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金がなければ頭を使え!

うわわーっ、て別にそんなたいそうに驚くほどのことでもないんだけど、前回「ザ・フィースト」を見て、あれを見たらどうしたってロン・アンダーウッドの大傑作「トレマーズ」のことを思い出さないわけにはいかないからそう書いたら、タイミングよく、明日、24日(木)に地上波放送! 東京12チャンネル! しかも深夜ではなく夜9時から!

これはまったく個人的な問題として、制約のある中でのものづくりに昔から興味があって、制約というのはそれはもういろいろ、才能がないやら金が足りないやら時間が間に合わないやら、あれを出さなくちゃいけないとかこれは出しちゃいけないとか、レコーディングの前に機材が全部盗まれたとか(ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのサード・アルバム)、主演女優がだだこねて降板したとか、そういったもろもろを強権発動して全部クリアできてしまうひとはいいけれど、たとえプロでもそうはいかないひとが大部分なわけで、だから、万全の状態で100点のものを5年おきに作るひとよりも、普通だったら仕事に取り掛かろうとも思わないような悪条件下で、70点、80点のものを年に何本もなんとか仕上げてしまうひとたちのほうに、わたしは敬服する。

ティム・バートンの「エド・ウッド」で、ジョニー・デップ扮するエド・ウッドが、動かない人形かなにかと泥の中で必死で格闘する場面があったけれど、どうにかおもしろくしてやれというあの根性を、照りつける太陽の下で展開してみせたのが「トレマーズ」だ。ひとことでいえば田舎町の住人vs正体不明の怪物、の話で、ただし予算の関係上、怪物はあまり画面に出せないから、地中を高速で動くという設定。ついでに臭いがきついという設定で、住人たちはくさいくさい言ってるが、深作欣二が「狼と豚と人間」を回想して言っていたとおり、「ニオイは画面に映らない」もんだから、それを逆手にとって、ひたすらくさいくさい言わせて、見ているこっちにまで、なんとなく、あ、くさいんだ、と思わせてしまう力技。

地中を動く怪物、というアイディアが秀逸なのはもちろんとして、その思いつきを最大限に生かすべく工夫、創造された愉快な住人たち、そして、舞台はどう見てもだだっぴろい田舎なのに、「町の外に通じる道は1本しかなくて、しかもそれは現在通行不能」ということになっている強引な設定。三池崇史のなんかでも、LAでロケしておいて「埼玉県 戸田市」とテロップが出るのがあったと聞く。面の皮の厚さもときには必要。

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「サウンド・オヴ・ミュージック」アンケート号の内容の、このブログでの公開を準備中です。ご参加くださったみなさんには意思確認のメールを送っておりますが、もし届いていない方、いらっしゃったら連絡ください。

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d0000025_1442331.jpgかろうじて生きていることが確認できるほどにまで更新ペースが下がっていた「日々のあわ*シネブックの森」の動きがまた活発になってきて、喜ばしい。

ここ何年か、すっかり本を買わなくなったし本屋にも行かなくなってしまっていて、それでも日曜日の新聞の読書欄だとかみすず書房から届く新刊案内だとかは楽しみにしているという、本好きなんだかそうじゃないんだかよく分からない生活ですが、同ブログで紹介されていた、藤崎康「戦争の映画史 恐怖と快楽のフィルム学」(朝日選書)を買ってみました。手に持った感じがあっさりとしていて、好ましいです。感想は読んでから。
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by soundofmusic | 2008-04-23 14:40 | 日記 | Comments(2)

かくも長き低迷

……っていうのが、なんかのマンガのタイトルであった気がする。

最近の状況を無理やりひとことでまとめると「忙しい」んだけど、仕事が終わったあとや休みの日には映画を見に行ったりしているので、そういうのを世間でも忙しいと呼ぶのかどうかは、よく分からない。ともかく自分内の基準としては忙しい日々が続き、なおかつ、この3週間くらいの間、体調が万全だった日が2日か3日しかない始末。

映画を見ても相対的にはあんまり楽しめていなくて、よく寝たりもしている。つまらないことをつまらないと書くほどの気力はなく、また、面白かったものについてもあまり気分が乗らなかったり時間がなかったり、でした。よく、忙しいという理由でブログの更新が止まったり、メールに返事くれなかったりするひとがいて(特定の個人を非難する意図はないよ)、いくらなんでもそんなに忙しいってことはないだろう、と、別段恨みがましい気持ちではなく、思っていたけれど、実際、そういうことは、あるみたいだ。

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さて、これは別にわたしの(たいしたことのない)多忙ぶりを世に知らしめるためのブログではないので、いつもどおり、気になったもののいくつかについて、なるべく手短に(これが苦手)、書いておくことにする。

●ジャ・ジャンクー「長江哀歌」

2007年のキネ旬様ベストテンの1位につき、勉強のつもりで見に行く。以前「世界」を見に行ったら、いきなり最初にオフィス北野のロゴが出たもので、あ、そういうところから金もらってるひとね、とげんなりして、映画も楽しめなかった記憶あり。

アジア映画は日本映画くらいしか見ないので、ほかと比べてどうこう、というのは分からないけれど、外国向けの「中国代表選手」らしさも含めて、好ましく思えました。とにかく三峡のあの、自然と人造物(半分廃墟)の混在した感じを見るのが気持ちよくて、すぐ退屈するわたしにしては珍しく、2時間ほとんど退屈しなかった。

途中でUFO(?)が出てくるのにはちょっと驚いた。また、トイレが近いので(わたしが)、途中でトイレに行きたくなり、だいたいはガマンするんだけど、この映画については、わりとためらわずにすっとトイレに立った。ま、そういう、ちょっとくらい目を離してもさしつかえない映画です。オススメ。

●青山真治「サッド・ヴァケイション」

笑い話にもならないんだけど、しばらく前まで、黒沢清も青山真治も是枝裕和も、自分の中で「若手監督」みたいな扱いで、みんなおんなじような映画撮ってるんだろ、くらいの認識でした。思い出すに、いくらなんでもこれはひどい。50過ぎの黒沢を若手というのもひどいが、黒沢清ってなんだか35歳くらいな感じがする(それじゃわたしと同い年だよ)。

去年、青山の「AA」を見て静かに興奮して、そのあと「ユリイカ」を見たら問題はあるけどまずはいい映画だと思って、それで今回「サッド・ヴァケイション」を見た。「Helpless」は見てないけど、これ単体で見ても、奥に何かあることはかろうじて分かるので、それなりに堪能できる。執拗に画面に入り込んでくる若戸大橋が脳裏にこびりつく。橋のたもとで流れ者たちを雇う中村嘉葎雄のキャラクターは、前田陽一の「神様のくれた赤ん坊」のアラカンを思い出させてくれた。というか、単に北九州的な侠客のイメージなのかもしれないが。

アルバート・アイラーの「ゴースツ」(を長嶌寛幸がカヴァーしたものなのか?)がソウル・フラワー・ユニオンに聞こえた。

●野村芳太郎「東京湾」

初めて見たのはたぶん2001年ごろのフィルムセンター。それで気に入って、次が一昨年の三百人劇場、そして今回のシネマアートンと、どこかでかかるたびに見に行っている。ソフト化もされていないし、上映が8年間で3回とは少なすぎる。これ、わたしのツボど真ん中に命中の映画です。

東京オリンピック直前の浅草、日本橋、押上、立石、西新井橋、といったあたりを舞台にした刑事もので、そのへんの土地になじみのあるひとには相当ぐっと来るんじゃないかと思いますが、そうでないわたしにも楽しいのは、ちゃんと景色が映画の中で生きているから。銀座線の浅草駅の改札からプラットフォームに降りていくあたり、改札や階段はもちろんいまは新しくなっているけれど、建物のいわば骨格は、昔と今とほとんど変わらないように見える。「東京映画」の傑作だと再確認しました。

本日、金曜日までの上映。間に合う方はぜひ。間に合わない方は、次回どこかで上映されるのをお待ちください。

●ジョン・ギャラガー「ザ・フィースト」

舞台はテキサスとかどっかそのへん、荒野の一軒家のバー。正体不明で高速の怪物が現れ、それに立ち向かう客たち。店の電話は壊され、携帯電話で助けを呼べばいいんじゃないの? と思ったら「ここは谷間で電波が入らないんだ」ととってつけたようなエクスキューズ。そして、極力怪物の姿を見せない演出。かの傑作「トレマーズ」を髣髴とさせる拾い物、と書いて、その意味が通じるひとはぜひ見に行くべし!

「トレマーズ」のころはCGはまだなかったので、低予算を補うための苦肉の策として、怪物を見せないあの手この手が駆使されたわけですが、21世紀になって、やろうと思えばいろいろできるであろうところ、あえて怪物をなるべく見せないようにしているのは、意図的な演出なのでしょう。そして、それはかなりの効果をあげています。とにかく、カット割が激しくて何が起こっているのかときどき理解できない。怪物が出てくるところはコマ撮りアニメみたいで妙にぎこちない。全体に、金かかってんのかチープなのかわかんない。ということで、奇妙に頭のいい感じが漂ってます。といったら誉めすぎか。

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前回の日記でご案内したイメージフォーラム・フェスティバル2008のリンクが切れていたので(修正済み)、ようやくできた公式サイトをご案内します。→

寺山修司賞「しあわせ」の徳本監督によれば、プログラムL「スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド」(ソフィー・ファインズ監督)が面白いとのこと。「ヒッチコック、デイヴィッド・リンチ、ウォシャウスキー兄弟などのさまざまな作品を引用して、映画の隠された言語を掘りおこす」ものだそうで、これ、見たいと思っていたのでした。しかし、行けない時間帯の上映……残念です。

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長々と書いた割には内容が薄いね、こりゃ。つまんなくてもマメに書いてあるほうがいいと思うので、なんかあったらなるべくちょこちょこ更新したいと思います。
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by soundofmusic | 2008-04-18 04:03 | 日記 | Comments(0)

バンドみたい

「サウンド・オヴ・ミュージック」のアンケート冊子、Lilmagでの取り扱いが開始されました。森山と会う予定のないひと、Lilmagでの買い物のついでにぜひどうぞ。商品紹介はこちら

……って、よく見ると、背表紙にいろいろ売り文句が書いてあることになっていたり(正しくは「裏表紙」ね)、発行日が2008年3月39日になっていたりと、野中店主のあわただしさがうかがわれます(*)。というのは冗談ですが、最近のLilmagのペースはすごいよ。(たぶん)ここでしか入手できないものが、連日ぞろぞろ入荷してくる。

「サウンド~」はちょっと場違いなのかもしれませんが、タダだし、なにかの間違いで誰かが手にとってくれたら嬉しいです。そして、ここを読んでいるみなさんも、ぜひLilmagにお立ち寄りを。英語のものも多く、とくに断わりなく置かれているので、買うときはお気をつけください。

*→現在は修正済み。

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土曜日は「黒の試走車」でした。お越しくださったみなみなさま、どうもありがとうございました。今月は、ゲストの有馬ゆえさん、ssotaさん含め、全員良かったね。回を重ねるごとに、イヴェント自体のグルーヴが出てくるようになっていると思います、と自画自賛。

そういえば何か月か前の「試走車」の日に、SZさんにすり寄っていって、「SZさんって楽器とかやったことあるんすか? ないんすか? まんが道をひたすら大驀進なんすか? がむしゃら凸凹大レースなんすか? ぼくらみんな音楽好きじゃないですか、だからバンドやったら楽しいと思うんだけどなあ」と言ったことがあった。そのときは、「いや、せーの、でやったらいいかもしれないけど……」みたいな返事が戻ってきた。

でも、考えてみたら、みんなでほかのメンバーの出す音を聴いたり、出しそうな音を想像したりして、それでうまいこといったりいかなかったりして、実際どんな音が出るのかは当日にならないと分からない、しかも神のみぞ知る、というわけだから、これはもう、バンドをやっているのとそんなに違わないようにも思う。

以下、わたしの出した音。

01.Deliver The Word/Lonnie Jordan
02.ノッキング・オン・ユア・ハート/小坂忠
03.Non-Stop Home/Weather Report
04.Red China Blues/Miles Davis
05.Rated X/Miles Davis
06.Guitar/Prince
07.Tell Me Something True/Tift Merritt
08.Let Us Pray/Elvis Presley
09.コバルトアワー/クレイジーケンバンド
10.Crazy in Love/The Puppini Sisters
11.All That I Need is Love/Melody Gardot
12.Dancers in Love/Duke Ellington

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「黒の試走車」は、今月から第1土曜日の開催に移動したので、次回は5月3日(土)です。みなさんどうぞよろしく。

んで、連休のご案内ですが、わたしのお友達の徳本直之さんと鎌田綾さんが共同監督した短篇「しあわせ」が、イメージフォーラムフェスティバルで入選(寺山修司賞。賞金20万円)し、今度上映されます。

フェスティバル自体は、東京では4月27日から5月6日に開催。アート系の短篇とかアニメーションが多そうな感じで、手塚眞や鈴木志郎康も出品しています。「しあわせ」の上映は4月30日(水)と5月3日(土)。情報はこちらで。プログラムⅠでかかります。

わたしは5月3日(土)、14時半の回を見て、それから「試走車」前のジャズ喫茶めぐりとして中野新橋のジニアスに行くつもり。

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3月22日のセットリスト、完全版になりました。
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by soundofmusic | 2008-04-09 16:59 | 日記 | Comments(2)

お花見帰りに

d0000025_0352442.jpg遅くなりましたが、3月22日のセットリスト、不完全版が公開されています。週末のうちには完全版に更新される予定。

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で、こちらも遅くなりましたが、今晩は「黒の試走車」! お花見の帰りなどに、お気軽にお立ち寄りください。「サウンド・オヴ・ミュージック」のアンケート冊子も配布します。参加していただいたみなさんには少しずつ発送していますので、お待ちくだされたく。

このイヴェントって、とにかくみんな引き出しが多くて、しかも事前の打ち合わせがあるわけでもないので、やっている本人も、当日になってみないとどんな感じになるのか分からないという、まあそういうイヴェントです。今回は有馬ゆえさん、ssotaさんとふたりもゲストを迎えて、カオティックで心地よい夜になるのではないかなあと。

*黒の試走車 Vol.14*
2008/04/05(土)19:00~23:00
@メスカリート
(渋谷区円山町28-8第18宮廷マンション)
地図
チャージ:500円+1オーダー(500円)
DJ:マジック、チバ、SZ、az、森山兄
ゲストDJ:有馬ゆえ、ssota

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すいません。今日は告知のみにて失礼。
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by soundofmusic | 2008-04-05 00:43 | 日記 | Comments(0)