「サウンド・オヴ・ミュージック」を置いてもらっているオンラインショップ、
Lilmagで買い物をしたので少しずつ紹介していきます、と以前に書いたような気もするし、もしかすると書いていなかったかもしれないのだけど、なんだかんだでだいぶ日がたってからようやく、「三太」の
vol.8(品切れ)と
vol.9を読んだ。
内容、というか紹介はリンク先に載っているし、「音と言葉をめぐる批評」とのサブタイトルにはまったく偽りがない。ただ、両面印刷したA3の紙を4つ折にしただけの極めて簡素なつくりの紙面に、ぎっしりと情報が詰まっている様子、こればっかりは実物を見ていただくしかない。
届いた実物を見てまずはたじろぎ、しばらくほったらかしにしておいたあと、電車の中で食い入るように読んだ。というのは、あまりに字が小さいので、食い入るように読む以外の向き合い方はほぼ不可能なのだ。虫眼鏡を使うか、拡大コピーするかでもしない限り。
内容も、食い入るに値いするものだった。このペーパーに執筆しているのは即興演奏系の音楽家の方々が多いようで、自然と話題もそちら方面に傾く。なじみのない人間にもとっつきやすい、というとウソになるけれども、音楽について真摯に考えたことのあるひとには少なからず刺激を与えてくれるだろう。ということはつまり、ことは音楽にとどまらない。
具体的に誰に勧めたらいいかよく分からないのだけど、自分の周りの空気をかきまぜ、脳ミソに風を送ってくれるペーパーであることは間違いない。ぜひ読んでみてほしい。
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音楽には言葉はいらない、と言われればまったくそのとおりなのだけど、ある音楽がしかるべき聴き手に届くためには、やはり言葉(と金)が介在する必要があるんじゃないだろうか。
だから、別に自作の解説をしろとかいう意味でなく、ミュージシャンはある程度、自分のやっていることを他人に説明できたほうがいいと思う。それはマネージャーの仕事だとか、レコード会社がやるべきだ、という考え方もあるだろう。まあ、好みの問題ですが。
@niftyで、一線のミュージシャンと中学生、高校生が対談する連載「
わかば対談。」が始まっていて、これ、面白いです。小西康陽と、ドラムをやっている中学生けいすけくんとの対談が
こちら。小西が音楽について、自分の仕事について、真摯に語りかけていて、うーん、含蓄がある。
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最近、もうひとつおもしろいフリーペーパーを手に入れた。写真の「ルリ祭り堂通信」。シネマアートン下北沢に置いてあったところを発見。A4のふたつ折だから、大きさは「三太」と同じ。
いまどき完全に個人のフリーペーパー、しかも全部手書き。なおかつ内容が、自分の持っている録画した映画のヴィデオ・テープを紹介し、それをプレゼントしてしまおうというユニークなもの。
ご覧のとおり第1面は「幻の湖」。で、開いたところに載っているデイヴィド・リンチに関する文章が最高です。センスがよくて目が確かで敷居が低い。年末の大収穫。
最近とくに、金を出して買った本と、身の周りのひとの書いたものやネット上の文章とが、楽しみとして同じくらいの比重になってきているのだけど、「三太」しかりこの「ルリ祭り堂通信」しかり、書籍でも雑誌でもネットでも読めない面白い文章は、いくらでもある。油断してはならない。