飯田のおばちゃん

今週は、新文芸坐の小津特集に何度か通って、戦前の作品中心に何本か見ました。戦後のものはだいたい全部見ていて、もちろん、見直すにやぶさかではないのだけど、そうそう映画ばかり見ていられないので、未見のものを優先した次第。

後期の小津のスタイルにはどうしようもない息苦しさを感じてしまうことがあって、全面的には好きになれないところがあります。くつろげよ、と強制されているような、というか。戦前、とくにサイレント期のものは、ああ、やっぱりこのひとにも若いころがあったんだな、と安心させられたり、同時に後年のスタイルの萌芽が見られたりして、なかなか興味深い体験でした。ほんとに小津は洗濯物の干してある景色が好きなんだなと。しかし、やっぱり清水宏のほうがすごいと思うわけだけど……。

それにしても、戦前の小津を立て続けに見ていると、どうしても斎藤達雄、坂本武、飯田蝶子、といった役者たちに繰り返し出会うことになり、みなさん映画スター的な美男美女というよりは親しみやすい庶民顔ですから、なんだか親戚にそこいらでばったり会ったような気安さがありますね。

全作品見たわけではないとお断りしたうえで言うと、サイレント期のものでは「東京の合唱」がいちばん好きかな。「浮草物語」(これはDVDで見た)もいいけど、後年のリメイク版の目の覚めるような色づかいのほうが忘れがたい。小津の戦前作品はレンタルされていないみたいですが、NHK-BSだと年に1回くらい放送されている印象なので、録画してみてください。

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ラピュタの中平康にも、やっぱり中平はよく分からないなと思いつつ、ちょぼちょぼ通っております。もうすでに見たものがあるのでそれはパスして、空き時間に中野のディスクユニオンに行きました。電車賃節約のためと、あと、運動にもなるからと思って歩いていったんだけど(片道30分)、結局何千円も使ってしまい、まったく節約になっていない。

ユニオンを小1時間見て、うまい具合に5~6枚、探していたものも含めて買い物ができたときの気持ちよさは、映画なんかよりよっぽどいいもんです。この日は、マット・ウォードの新作『ホールド・タイム』や、長谷川健一の『凍る炎』なんかを買った。マット・ウォードは、イーベイで入札しようと思っていたら終了時間を勘違いして入札しそこない、ちょっとくさっていただけに嬉しかったし、ハセケンは2枚同時に出たうち『星霜』だけ新品で買って(ケチだから)、こっちは中古で探していたから、これも嬉しい。

このふたりはいわゆるフリー・フォーク文脈には属していないのだろうけど、ウォードくんは最新型のルーツ・ミュージックとも言えそうだし、京都アバンギルドの踊り場で録音されたハセケンのラスト曲に含まれた街のノイズにはヘロンを思い出すし、本質的にはどっかで通じ合っているんだろうと思いました。いい音楽同士はつながってるし、いまつながってなくても、無理やりつなげることができるはず。そう考えるのは、楽しい。
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by soundofmusic | 2009-05-16 17:03 | 日記 | Comments(0)


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