結論としては

d0000025_1505062.jpgもちろんロクでもないことは多々あれど、それでも、世の中そんなに悪くないんじゃないかと思える瞬間がある。たとえば、大多数の日本人がローランド・カークのプレイを耳にしたことがある、という事実。

と書くと、いやいや、いくらなんでもカークはそんなにメジャーじゃないでしょ、との反論が返ってくるかもしれない。そういうふうに反論するあなたはたぶんカークを知っているひとで、でもカークの音はカークのことなんて知らないひとのところにも届いている。

Quincy Jones - SOUL BOSSA NOVA

おそらくリアル・タイムよりも、「オースティン・パワーズ」と、それ以降のTVでの繰り返しの使用によって日本人の耳に刷り込まれたフルートのリフが、たしかカークによるものだったはず……って、うろ覚えかよ!

似たような現象の英国盤、じゃなかった、英国版として思い出すのが、ハロルド・マクネアのこと。前回このブログでややまとまってマクネアのことを書いたっけな、と思って引っ張り出してみると、もう8年半も前の記事だし、『フルート・アンド・ナット』を年間ベストに入れたのは2004年度の話。そういえばそのころ一時期、英国ジャズにちょっと凝っていたりしたんだった。

さすがにこちらは、大半の日本人が、とまではいかないだろうけど、少なくともわたしが、無意識のうちに耳にしていた初めてのマクネアというと、たぶんドノヴァンのこちらの曲あたりかな。フルートとアレンジをやっているのがマクネア。

Donovan - There is a Mountain

ほかにも映画「007 ドクター・ノオ」とか「ケス」の音楽にも関わっている。

ジャマイカ生まれのマクネアが本格的に英国に居を定めてから、39歳で亡くなるまでに残したジャズのリーダー・アルバムはわずかに5枚。1枚は以前に出したものに1曲追加しての再発だから、実質4枚。うち3枚はすでにCDになっていて、唯一なっていなかった初のジャズ・アルバム『アフェクショネイト・フィンク』も、今月、日本盤が出る(世界初CD化)。

数年前、ディスクユニオンのひととやりとりする機会があったときに、このアルバムをCD化してみてはどうでしょうと打診したことがあった。自分で聴いてもいないものを推薦するのはどうかと思うけど、物理的に聴けないものはしかたない。当時はYouTubeにもあがっていなかったし(いまは少なくとも1曲アップされてる)、アナログ盤なんて買えないし、そもそも現物を見たこともない。このあいだ、イーベイで5万円くらいで落札されてた。

さすがに、どんな名盤だろうとレコード1枚に何万円というのはバカバカしいと思っているのだけど、マクネアのアナログ盤はそれぞれ5000円~8000円くらい出して買い揃えた気がする。揃えた、とはいってもまだ先があって、『アフェクショネイト・フィンク』以前にリリースされた、カリプソっぽいアルバムが少なくとも2枚、存在している。

そのうち1枚、「リトルG」名義で出した『バハマ・バッシュ』(1960?)を、先日、6800円の2割引き=5440円で、買った。自分にとっては高額だけど、半世紀以上のレコードにしてはコンディションは申し分ないし、さすがにこんなものまでCD化されることはないだろうし、そしてなによりも、相場よりだいぶ安いはずだということが決め手になった。内容は、中の上、くらいのラテン~カリプソです。

しばしば、音楽とか人間とかについて、ひとつひとつがそれぞれ違っていて、かけがえのない、代替不可能な存在であるみたいな言い方がされるけれど、自分にとってはそりゃ自分はかけがえのない存在なんだけど、たとえば会社などでは、替えの利かないポジション、というのは原則としてないわけで、とはいえそういうことにいちいち食ってかかるような歳ではもうないものの、日々ディスクユニオンで、古今東西の名盤が(旧規格の場合)300円とか500円で売られているのを見ると、いやーこっちが300円だったら、最近ぽっと出てきた多少話題になっているくらいのやつをわざわざ1000円出して買いはしないよなあ、とつい思ってしまう。ましてや5000円もする高レコ(たかれこ)なんて……

ここまで書いてきた文は別にマクネアについての思い入れとかではまったくなくて、レコードに過剰なムダづかいなどもうしないぞという反省および決意にすぎない。それも単にわたしの決意なので、みなさんはみなさん自身のお金を好きに使って、レア盤あさりやコンプリートをしていただきたい。

ところでコンプリートといえば、マクネアは前述のドノヴァン以外にも、ロック/フォーク系の録音にちょくちょくかかわっている。そして、というか触れる順番が逆なんだけど、サイドマンとしてのジャズの録音も当然いろいろある。英語版のウィキペディアにはそのへんの情報も載ってるけど、それ以外にもクレジットされてない仕事もたくさんしているはずだ。

とてもそれら全部買うつもりはないけれど、そのへんのいくつかを手がかりにして、イギリスという狭い国ならではのジャズとロックの関係をひもといていくと面白いに違いないとは思う(「ストレンジ・デイズ」誌っぽい話題)。そしてこういうことは現地に行かないとわからなかったりするもので、一口にジャズと言っても、少なくともロンドンのレコード屋では、ジョージィ・フェイムもベン・シドランも、ポップやロックではなくジャズの仕切り板の中にいることが多い。どうしてそうなったのか(あるいは、日本ではどうしてそうなっていないのか)は昔から気になって仕方がないし、結論としては、レコードいろいろ買いたい。
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by soundofmusic | 2016-05-03 15:03 | 日記 | Comments(0)


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