旅情

d0000025_1252129.jpg本来ならもっと早くごあいさつに伺うべきであるところ、なんてことは別に思ってませんが、先月開店したディスクユニオン大阪店に行ってきました。ディスクユニオン界のみならず、関西レコード界の大ニュースなんじゃないかと思いますが、それはそれ、とはいえしょせんユニオンですから、派手な看板が出ているでもなく、飲食店なんかが入った建物の1階の奥まったところに出店なされてました。

入口は写真の通りです。内装や什器も、ふだん行き慣れた関東の店舗と大差なく、値段もだいたい同じくらい。そんなわけで、買い物していても旅情を感じるヒマなどあろうはずがありません。

ただしひとつだけ。ジャズ・ヴォーカルのアナログのコーナーで、半自動的にレコードをつまんでは戻し、つまんでは戻し、たまに引き抜いて眺め、を繰り返しているうちに、いままでに感じたことのない不思議な気持ちになりましたのでそのことについて書き留めておきます。たまたま手に取ったなかの1枚に、アリス・バブスのLPで、ジャケが麻でできているのがあって、それを見た瞬間、世の中にはいろんなレコードがあるものだなあ、と感心すると同時に、なにかこう、とても謙虚な気分になったわけです。

長年にわたるレコード産業の繁栄と継続。偶然と意図の相互作用で成り立ち、日々変化し続ける店頭の品揃え。夜行バスでの浅い睡眠。丸福珈琲で飲んだコーヒーによる覚醒。単なる気分による店内のコース設定。そうしたもろもろの結果、たとえば1回のユニオン訪問で、背表紙を眺めるものから手にとって吟味するものまで含めれば、数千~数万枚の盤を見ますが、自分の手元に来るのはそのうち数枚か、多くても10枚程度に過ぎない。自分ひとりでできることはせいぜいその程度であって、それを思えば、どんなひとでも、おいそれと「音楽に詳しい」などと言うことはできないでしょう。

いままでこういうことを考えたことがなかったのは、わたしの傲慢のしるしでした。

神戸に足を延ばし、空いた時間にジャズ喫茶M&M(初訪問)とジャムジャム(2度目)に寄りました。どちらも、高額なオーディオ・システムを使って、音量をけちけちせずにアナログ盤をかけていて、そうすると、個々の音楽のよしあしはもちろんなくなりはしないものの、それよりも、まあとにかくレコードってすげぇなと、そういう方向に意識が行く。

よく、ミュージシャンのみなさまでも、録音物はしょせん録音物なのでライヴを見に来てくれ、と公言される方がいらっしゃいますが、これは音楽活動をしている直接の友人知人への言い訳や批判ではない、と前置きして申し上げるならば、やっぱり録音された音楽(のほう)が、若干、ではなくてだいぶ、好きみたいです、すんません。

ところで、ジャムジャムのある元町駅の南側には、100メートルほどのあいだに、お互い関係のない4軒くらいの中古盤屋(それと、CDもちょっとだけ置いてある古本屋が1軒)が並んでいる通りがあって、2015年現在では、これは日本屈指の密集度ではないかなと思ったりしました。
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by soundofmusic | 2015-12-11 12:54 | 日記 | Comments(0)


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