん多少盛り気味の)逸話を思い出した。こういう焦りってほんとにバカバカしい。ディランの「風に吹かれて」とゴフィン=キングの「ウィル・ユー・スティル・ラヴ・ミー・トゥモロウ」とどっちが哲学的で深みがあるかなんて、一概には言えないし、そもそもそんなこと気にする必要はないのに。

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ついでだから話を続けますが、ちょっと前にミスチルの映画が限定公開されてました(見てない)。見てないけど、話を聞いた限りだと、アルバム録音→トゥアー、というルーティーンに疑問を感じたミスチルさんがおこなったある試みが記録された映画らしい。

その試みというのが、アルバム発売前に、ファン・クラブ会員のみを対象にしてライヴ・ハウス・トゥアーをするというんだけど、どう考えてもぬるいよなあという感想しか出てこない。ミスチル規模のバンドがライヴ・ハウス・トゥアーをしたら、瞬時にソールド・アウトするに違いないし、来るのはファン・クラブ会員だけなんだから基本的には賛辞しか聞こえてこないでしょう。

やるべきなのは、完全に匿名でそこらのライヴ・ハウスに出演するとか、幼稚園ないしは老人ホームで演奏するとか、もしくは駅でバスキングするとか、そういうことなんじゃないのかな。それくらいは、わたしに言われなくてもミスチルさんもわかってるだろうけど、なかなか実行に移すのは難しいんでしょうね。お察しします。

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とはいっても実際、いままでの自分の殻を破るのはたいへんなわけで、ですからサーストン・ムーアと離婚してソニック・ユースを解散させた(のが彼女なのかどうかはわかんないけど)キム・ゴードンの決断は相当なものだったろうなと思うわけです。もっとも、ソニック・ユースっていうのも普通のバンドとはだいぶ違いますからね。じゃあ普通のバンドって一体なんなんだよ、って話になっちゃうけど。

なにが言いたいかっていうと、キム・ゴードンの自伝「Girl in a Band」、邦訳のタイトルはどうなるのかなって気になってるって話。たぶん原題(のカタカナ表記)+キム・ゴードン自伝、みたいな具合になると思うんだけど、AもTheもつかないこのタイトル、どんな日本語にしたらしっくりくるだろうか。「バンドをやってたあの子」とかかな。

最後にクイズです。クラムボン、ミスチル、ソニック・ユースのうち、わたしがライヴを見たことのないバンドはどれでしょう?
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by soundofmusic | 2015-03-27 08:32 | 日記 | Comments(0)


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