フィルムセンターで始まった日活特集。ぱっとプログラムを見る限り、なんだかいつでも見られそうなものばかりで、あまり食指が動かない。しかし、古川卓巳「麻薬3号」、なかなかの佳作。
冒頭、無調っぽいサックスが奏でるマンボだかジャズだかにテルミンが覆いかぶさって無国籍情緒を助長する。闊歩する南田洋子。舞台は神戸だが、まるでモロッコかどこかの港町に見える。
日活が製作を再開したのが1954年。56年には石原裕次郎が登場する。本作の封切りは58年。日活映画と聞いてわれわれがイメージする得体の知れないエキゾチシズムはいつごろから生まれたのだろうか、とふと思う。
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「伊丹万作エッセイ集」(筑摩叢書)を読んでいる(帰りの電車ではだいたい寝ているので、朝の山手線で)。熱心な顔でページの端っこを何箇所も折っている男がいたら、それはわたしだ。あまり折るべき箇所が多いので、本の厚みが1.5倍くらいになってしまっている。
子供を育てたり、部下がいたりするひとは、伊丹の「演技指導論草案」を読むといい。理論と実践の間を行き来するこの断片集は、もともとは映画の演出家のためのもの。あるいは、人生ごときに応用したのではもったいないかもしれない。
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人間がだいたい毎日昼飯を食べるのは、驚くべきことだ。
今日は同僚の
鉄井さんに案内されて、そば屋ヘ。いわく、「元フレンチのシェフかなんかがやってるらしくて、ちょっとへんなんですよ」と。着いてみると、a la 麓屋とある。なんだ、何度となく
みさかさんが出没しているらしき店じゃないか。そのうち行ってみようとは思っていたのだ。ざるそばにかきあげとちくわ天をつけて、いただく。