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公式なものではない

どんな文章でも誰かの手によって書かれているという驚くべき事実に比べたら、署名があるとかないとか、書き手が有名であるとかないとかはたいした問題ではないのかもしれない、なんてことを、新文芸坐に行ったときにもらってきた浅草名画座のチラシを見ながら考えた。

この劇場は1週ごとに入れ替えで旧作邦画の3本立て上映をおこなっていて、チラシには、1か月分の上映作品と、その紹介文が載っている。その紹介文がえらくグルーヴしていて、現代の映画ジャーナリズムの平均から大きく逸脱している。つまり、よそではなかなか読むことができない類の文章ってこと。

ふたつばかり転載しておこう。

トラック野郎/突撃一番星(78年/鈴木則文監督)
天下御免の白ナンバー・一番星の桃次郎が、エアー読めない熱烈アタックで今回もスベりまくる、お待ちかねの爆笑巨篇! UFOブーム到来の桃サンが巨乳美女に一目惚れ。下心丸出しの接近遭遇を試みるも、ブスに惚れられ大慌て! イルカ・アワビ・キリンと、桃サンが畜生相手に大活躍の人気シリーズ第7弾!


横浜暗黒街・マシンガンの竜(76年/岡本明久監督)
日本の母・三益愛子が何とギャング役に挑戦! マザコン文太との母子コンビでド派手に暴れまくる異色のハード巨篇! 大量の麻薬を強奪した文太・愛子が、サツもヤクザも片っ端から敵に廻してくり広げるマシンガン片手の大銃撃戦! 中島ゆたかがセクシー全開で体を張れば、三益愛子も掟破りの入浴シーンで対抗だ!


こんな調子で、あおる、あおる。観客をその気にさせるという点では、最高レヴェルの宣伝文句ではあるまいか。残念ながら、この映画館、あんまり環境がよくないので、実際に行くとなるとなかなか気が進まないのではあるけれど。

いま調べたら、なんとホームページができていて、紹介文も読むことができるので、みなさん、ぜひチェックしてみてください。「浅草名画座スタッフによるコメントです。公式なものではございませんのでご了承ください」の注意書きがほほえましい。
by soundofmusic | 2006-07-07 10:53 | 日記


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