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ロックンロール

このあいだ紹介したオムニバス・アルバム『サンディニスタ!プロジェクト』、手元に届いて、聴き始めています。これは、クラッシュの超大作(LP3枚組。CDだと2枚組)であるところの『サンディニスタ!』の全曲をカヴァーした、変則的なトリビュート盤。とはいうものの、『サンディニスタ!』がなんだか知っているひとならば、このアルバムの中から“いい曲”だけを何曲かだけ取り出すことの無意味さはお分かりいただけるかと思う。

しかし実際問題、『サンディニスタ!』の混乱にとことん付き合うのは、けっこう骨が折れる。魅力的であると同時に尻込みしたくなるような類のお誘い、とでもいうか。とにかく、このとっちらかり具合と比べたら、『ホワイト・アルバム』ですらきちんとお行儀よく聞こえてしまう。

『サンディニスタ!プロジェクト』は、妙に小さくまとまったりはしておらず、きちんととっちらかったままなのが好感が持てる。そもそもがあんまりおもしろくない曲もあるというのに、よくもまあ律儀に全曲カヴァーしてくれるミュージシャンを見つけたものだ。みんな『サンディニスタ!』が好きなんだろうね。

ところで、10年くらい前、ソニック・ユースのインタヴューで、彼らが『ホワイト・アルバム』の全曲カヴァー集を計画していたことを知った。結局実現はしなかったのだと思うが(こっそり録音してたりして)、これ、聴きたかった。

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『サンディニスタ!』はクラッシュの最高傑作ではないはずだけど、少なくともわたしにとっては、彼らのいちばん忘れがたいアルバム。

似たようなニュアンスで、今村昌平の映画では「盗まれた欲情」がいちばん好きで、何度も何度も見てしまう。昨日もまた、見てきた。たぶん彼のベストではないだろうし、後年のこってりとした濃厚な味わいもまだない。ひとによっては、イマヘーも青春映画を撮っていた頃があったのか! と驚くかもしれない。

大学出のインテリ、長門裕之が、旅回りの劇団に入って、一座のひとびとや土着的な観客たちにもまれながら恋や芝居に悩む、という話なんだけど、長門の青二才くささがたまらなくいい。どうも長門ってのは正しく評価されていない気がする。みんな見る目ないなぁ。

個人的に、どうもこの手の、ドサ回りの芸能モノの映画にころっとまいってしまう傾向がある。理由は分かるような分からぬような。あまり分析しないことにする。

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先週末のPPFNPのセットリスト、暫定版を公開しました。抜けている部分はのちのち追加されます。
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by soundofmusic | 2007-05-31 04:00 | 日記 | Comments(0)

貴方と夜と音楽と

PPFNP第60回、無事終了しました。お越しくださったみなさん、どうもありがとうございます。アットホームな雰囲気(≒お客さんが多くない、混み混みでない、という意味)で過ごしていただけたかと。

ゲストのムサシノカチューシャナイトのみなさんも最高でした。TAGROさんが急遽欠席になったのは残念でしたが、AZさん、ichiさん、SZさん、それぞれの持ち味を生かしたプレイだったのでは。(エラソーだなおい)

次回は7月21日(土)。最終週でなく、その前の週、第3土曜日ですのでお間違いなく。あ、次回は満10周年です。そんなにかわったことはやらないと思います。貴方と夜と音楽と。まあそんな感じです。

毎月第2土曜日の「黒の試走車」も、引き続き走行中です。こちらは6月9日(土)と7月14日(土)。PPFNPとはひと味違った感じなので、こちらもぜひご賞味ください。

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土曜日、渋谷に行く前、早稲田松竹で阪本順治の2本立てを見てきました。「どついたるねん」と「魂萌え!」。

「どついたるねん」、初監督作品としてはまあ上出来。不器用そのものといった赤井英和の演技もプラスに作用しているし、相楽晴子がよろしい。

「魂萌え!」はねえ、これ、傑作ですよ! 冒頭の、出勤する寺尾聰が飲み残したコーヒーを風吹ジュンが自分のカップに注ぎ足して飲んだり、風吹が学校時代からの友人たち(今陽子、藤田弓子、由紀さおり)と一緒にきゃあきゃあと壁紙を張り替えたりといったあたりが素晴らしく、そうそう、こういう映画を見たいとずっと思っていたのだ、とうなづいてしまった。

いつからそんなことを思っていたかといえば、たぶん、ロメールの「恋の秋」を見てから、ずっと。

それにしてもこの映画は、風吹ジュンのたったひとりの反乱であり、日常生活の冒険でもある。どうしていままでこんな物語がなかったのだろう、とけげんに思えてしまうということは、たぶん、原作者の桐野夏生の目(のつけどころ)がいい証拠だろう。

奇矯な人物、異常な犯罪、特殊な性癖、そういったものがなくてはおもしろい話が作れないとしたら、そういうひとの作るものは、やっぱり、最終的にはなくていいものなんだろうと思う。……違うかな。
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by soundofmusic | 2007-05-28 08:17 | 日記 | Comments(0)

混乱と散漫

F・W・ムルナウ「サンライズ」を見ました。アテネ・フランセ、超満員。それだけのことはある作品です。サイレント映画の技法の集大成であり、もちろんそんなくくりを軽々と飛び越える超絶的な傑作。

しかもぜんぜん難しくなく、誰が見てもそのすごさは一目瞭然。甘美な夢であると同時にこのうえない悪夢であり、ジャズ・エイジのモダン都市の狂騒の貴重な記録であり、ブタは酔っ払い船は転覆し、の一大スペクタクル。技術面においても人間描写においても、映画に何ができるかという教科書みたいなもの。

もうこの際、DVDでもいいので、陽が昇り陽が沈むところに住んでいるひとは、全員必見です。

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全人類必聴、ではないだろうけど、発売を知ってから5分後にはソッコー注文していたのが、クラッシュの『サンディニスタ!』の全曲をカヴァーしたオムニバス・アルバム『サンディニスタ!プロジェクト』。

コンフュージョン・イズ・セックス、とはソニック・ユースの弁だけれども、森崎東的な混乱、『サンディニスタ!』的な散漫、ウォーホル的な反復、こそが、わたしにとってのポップ、なのです。

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5月12日の「黒の試走車」のセットリストが出ました。土曜日のPPFNPにご出場なされるAZさん、SZさんの選曲傾向を探るよすがとしても貴重な資料かと。

●もりやま
01.ALLEGRETTO GIOVIALE from LYRIC SUITE (ALBAN BERG)/JUILLIARD STRING QUARTET
02.HOLLYWOOD DREAM/THUNDERCLAP NEWMAN
03.TAKE ME TO THE MARDI GRAS/PAUL SIMON
04.LORD FRANKLIN/PENTANGLE
05.キャラヴァン/細野晴臣
06.QUEER NOTIONS/FLETCHER HENDERSON AND HIS ORCHESTRA
07.証城寺の狸ばやし/日本ビクター・サロン・オーケストラ
08.YIPSEE-I-O/CARMEN MIRANDA
09.RUNNIN' WILD/BENNY GOODMAN QUARTET
10.WUTHERING HEIGHTS/THE PUPPINI SISTERS
11.愛して愛して愛しちゃったのよ/ペギー・マーチ&ベニー・トーマス
12.大人のチャチャチャ/ピチカート・ファイヴ
13.PICK YOURSELF UP/DIANNE REEVES
14.ユー・ネヴァー・キャン・テル/南佳孝
15.私なしでも/松任谷由実
16.アゲイン/benzo

●チバ
01.NOBODY KNOWS ME/AYA
02.SAY WHAT/PLATINUM 900
03.ATECAO! ATECAO!/ANTONIO ADOLFO E A BRAZUCA
04.GROOVIN' HIGH/DIZZY GILLESPIE & THE DOUBLE SIX OF PARIS
05.GREGARIOUS/BAKURA
06.SMILE/ASSASSINO DANINHA
07.微熱少年/鈴木茂
08.都会/大貫妙子
09.SKY HIGH/A TASTE OF HONEY
10.THE BIRD/DEODATO
11.PISTA 02/MARCOS VALLE
12.IF IT WERE LEFT UP TO ME/SLY AND THE FAMILY STONE
13.ALL THESE TIMES/NICOLA KRAMER

●マジック
01.Deliver the weird/Cliford Gilberto
02.Losing My Edge/LCD Soundsystem
03.Battery/Metallica
04.Ace of Space/Motorhead
05.The Rocker/Thin lizzy
06.It's Long Way to the Top (If you Wanna Rock'n'Roll) /AC/DC
07.Whole Rotta Rosie/AC/DC
08.Oh Well/Fleetwood Mac
09. The Wizard/Black Sabbath
10.Captain Nemo/Michael Schenker Group

●SZ
01.東京コースター (Album ver.)/流線形
02."Sayonara" The Japanese Farewell Song/細野晴臣
03.僕の心のありったけ/キリンジ
04.色彩都市/大貫妙子
05.2人のサイクル/Hicksville
06.LONESOME BLACK BEAR/直枝政広
07.Building a Castle/Bonnie Pink
08.リアル・シング/Plagues
09.惑星/Pizzicato Five
10.エデン特急/Great3
11.飴色の部屋/くるり
12.MY TRUE COLORS/the collectors

●AZ
01.In My Own Dream/KAREN DALTON
02.穴のなか/クラムボン
03.Everybody Loves A Train/LOS LOBOS
04.See You/DEPECHE MODE
05.フェアリー・ナイト/ソニア・ローザ
06.東雲節(ストライキ節)/越路吹雪
07.HEY NINETEEN/STEELY DAN
08.明日に向かって行け/八神純子
09.I Saw The Light feat. Minako Okuyama/Reggae Disco Rockers
10.恋は桃色/ヤノカミ(矢野顕子×レイ・ハラカミ)
11.Amad/DUKE ELLINGTON
12.Blessing In Disguise/SLY & THE FAMILY STONE
13.煙草のけむり/五輪真弓
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by soundofmusic | 2007-05-23 10:25 | 日記 | Comments(0)

間違いだらけの映画

井筒和幸「パッチギ! LOVE&PEACE」を見ました。始まって少ししてから最後までずっと、これは間違いだらけの映画だ、と感じていて、その間違いはどうやったら修正されうるだろうかと考えていたのですが、その間違いは映画の作られる過程やモティヴェイションそのものとあまりにも一体化していて、たとえば米飯の中に混じった小石を摘出したりするようなわけにはいかないと思われます。

井筒の戦いぶりには敬意を表さないわけにはいきませんが、この映画においては、勝つことを何が何でも最優先すべきだったと思う。映画はスポーツでもケンカでもないので原則的には勝ち負けではないものの、それでも何かに勝たなければいけない映画も、ある。

この映画において、勝つ、とは、まずもって、おもしろい映画であること、のはずなのに、これでは、わたしたちには、負け戦での井筒の戦いぶりをたたえることしか出来ないではないですか! もっとおもしろくなるはずの映画だし、また、もっとおもしろくなるべきだったからこそ、もっともっと戦略的になってほしかった。

もしかすると、歴史認識というものに対する認識すらない(若い)観客の気持ちにはダイレクトに届くのかもしれなくて、そこだけが一縷の望み。ただしそれには脚本が未整理すぎる気もする……。

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井筒も李鳳宇も、まさか「ご立派な映画」を作ったつもりはないのだろうけど、意義深い題材であればあるほど、見てくれに細心の注意を払わなくてはいけないはずなのになあ。

ケンカ腰(だけ)はすさまじく、たとえば、同時期公開の、ということは井筒がこの映画を作っている時点ではやはりまだ製作途中の、石原慎太郎総指揮「俺は、君のためにこそ死ににいく」をあからさまにあてこすっていて、すごい。こんなことは前代未聞ではないのか。

ま、井筒の批判に対して、窪塚洋介が「見てから批判しろ」と、しごくもっともな反応をしていたのが個人的にはウケましたが。

わたしとしてもいいたいことはあって、それは、戦争映画映画を作るのなら、どうしてわたしに一声かけてくれなかったのかなあ、ということなのだけど、面識があるわけじゃないから、無理ないか。

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土曜の夜はサタデーナイト。強力なゲストをお迎えしてお送りします。おまけもいい感じのができあがってますよ。遊びに来てみてください。

PPFNP Vol.60
日時:2007年5月26日(土)18時~22時
会場:渋谷エッジエンド(Tel:03-5458-6385)
地図。
料金:800円(1ドリンク&おみやげ付き)
DJ:ムサシノカチューシャナイト(AZ、ichi、SZ、TAGRO)、森山弟(弟)、森山兄(兄、サウンド・オヴ・ミュージック)
*TAGROさんは急遽欠席となりました。楽しみにしていたみなさん、ごめんなさい。(5/25)
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by soundofmusic | 2007-05-22 15:05 | 日記 | Comments(0)

ここなら歌は育つ

d0000025_0444464.jpgAZさんいわく「いい感じに育ってきてる」イヴェント「黒の試走車〈テストカー〉」第3回、つつがなく終了しました。セットリストは出揃ったらまた書きますが、いままで複数のDJによってプレイされたミュージシャンは、細野晴臣、ピチカート・ファイヴ、スライ&ザ・ファミリー・ストーンといったところ。

このイヴェント、なんといっても自分でやっていて楽しく、かつ勉強になるのだけど、それはもちろん森山以外のDJ諸氏のふところの深さと広さによるところが大。おそらく音楽につぎこんできた金と時間をかけあわせたものが、ほっといてもにじみ出てきてるからだろうと思う。それは一般には年期とか愛情とか情熱とか呼ばれるのかもしれないけれど、それだとどうもピンとこない。

音楽の話だけで意気投合できると無邪気に信じるような歳ではないけれど、それでもやっぱり、音楽の話をしたいわけですわ。ほかならぬあなたと。

というわけで、次回は6月9日(土)です。どんな美人に育つか、とんでもないビッチになっちまうのか。あっちらの自慢の娘、クロテス子の顔を見に来てやってくださいまし。

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昨日はクアトロで、ダーティ・ダズン・ブラス・バンドを見てきました。最近、ジャズの史的発展について、それこそ勉強のような勢いで古い音源とか聴いたりしているので、最初のうちは分析的に聴いてたつもりが、いつの間にか自分が踊り出しているのに気づいた。

ファンクとジャズのハイブリッド的なところがある音楽だけれど、混血であることすら感じさせないというか。妙な言い方だけど、こういう楽しい音楽がある一方で、恋人が手首を切ったとかそういう歌があったりして、それを好んで聴くひとがいたりして。世の中いろいろだなあと思いました。

どうでもいいけど、「世の中いろいろ」って最低な話の落とし方かもしれませんね。万能で最低。

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さて、「サウンド~」のアンケート冊子が出て、ブログに載せていいかと訊いて回ったとき、みなさんいいとかダメとか返事をくれるわけですが、ひとりだけ、ウェブ版は別のものを出すから待ってくれといってきて、そのこと自体はもちろんかまわないけど結局それっきりという最低な奴がひとりいて、とはいえ、昨日催促したらさっそく出してくれたので、それほど悪いひとでもないような気もするそんな男、鴨太郎さんのアンケート回答(ウェブ版)をアップしましたので、ご覧ください。

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写真は、ライヴが終わってクアトロから出てきたところで撮ったもの。向かいのビルから誰か有名人が出てくるらしく、たくさんの女子たちが待ち構えている、そんな図。結局誰なんだかは不明。
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by soundofmusic | 2007-05-16 00:44 | 日記 | Comments(0)

Pure Pop For Now People Volume60

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2007年05月26日(土)18時~22時

渋谷エッジエンド(Tel:03-5458-6385)
地図。

800円(1ドリンク&おみやげ付き)

DJ:
ムサシノカチューシャナイト(AZ、ichi、SZ、TAGRO
森山弟(弟)
森山兄(兄、サウンド・オヴ・ミュージック)
*TAGROさんは急遽欠席となりました。楽しみにしていたみなさん、ごめんなさい。(5/25)

5月は10周年スペシャル第3弾。最近は早稲田あたりでやってる、ムサシノカチューシャナイトの主催者様を(予定では)まるごとゲストにお迎えします。お楽しみに。

前回、3月に出ていただいたニトロジェニックも、もともとはムサシノカチューシャナイトに触発されて始まったイヴェントであるらしく、つまり、ありがちでおおげさなキャッチコピー風に言うならば、「すべてはここから始まった」わけです。

もったいなくもありがたい告知画像は、SZさん謹製です。感謝。
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by soundofmusic | 2007-05-11 09:29 | PPFNPイヴェント情報 | Comments(0)

「忍びの者」の市川雷蔵のコスチュームはスパイダーマンに似ている

サム・ライミ「スパイダーマン3」を、さっそく、見ました。なにしろ前売り券買ったからね。気合いの入りようがお分かりいただけるかと思います。まっ、わたしにどれだけ気合いが充満していようと、みなさんにはどうでもいいことでしょうけど。

この間TVでやっていた「2」(うっかり見て、暴走する列車を止めるくだりでやっぱり泣きそうになってしまった)ほど顕著ではないけれど、これもやはり、アメリカのヒーローの変質をまざまざと見せ付けられる1本でした。出動するスパイダーマンがはためく星条旗を背負うような一瞬があって、わたしたちは、それを無邪気に信頼することも、ましてや冗談のように笑い飛ばすこともできないそういう時代に生きているのだと思い知らされる。

満身創痍のスパイダーマン同様、この映画自体、ほころびは多い。あちこち見ても、破綻を指摘する声は強いみたいだけど、そういう映画じゃないから、そのへんはどうでもいいんじゃないのかい。大家の娘に対してジゴロを気取ってみたり、JBに乗せてヘンなダンスを見せてくれたり、見ているうちに、なんの映画だか分からなくなってしまうのが魅力。

「2」をTVで見て気付いたこと。ちょっと考えると逆のように思えるけれど、CGは、劇場の大スクリーンで見たほうがアラが目立たない。小さなTVモニターで見ると、かえって作り物感が際立ってしまう。

なんというか、トビー・マグワイヤのスパイダーマンは、わたしにとって、小林桂樹の江分利満や、今村昌平「盗まれた欲情」の長門裕之なんかと同じ系列のヒーローなのです。キルスティン・ダンストについては、ひとこと、全面支持、とだけ言っておく。もうひとこと付け加えるなら、みうらじゅんの著作のタイトルとおんなじ。すなわち、「そこがいいんじゃない!」。

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妙なヒーローは、日本にもいた。「忍びの者」シリーズで市川雷蔵が演じる、忍者。

山本薩夫が監督した、シリーズの最初の2作を見た。1作目は、伊藤雄之助に一人二役(見ればすぐ分かるから、ネタバレじゃないよね)をやらせようと思いついたところで思考が止まっていて、彼と西村晃の怪演にもかかわらず、おもしろくなりきれていない。

2作目の「続・忍びの者」は、信長、秀吉、家康が入り乱れる天下取りの丁々発止の歴史ドラマ(山村聡演じる明智光秀の絡ませ方も見事)と、その裏で暗躍する忍者の描写ががっちりかみ合って、これは傑作。

アクションのキレも1作目より上回っていて、「スパイダーマン」同様、続篇のほうが出来がいいというパターン。考えてみたら、この忍者、縄を使って木から木へと飛び渡ったり、カギヅメを使って木をすばやく這い登ったりと、動きはスパイダーマンに似ている!

それにしても雷蔵、明智光秀をそれとなく焚きつけて本能寺の信長を襲撃させておいて、いざ現場に行ったら床下にもぐってそこで薪を焚きつけるんだから、ちょっとセコイぜ。

いま思い出したが、ヤマサツ監督は「牡丹燈籠」で(たぶん)日本初のワイヤー・アクションを使っていたっけか。

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土曜の夜はサタデーナイト。みなさんお誘いあわせの上、お気軽に遊びに来て下さい。

*黒の試走車<テストカー> Vol.3*
日時:2007年5月12日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート
地図
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:AZ&SZ(ムサシノカチューシャナイト)、マジック&チバ(セツナイト)、森山兄(わたし)

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最近、YouTubeでこんなものがあるのを知りました。

「もしもビートルズがアイルランド人だったら」
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by soundofmusic | 2007-05-10 21:52 | 日記 | Comments(0)

ぼくの憲法だよ!

仕事のあと「スパイダーマン3」を見に行こうと思って池袋に行ったらすでにヘンな席しか残っていなかったので、東急ハンズで安眠グッズを軽く眺めてからユニオンに移動して、マルシャル・ソラルの、「勝手にしやがれ」のサントラと彼がやったほかの映画の音楽の抜粋をまとめたCDを買って帰った。

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瀬川昌治のたぶん兄貴にあたるのだと思う瀬川昌久が書いた、「ジャズで踊って」を読む。近年、増補決定版も出ているけど、読んだのは昔に出たほう。これはすごい本。なにしろこれを読むと、昭和の初めから太平洋戦争が始まるあたりまでは、まるで日本中がジャズを聴き、タップを踏み、ダンスにうつつをぬかしていたように読めてしまう。

で、スカパラのひとたちがコンパイルした日本のジャズのオムニバス『ビッグ・バン・ブロウ』を買ったりすると、1940年に日本ビクター・サロン・オーケストラが録音した「証城寺の狸ばやし」なんかが入っていて、最近では、ロックンロールよりも、こういう音楽のほうにはるかに興奮する。

というのは、ここ何年間か、日本の映画とかロックだとかを、ある種の戦後処理の問題として考え、そして楽しんでいたという個人的状況があって、とはいうものの、戦後が存在するためには当然、戦争が必要で、その戦争が起こる前には、戦前があった。当たり前だけど戦争が終わると同時にそれまで生きていた日本人が全員死んで新しい日本に生まれ変わったわけではなくて、もちろん、各人の中である部分は死に、ある部分は生まれ変わりもしただろうし、要はその割合がひとによって違うだけの話。

歴史の断絶点と思えたものが、あとになってみると前と後をつなぐ結節点だったということは、しばしばある。だから戦後を考えるためには戦前を知らなくてはならない。

もっとも、戦争が始まる前はその戦争がどんなものであるかを明確に把握することは誰にもできないので、いってみれば、当時を生きている人間ですら、“戦前”をリアルタイムで意識することは不可能なのだけど。

なんだか拳法記念日らしい話題になってきたぞ。アチョーッ!(←アホ)

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勢い余って、8枚組160曲入りのボックス・セット『Golden Years of Jazz 1917-1939』を注文。曲目はこんな感じで、アチラもんの戦前ジャズのてんこ盛り。

大げさでも冗談でもなく、これ、宝の山のような気がする。値段は3500円とかそこら。ほとんどタダみたいなもんである。

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さて、そのへんのあれこれは来週土曜日の「黒の試走車<テストカー>」でいくらかは聴くことができるはず。

*黒の試走車<テストカー> Vol.3*
日時:2007年5月12日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート
地図
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:AZ&SZ(ムサシノカチューシャナイト)、マジック&チバ(セツナイト)、森山兄(わたし)

前回4月のセットリストは以下のとおり。どう、いいイヴェントでしょ? ぜひともお気軽に遊びに来て下さい。

●AZ
01.GOOD MORNING, MR.ECHO/swing slow
02.Shinjyuku Photoshop/HAT
03.Omukae De Gonsu/細野晴臣
04.Travellin' Mood/Tin Pan
05.三時の子守唄/Ann Sally
06.恋のチュンガ/HIS
07.私自身/いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー
08.相合傘/矢野顕子
09.CHATTANOOGA CHOO CHOO/細野晴臣
10.住所不定無職低収入/細野晴臣
11.SPORTS MEN/高橋幸宏
12.Supreme Secret/SKETCH SHOW
13.WILD AMBITIONS/Y.M.O.
14.東京Shyness Boy/細野晴臣
15.はらいそ/Harry Hosono and The Yellow Magic Band

●森山
01.FAREWELL FAREWELL/FAIRPORT CONVENTION
02.南京豆売り/ディック・ミネ
03.GOMEN NASAI/SLIM GAILLARD
04.LESTER LEAPS IN/COUNT BASIE & THE KANSAS CITY SEVEN
05.ALABAMA JUBILEE/ROBERT CRUMB & HIS CHEAP SUIT SERENADERS
06.ラブ/美空ひばり
07.SOMETHIN' STUPID/ROBBIE WILLIAMS
08.第8章 音楽~貴女と夜と音楽と/前田憲男とプレイボーイズ
09.CA (Je T'aime Moi Non Plus)/BOURVIL & JACQUELINE MAILLAN
10.STARMAN/SEU JORGE
11.THE MAN WHO LOVES BEER/DAVID BYRNE
12.MOON RIVER/TED HEATH
13.指切り/ピチカート・ファイヴ
14.BACK STABBERS/THE O'JAYS
15.NO LOVE IN THE ROOM/THE 5TH DIMENSION
16.NUMBER ONE/JOHN LEGEND

●マジック
01.Funky Manchester city/The Blues
02.Twisting (In my mind)/Piotre Kiwignon
03.Sweeter Love/Blue six
04.Feel up (Original grope mix)/Spook feat. Roisin Murphy
05.You Groove Me (Osunlade Mix)/Jon Cutler feat. Kemdi
06.Musicology/Prince
07.Orangina On The Rocks/Jordan Fields
08.Come On Over/Neoelectrique
09.Let It Ride (Jimpster Remix)/Lisa Shaw
10.Rely On Me (Jay's Bodega Vocal)/Petalpusher
11.(You Caught Me) Smilin'/Sly & Family Stone
12.In time/Zero 7

●ichi
01.Dois Rumos/Gladston Galliza
02.OUT OF TRACK/RAY WONDER
03.IN NEED OF A FRIEND/THE COWSILLS
04.Tow Shoes/The Cat Empire
05.Henrietta/The Fratellis
06.The Smartest Monkeys/XTC

●チバ
01.MY SWEETNESS/STUFF
02.REMEMBER/VARTAN
03.LET ME BE/DOMU
04.CHITTY CHITTY BANG BANG/2000BLACK PRESENTS PAVEL KOSTIUK
05.CASTILL BATTLE/BEN&THE PLATANO GROUP
06.TIME AND SPACE/ROY AYERS UBIQUITY
07.THE REAL THING/SERGIO MENDES AND THE NEW BRAZIL'77
08.AFTER PARTY/KOFFEE BROWN
09.IT'S BEEN A LONG TIME/RAKIM
10.YOU'RE UNKNOWN TO ME/HERBERT
11.IVY IVY/THE LEFT BANK
12.SHINING SYMBOL/ROY AYERS
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by soundofmusic | 2007-05-03 14:29 | 日記 | Comments(0)

わたしの撮った映画、そして知性について

知性について考えるときいつも思い出すのが高峰秀子のことで、いわゆるまともな学校教育が本当の知性にとって必ずしも不可欠のものでないことは、彼女の書いたものを読むとよく分かる。とはいうものの、仕事をしながら叩き上げた彼女の知性は、ヤクザ映画を作っている会社だから東映の映画には出ないだとか、ちょっとそれはどうなんだ、といいたくなるような判断を下したりもするからおもしろい。

ところでわたしは、ときどき、インテリか何かと間違えられることがある。それはまったく正しくなく、単に知的な雰囲気に憧れ続けているだけの者にすぎない。ので、これは自分向き、きっと気に入るに違いない、とアタリをつけて見に行ったノア・バームバック「イカとクジラ」は、どんぴしゃ、ストライクでした。

売れない作家の父親はそれだけじゃ食えないので大学の講師がむしろ本業な様子。浮気性の母親は逆に作家としての一歩を踏み出し、将来は有望なようだ。家族の話題はテニスと文学。この両親が別れてしまい、ふたりの息子たちは父と母の家を曜日によって行ったり来たりする生活。

ポール・サイモンいわく:Everything put together sooner or later falls apart.

舞台は80年代半ばのニューヨーク。使われている音楽はバート・ヤンシュ、ブロッサム・ディアリー、ルー・リード、フィーリーズ。見ているうちに、まるで自分が撮った映画のような気がしてきた、なんていうとすごく失礼だけど、とりあえずサントラがほしい。半分くらい持ってる曲だとしても。

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高校生のお兄ちゃんはピンク・フロイドの曲を自作と偽って学校のタレント・コンテストに出場、大絶賛を浴びて賞金の100ドルをゲットする。それがバレて、カウンセリングを受けさせられるハメになるのだが、そのときの言い訳はこんな感じ。

自分の書きたい曲で、技術的にも書ける曲が、すでに書かれていたから。

これたぶん、口からでまかせ、その場しのぎ、という意味での言い訳ではない。たとえ著作権の概念となじまなくても、「自分の曲」がたしかにあるのだろうし、その曲を実際に書いたのが自分なのか他人なのかということは、それほどたいした問題ではない。それが自分にとって「自分の曲」と感じられるかどうかという重大事と比べたら。

これ、渋谷系のひとたちがさかんにやっていた引用合戦とは違うので、混同なされぬよう。

このお兄ちゃん、ガールフレンド(ヘイリー・ファイファー。おぼこくてかわいい)に向かって、キミちょっとソバカスが多すぎるね、だとか、さらにはもっとひどいことも、平気で言ってしまう無神経さを備えていて、まったく他人とは思えないのだ。

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あの手この手で泣かせようとするような悪辣な映画ではないことは、最後のほうで、チチがハハに復縁を申し入れる際のハハの反応(実際、見ていて気まずくなるほどのものだ)などで、よく分かる。

その少しあと、チチとハハが劇中で最後に交わすやりとりを見ていて思ったこと。この家族はわたしの実際の家族のありかたとは似ても似つかないが、それでもなお、ここに出てくる兄弟は子供時代のわたしなのだし、さまざまな面でだらしのない父親は、わたしがもし父親になったならばそうなってしまうであろうところの姿かもしれない。

つまりこれはわたしにとって「自分の映画」だということ。みなさんにとっても、少なからずそうなりうると思うよ。

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作られたのは2005年。カメラは、とても現代の商業映画の新作とは思えないヴィンテージ感覚の色調、画調で、見事に80年代のアメリカ映画の雰囲気を再現していた(適当)。

てのひらでじっと温めてやりたくなるような、この小さな映画、5月4日まで早稲田松竹でやっています。連休にぜひどうぞ。
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by soundofmusic | 2007-05-01 03:09 | 日記 | Comments(0)