<   2008年 11月 ( 8 )   > この月の画像一覧

禁断のビッグマウス

日曜日、PPFNPでした。お越しくださったみなさん、どうもありがとうございました。具合の悪いところ回していただいたichiさん、穴埋めで頼んだ宇内さんにも感謝を。セットリストは揃いかかったら載せます。次回開催は来年の1月31日(土)。詳細は決まりましたらお知らせします。

「サウンド・オヴ・ミュージック」、できあがったので当日配布しました。ただしちょいと忙しいので、各地への発送は基本的に来週以降になります。お待ちください。

---

先週くらいだったか、むかし治した(というか直したというか)歯が猛烈に痛み出して、帰り際、家の近所の歯医者に頭から飛び込んだら、今日は空いてなくて予約が取れるのが2週間後です、と言われて困ってしまった。

そうそう時間を作れるはずもなく、かといって虫歯による歯痛は放っておいてよくなることは基本的にはないので痛くなったらすぐに医者に行ったほうがいいことをわたしは知っているので(ひとさまに自信を持ってお伝えできる数少ない知識のひとつ)、さあどうしようと思い、少し考えて、会社のそばの歯医者に会社の休み時間に行けばいいのだと気付き、で今、通っている。

ただし、うちの会社は昼休み時間が短く、どれくらい短いか書いてしまうとそれだけで勤め先が特定できてしまうくらいの短さなので、いくら会社の近所の歯医者に予約した時間ぴったりに行ったとしても、1回の治療を終えて戻ってくると規定の休み時間を超過する仕組みになっている。

わたしの仕事はずっと職場の中にいるだけで、食事以外で外に出ることはないから、休み時間に軽音楽を聴きながら歯を削られるのは気分転換になって、なかなか悪くない。聴いている途中はたしかに気持ちいいと思ったのに、どんな音楽だかもう思い出せない。BGMの鑑だね。

一度虫歯になった歯は決して元に戻らないものだと思い込んでいたけれど、なんだかの薬を塗ると、虫歯の菌が石灰化して歯が少しずつ再生するのだそうで、これはカルチャーショックだった。

しかしそれよりも毎回面食らっているのは、治療中に「お口、楽にしてください」と何度も注意を受けること。この意味はつまり、「そんなにバカでかく口を開けんじゃねぇよ!」ということで、こればっかりは慣れない。
[PR]
by soundofmusic | 2008-11-27 11:28 | 日記 | Comments(0)

リスト Volume 69 2008.11.23 ゲスト:ichi&うない

暫定版です。

***森山兄***

1 Kathryn Williams / The Ballad of Easy Rider
2 サラ・テ・ロロコ / みじかい電車
3 K. J. Denhart / Lucky 7
4 The Countdown Quartet / Royal Garden Blues
5 Robbie Fulks / It's Always Raining Somewhere
6 The Beatles / Dr. Robert
7 The Wood Brothers / Make Me Down a Pallet on Your Floor
8 Sloan / Right or Wrong
9 Kathleen Edwards / Westby

<コメント>

1 最近気に入っている、現代イギリスのゆるふわSSW。女版ニック・ドレイクと言ったらほめすぎですけど。これは、ザ・バーズのカヴァー。

2 先日、轟渚と夕映えカルテットを見に行ったときに出ていた女性SSW。会場でもらったデモCD(プレス盤でした)より。一見ゆるふわ、実は芯は硬そうです。

3 "Urban Folk and Jazz Musician"を自称する、ニューヨークの肝っ玉母さん系SSW。

4 ダーティ・ダズン・ブラス・バンドのバッタもんみたいなバンド。いまもやっているのか知りませんが、90年代末ごろの録音より。

5 現代のルーツ系SSW。たぶんアメリカ人。

6 5を聴いていて、「ドクター・ロバートに似てるなあ」と思ったので。続けてかけてみると、やっぱり似てる。

7 現代の(たぶん兄弟)デュオ。この曲は音響ブルーズみたいな感じ。

8 個人的にはもうあまりパワーポップに興味ないんですが、やはりいい曲を書くバンドだと思いました。なお、4、5、8は、Yep Rocのサイトのバゲーン(アルバム1枚$5)で叩き売られていたので通販しました。

9 たまたまですが、このセットはキャスリンで始まりキャスリーンで終わりました。女版ライアン・アダムズとか、新手のルシンダ・ウィリアムズとか言われているSSW。なにかの間違いでいまうちに2枚あるので、欲しい方には適価でお譲りします。

***森山弟***

1 Rolling Creekdippers / In My Hours Of Darkness
2 Joni Mitchell / The Circle Game
3 Carole King / You've Got A Friend
4 トーキョー・No.1・ソウル・セット / Bow & Arrow ~ あきれるほどの行方
5 Beach Boys / Disney Girls
6 XTC / The Ballad Of Peter Pumpkin Head
7 真島昌利 / かしこい僕達
8 ハイロウズ / 日曜日よりの使者

<コメント>

1 カントリー・ロックの神グラム・パーソンズのトリビュート盤より。ベック、コステロ、ウィルコ、プリテンダーズからシェリル・クロウまで参加の豪華盤です。

2 70年発表の3作目より「いちご白書」の主題歌。瑞々しすぎる!

3 好きすぎた勢いが余って3枚も持ってる「つづれおり」に収録。爽やかさ120%の名盤なんて言われてますが結構しんみりする内容ですよね。

4 先日「僕らの音楽」で小泉今日子とコラボしてるのをたまたま見かけたら、ビッケの気色悪さに拍車がかかってて笑いました。なんでもキョンキョンとは20年の付き合いだそうで、メンバーも気づけば全員40歳過ぎてるんですね。

5 なんとなくクリスマスが近づくと聴きたくなる曲。歌詞を読んだら別にクリスマスとは関係ないようです。ある種のビーチ・ボーイズ・ファンは最高傑作に挙げるであろう「サーフズ・アップ」(71年)に収録。

6 高校二年の春、発売日に自転車で買いに行った「ノンサッチ」からのシングル曲。英国の至宝。

7 昨今の蟹工船ブームを15年以上前に予見していたっぽい、労働者の怒りと悲哀に満ちたアルバム「RAW LIFE」より。阪神大震災の朝これを聴きながら音を消したテレビをぼんやり眺めていたら、暴動の映像に見えてきたのをよく覚えています。

8 日曜開催にちなんでみました。いつ聴いても泣けちゃう名曲。

***ichi***

1 THE MAIN STREET SINGERS / SUNNY
2 The Midas Touch / I JUST CAN'T HELP BELIEVIN'
3 NINO & APRIL / YOU'LL BE NEEDING ME BABY
4 THE LEFT BANKE / GOODBYE HOLLY
5 トワ・エ・モワ / LOOK OUT AT THE RAIN(或る日突然)
6 THE BELLS / I'M GONNA GET OUT
7 CHRIS MONTEZ / DAY BY DAY
8 THE BUCKINGHAMS / DON'T YOU CARE
9 ETERNITY'S CHILDLEN / Look Away
10 The Eighth Day / THAT GOOD OLD-FASHIONED WAY
11 小林啓子 / ちょうどそんな風の中
12 ザ・ヘヤ / ふたりのシーズン
13 GEORGIE FAME / Happiness
14 ザ・ヘヤ / 移民の歌
15 面影ラッキーホール / 中に出していいよ、中に出してもいいよ

***うない***

近日発表

***森山弟***

1 Cramps / Cramp Stomp
2 Speedometer / Episode In Palmetto
3 Speedometer / Have You Got The Message
4 Herbie Mann / Menina Fela (Ugly Girl)
5 Milton Banana Trio / Girl From Ipamema
6 Gal Costa / Flor Do Cerrado
7 Feist / 1234
8 Lyle McGuinness Band / Irish Eyes
9 16 TONS / 我に希望あれ
10 Pogues / Fiesta

<コメント>

1 76年の結成以来現在まで現役バリバリのガレージ界の重鎮。97年の「Big Beat From Badsville」より。サイコビリーを発明したおしどり夫婦グループとしても音楽史に名を残すことになるでしょう。

2 ロンドン発怒涛のディープ・ジャズ・ファンク・バンド。ほんとにこれ今世紀の録音かっていうくらい70年代のゴリゴリ感で突っ走ってます。

3 活きがいいのでスピードメーターをもう一曲。

4 今回も出ました、ハービー・マン。毎回兄弟のうちどっちかがかけてる気がしますが、ボサノヴァに傾倒する前のセルジオ・メンデスを従えて例によってフルートで大暴れしてます。

5 ジャズ・サンバのリズムのことを考える時はミルトン・バナナのドラムが教科書になるかもしれません。リムショットの嵐が美しすぎる。

6 ガル・コスタは、この曲のタイトルのとおり力強く美しい野生の花ですね。カエターノとジョアン・ドナードが強力にバックアップした74年の「カンタール」より。

7 例のiPodのCM曲です。

8 マンフレッド・マン(人名)率いるマンフレッド・マン(グループ名)の元ギタリスト、マギネス・フリントのトム・マギネスと、マギネス・フリントから派生したギャラガー&ライル(元ロニー・レイン&スリム・チャンス)のグラハム・ライルがコンビを組んでリリースしてたらしいアルバムより。こんなものまで買う必要はありませんが、マギネス・フリントの26曲入りアンソロジー「Capitol Years」とギャラガー&ライル初期の数枚は英国フォーキー好き必聴です。

9 日本一のポーグス・フォロワーとしてもっと評価されてもいいと思ってるうちにどこかへ行ってしまった愛すべきグループ。インディーズ~メジャー初期のテンションとクオリティの高さは異様。

10 最高傑作「堕ちた天使」より。なにはなくともこれだけはまず押さえましょう。お願いします。

***森山兄***

1 Buddy Rich / Greensleeves
2 Jackie & Roy / Kenny's Minuet
3 The Swingle Singers / Prelude No.24 in B Minor
4 The Modern Jazz Quartet / Precious Joy
5 Ed Thigpen / Harper
6 Kai Winding / Singin' in the Rain
7 The Amigos / Strangers in the Night
8 浜村美智子 / ママはブーブー
9 Ahmed Abdul-Malik / Nadusilma
10 Iannis Xenakis / Komboi
11 John Cale & Terry Riley / Ides of March
12 Carole King / Back to California
13 Jim O'rourke / All Downhill from Here
14 高田渡&ヒルトップ・ストリングス・バンド / ヴァーボン・ストリート・ブルース
15 Gabriel / Idle Days
16 Lady & Bird / Suicide is Painless

<コメント>

1 名ドラマー率いるビッグ・バンド。たぶんイギリス民謡なんだろうと思います。ポピュラー音楽と民謡とのかかわりについては断続的に調べていきたいと思っています。誰か助成金を出してください。

2 エピックからの唯一のリリースである7インチ「ライフ」のB面曲(たぶん未CD化)。ケニー・ランキンほか作のメヌエット。1とうまくつながりました。

3 J.S.バッハの曲をダバダバコーラスで歌っています。ジャズ+バロックな音楽がなにかないか、とのSZさんのリクエストによりプレイ。

4 バッハとブルーズを半分くらいずつやった妙なアルバム『ブルーズ・オン・バッハ』より。バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」です。MJQの妙さについてはもっと考えられてもいい気がします。

5 オスカー・ピーターソン・トリオなどで活躍したドラマーのソロ『アウト・オヴ・ザ・ストーム』より。ギターはケニー・バレルです。なお、お前も寺島靖国同様にウェス・モンゴメリーは嫌いなのか? との質問を受けましたが、そんなはずがありません。

6 フィンガー・スナッピン・ミュージックのシリーズで出たアルバム『レイニー・デイ』より。

7 どこの国のひとか分かりませんが、メキシコ人か何かでしょうか。パーカッションがぽくぽく言っているのをバックにした、軽音楽風コーラス。シナトラのうたで有名な曲。カーネーションのライヴの導入時にも使われていた。

8 いんちきラテンはわたしがこの世でもっとも好きな音楽のひとつ。

9 スーダン系、アメリカ生まれのジャズ・ベーシスト、およびウード(アラビア琵琶)奏者。いんちき、というにはけっこう本格的に聞こえる中近東サウンド。「アラビア琵琶」って言いにくいですね。

10 1922年、ルーマニアに生まれたギリシアの作曲家。建築家として活躍するかたわら、音楽においては物理学や数学の原理を応用した確率論的手法を用い、戦後の前衛音楽が行き詰まりの中、超音楽への道を拓いた作曲家として知られる。音楽と数学に関する数多くの理論でも有名。10歳で家族と共にギリシアに帰国、アテネ工科大学で建築と数学を学んだ。第2次世界大戦中、ギリシアの解放運動に加わり、負傷して左目を失う。投獄され、欠席裁判で死刑の宣告を受け、 47年パリに亡命。そこで、オネゲル、ミヨー、メシアンに作曲を師事することとなった。55年に作曲家としてデビューした後は、次々と作品を発表、一躍注目の存在となる。建築家としても有名で、ブリュッセル万国博覧会のフィリップス館など、多くの設計を手掛けた。

とのことです。ル・コルビュジェのアシスタントをしていたこともあったはずです。この曲は、ハープシコードとパーカッションという編成で、ビートが利いててかっこいいです。18分くらいありますが、かけたのは最初の2分くらい。それにしても「超音楽」ってすごいな。わたしも作ってみたい。

11 初期のヴェルヴェット・アンダーグラウンドの半分は、やっぱりジョン・ケイルでできてたと思うんですよね。ミニマルな現代音楽家のテリー・ライリーと一緒に作ったアルバム『チャーチ・オヴ・アンスラックス』より。トゥイン・ドラムスでしょうか、ビートが超ヒップ。これも、10分くらいある曲の最初の3分くらいのみ。

12 金曜日にキャロル・キングを見に行きました。ドラムは入っていなかったので、彼女のグルーヴィな面はあまり出ていなかった。ということでここで補完。『ミュージック』の曲。これもドラムがバタバタ言っててかっこいいです。

13 ジムさんがギター弾きまくり。ハード・ロック的でもあるポップな曲。

14 高田渡が組んでいたバンド。ホーンなども入ってにぎやかなサウンドです。しかし、「ヴァーボン」ってなんだよ。「デヴュー」とか書くひとも意味わかりませんが。

15 エッジエンドにて毎月第3水曜日に開催されているイヴェント「イン・ザ・パシフィック」でよくかかる、ブルー・アイド・ソウル・バンド。のどかにスウィングしていて、いい感じです。

16 ケレン・アンと誰だかのユニット。ロバート・アルトマンの映画「マッシュ」の主題歌です。名曲。自殺したって痛くない。

***おまけCD「Don't Cross The River」曲目***

1. Ocean Colour Scene / The Riverboat Song
2. カーネーション / エド・リヴァー
3. The Band / Up On Cripple Creek
4. Rising Sons / If The River Was Whiskey (Divin' Duck Blues)
5. Diz and The Doormen / Swanee River Jump
6. Ramsey Lewis / Down By The Riverside
7. 石川セリ / 川景色
8. Waltel Branco / Moon River
9. The Dirty Dozen Brass Band / Down By The Riverside
10. The Kinks / Sitting By The Riverside
11. アン・サリー / レイジー・リヴァー
12. Gal Costa & Caetano Veloso / Onde Eu Nasci Passa Um Rio
13. Paul Simon / Peace Like A River
14. Bert Jansch / Smokey River
15. Nick Drake / River Man
16. Meg Baird / Riverhouse in Tinicum
17. Vashti Bunyan / Rainbow River
18. Eric Andersen / Blue River
19. Joni Mitchell / River
20. 宇多田ヒカル / ディープ・リヴァー
21. Ellie Greenwich / River Deep, Mountain High

☆9月のおまけが「山」だったので、今回は「川」。超安易。
[PR]
by soundofmusic | 2008-11-24 18:16 | PPFNPセットリスト | Comments(0)

イキウメ

d0000025_15302759.jpgしつこく告知します。あさっての日曜日、PPFNPです。ソフトロックからヘヴィメタルまでを股にかける男、ichiさんのプレイをお聴き逃しなく。もうひとりのDJ、宇内さんは、最近、宇都宮をサイクリングしてきたのだとか。森山の兄弟も知らない宇都宮の居酒屋とかバーとかの情報に、やけに詳しくなっていました。そのへんの与太話も、聴きたければまあ、ご自由に。

---

当日配布するおまけCDと、フリーペーパー「サウンド・オヴ・ミュージック」の最新号が、次第に出来上がりつつあります。おまけCDは、9月配布のものと対(←ピンク・フロイド)になる感じです。フリペは、パフュームからムルナウまで幅広い話題を満載。

今回の大目玉(怒られてるみたい)は、大阪在住の専業主婦映画ファン、田中美鈴さんの原稿です。彼女が作っているすべて手書きのフリーペーパー「ルリ祭り堂通信」については、以前こちらで軽く紹介しましたが、今回の原稿は、なにかに触発されて書く、ということの新しい形かもしれない。常々、このひとのおもしろさをもっと広く知らしめたいと思っているので、今回のことでファンが増えることを希望します。お楽しみに。

今年最後の号なので、恒例のアンケート用紙もはさみこまれています。こぞってご参加ください。

写真は、印刷しに行ったときに見た、某区の区民センターのホワイトボード。そこで活動している地域のサークル名だと思うんですが、「イキウメ」ってなにをするグループなんだろう。
[PR]
by soundofmusic | 2008-11-21 15:30 | 日記 | Comments(0)

スウィート・スウィート・ナインティーズ

忘れないうちにまず、次回のPPFNP、今度の日曜日、23日の開催です。土曜日ではありませんのでご注意くださーい。

---

さていま、シネマヴェーラで岩井俊二特集をやっていて、ラピュタの山下耕作にでも行ったほうがいいんだがなあと思いながらも、一応、見ておくべきものかと思い、未見の「スワロウテイル」を見ました。これでも何本かは彼の作品を見ているので、そこから敷衍して、こんな感じかな、あんな感じかな、とあれこれ想像していましたが、念のために言っておくと、それは、期待していたというのではまったくなく、どうせ好きじゃない類の作品だろうというのは分かっていました。

さて、10年越しでようやく見てみたところ、見事に期待通り、じゃねえや、予想通り。こんな感じでダメなんだろうなー、という読みが寸分狂わず当たるのって、うれしいんだかうれしくないんだか分からない。

先月だったか、マルレン・フツィエフと佐藤忠男の対談を目当てに、95年のキネマ旬報を図書館で借りて読んだことがありました。ちょうど、岩井の「ラヴ・レター」が評判を呼んでいたころで、1冊のキネ旬の、いろんなところにその話題が出てくる。そのなかに、この作品の公開形態の前例のなさも書かれていて、そういえば、そんなとこも話題のひとつだったなあと思い出しました。

いまだとシネコンがどこにでもあって、メジャー大作からミニシアター系のものまでなんとなく見る機会が作れるようになっているけれど、95年ごろだとシネコンも一般化する前で(いわゆるいまあるようなタイプのシネコンが日本にできたのは93年のこと)、まだまだ日本映画業界は風通しが悪かった時代。「ラヴ・レター」は、邦画と洋画のブロックをうまく組み合わせて配給されたとか、そんな感じじゃなかったかなあ(うろ覚え)。で、わたしはまだ映画ファンになる前だったけど、宇都宮の映画館で「ラヴ・レター」を見て、こりゃダメだ、と思ったのでした。

今回、「スワロウテイル」を見に行ったのは平日のラスト、7時30分くらいの回。ふだんのシネマヴェーラとは若干違った感じのお客さんで、けっこうにぎわっていました。たぶん、リアルタイムで見て直撃された世代が、ひさしぶりにスクリーンでかかる、と聞きつけてどこからともなく(比喩)現れたのかな、と感じられました。

---

94年に出た岡崎京子の「リバーズ・エッジ」は震えるほどの衝撃だったけど、その年に岩井が撮った3本の映画(「打ち上げ花火~」「PiCNiC」「undo」)は、いまに至るまで未見。「ラヴ・レター」は95年、「スワロウテイル」は96年。「エヴァ」の放送開始は95年の秋で、話題になり出したのは年を越してから、あるいは放送終了後からじゃなかったかなあ(うろ覚え)。で、わたしは「エヴァ」をまったく知らない。

何度か書いていることだけれど、95年といえば、1月の阪神大震災の日は卒論の提出締め切り日で、前の晩、遅くまでそれをやっていて、朝起きてテレヴィをつけたら高速道路がベーコンみたいに折れ曲がっていた。卒業式は、オウムさんが地下鉄にサリンを撒いた日に挙行された。わたしはそれに出席していない。

---

そんなわけで、岩井がぶいぶいのし上がっていった95~96年、わたしはひたすら鬱屈しており、岡崎京子は96年に交通事故にあった。そういうこととは関係なく、「スワロウテイル」のエセ無国籍感(村上龍かよ)、現実の東京とYen Townとの地続き感のなさ(東京のどのあたりの埋立地とか、ウソでもいいから言ってくれよと叫びたくなる)は、ちょっとなんだかなあと思う。細野晴臣の『はらいそ』にあふれていたワクワク感が、ここにはない。

もっとも、いま思い出したことを書いておくと、わたしが初めてお台場あたりに行ったのは95年か96年のことで、すでにゆりかもめはあったけれど、いや、ゆりかもめだけはあったけれど、当時のあのへんは、本当に地の果てのような場所だった。あのへんのただっぴろい空き地にあのころ、バラックがあってそこに住んでたんだ、それがYen Townだったんだよ、と言われれば、まあなんとなく、かろうじて、信じられないでもない。かな。

昔話おしまい。
[PR]
by soundofmusic | 2008-11-16 05:18 | 日記 | Comments(0)

エアプレイン

……って、飛行機のことですけど。

そういえば今日は秋葉原で文学フリマがある日なのだったな。サイトを見ると、ロゴには「Bungaku Flema」と書いてあるのにURLはhttp://bunfree.net/なのだな。わたしは残念ながら行けないのですが、いつも「サウンド・オヴ・ミュージック」を扱っていただいているLilmagさんがB-13にいるとのことなので、行かれる方はどうぞお立ち寄りのうえ、森山がよろしくと申しておったとお伝えください。

その「サウンド・オヴ・ミュージック」の最新号の原稿、何人かに発注中です。おひとりからすでに届いていまして、これがまあ、こちらが叩きつけたお題を独自の解釈で見事に打ち返してきてるのもすごいんだけど、その原稿自体が、映画を見ることの肉体性というか、そんなものまで感じさせてくれるありがたいシロモノでした。早くみなさんに読んでもらいたいです。

---

矢口史靖「ハッピー・フライト」の試写が当たったので、見ました。見終わったら、一緒に行ったひとが、「綾瀬はるか、ただ主役なだけ」と言っていて、その表現が面白いと思ったし、また、言い得て妙でもありました。これ、たぶん相当な時間をかけて、また、奥深くまで入り込んで取材をしたのだろうね。ネタが余って余ってしかたないといった感じで、飛行機にまつわるあれやこれやをいろんな方向から描いていて、登場人物は膨大だけど、混乱する隙すら与えない。したがって、綾瀬はるかだけをずっと見ていたい、というひとには不向きですが、それ以外のひとは一見の価値あり、と思います。

先月は高橋源一郎と中原昌也の対談が当たったし(行けなかったのでひとにあげちゃったけど)、この間は若山×勝新特集の招待券が当選したりもしていて、最近、地味に懸賞運がいい。ただしよくないことも起きているので、まあ、バランスは取れていると言えるかも。
[PR]
by soundofmusic | 2008-11-09 09:26 | 日記 | Comments(0)

テーブルにイタチが

11月23日のPPFNP情報がアップされております。ご覧ください。

---

ティアラこうとうの、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の演奏会に行きました。自発的に、自腹を切ってクラシックのコンサートに行ったのはこれが初めてです。

今年、スティーヴ・ライヒを見に行って、ロックやジャズのライヴとはまったく違った文化圏の出来事であることに興味を持ち(好きになったかどうかはよく分からない)、もっとクラシックっぽい、こってりとしたやつが見たいな(「聴きたい」というよりも)、と思い、出かけていきました。演目は黛「饗宴」、ガーシュウィン「パリのアメリカ人」、バーバー「弦楽のためのアダージョ作品11」、バーンスタイン「シンフォニック・ダンス」。チケット代はS席3500円。

---

ライヒのときにはステージ上で20~30人近いひとたちが楽器と楽器の間をうろうろ移動したりひとによってはずっと同じところで同じ楽器を演奏していたりして、最終的に誰が誰だかわからなくなるのですけど、ライヒはいつも野球帽をかぶっているので、見失うことはありません。終演後、満場の拍手に押されて、ライヒは何度も袖から引っ張り出され、しばらく拍手を浴びて、何度か礼をしてまた引っ込み、それでも拍手が鳴り止まないのでまた出てきてお辞儀、そのうち袖に戻り、また少したって登場、という動きを繰り返していて、こうして書いてみると、彼の音楽にも類似していた気がします。

帰り際、わたしの100000倍くらいクラシックに詳しいマジックさんに、最後に「サンキュー・トーキョー!」とか言えばいいのにねえと感想を漏らしましたところ、マジックさんは厳かに、クラシックではそういうことをしないことになっている、音楽を言葉に従属させないことが望ましいとされているのだ、と答えてくれました。わたしはそれをくだらないと思いました。

---

わたしが見た日の東京シティ・フィルの指揮者は金聖響で、やはり彼も、マイクで聴衆にあいさつするなどという下衆なことはせず、そのかわり、終演後、コンマスと握手し、肩を叩き、いいソロをとった(と思われる)プレイヤーを遠くから指差して立たせ(学校の先生がするみたいに)、さらには演目の関係上大活躍したパーカッショニスト一同をお前らみんな立て、とばかりに立たせ、最終的にはメンバー全員を起立させ、と派手なパフォーマンスを見せてくれました。

しゃべることなしにどれだけサーヴィスをよくできるか、という思考の結果のようにも見えましたが、もっとも、楽曲の解説は、ロック・コンサートでは基本的には存在しない(存在する場合にはたいてい有料で、大きなサイズで、写真がふんだんに載っていたりする)プログラム・ノーツなる冊子にきちんと書いてあるので、口で説明する必要はないということかもしれません。客は演奏を聴いている途中、食事中のナプキンのようにその冊子を開き、ひざの上にきちんと乗せるのがマナーのようでした。

---

近くの席に、音大生かクラシック・ファンか、みたいな若い(わたしより同年代かそれ以下程度という意味)女性グループがいました。休憩時間にプログラム・ノーツの楽器編成表を見ながらおしゃべりをしているのを聞くともなしに聞いていますと、「名前知らない楽器っていっぱいあるねー」「そうだね、ギロ、タムタム……」「ラテン系のパーカッションなのかなぁ?」などと言っておりまして、軽く衝撃を受けました。結果的に彼女らの推定は正しかったわけですが、そのときわたしには、日本の音楽(受容)文化の行く末に暗雲が立ち込めるのが見えました。

おおむねこんな具合で、音楽、というよりは毛色の変わったイヴェントとして楽しんできた次第ですが、演目の関係上、ジャズ、ブルーズ、ラテンの影響がおおいに聴き取れたのはおもしろかったです。そして、テナー・サックスという楽器のおそるべき野蛮さにも、身が震えました。ごく短いソロですら、晩餐会のテーブルにイタチが飛び乗ったかのような違和感がありました。
[PR]
by soundofmusic | 2008-11-04 08:20 | 日記 | Comments(0)

Pure Pop For Now People Volume 69

d0000025_149791.jpg
2008年11月23日(日)18時~22時

渋谷エッジエンド(Tel:03-5458-6385)
地図。

800円(1ドリンク&おみやげ付き)

DJ:
ichi(ムサシノカチューシャナイト)
うない
森山弟(弟)
森山兄(兄、サウンド・オヴ・ミュージック)

早いもので今年最後の回となります11月は、3連休の中日、日曜日の開催です。お間違いなきよう。

ゲストは、今月はじめの「黒の試走車」でもナイス・プレイを見せてくれたichiさんと、音楽的にどうこうというよりも人手が足りないので穴埋め的にお願いしたうないさん。

おみやげは、9月に配布したものと連動した感じのものになる予定です。9月分をお持ちの方は、ぜひ11月分もあわせてお手元におそろえください。
[PR]
by soundofmusic | 2008-11-03 00:49 | PPFNPイヴェント情報 | Comments(0)

ひとりかふたり

前回、ヴェンダースのことを書きましたが、「都会のアリス」に出てくるあまりにも印象的なモノレール(ヴッパタールという町にある)について調べたり、ニュー・ジャーマン・シネマについて調べたりしているうちに、ヘルムート・コイトナーの特集のチラシに書いてあった「パパの映画は死んだ(Das Papa Kino ist tot)」という文言が、ほかならぬそのニュー・ジャーマン・シネマに大きく関わるマニフェストであったことを知り、へー、と思っていたところ、イメージフォーラム・フィルム・フェスティバルで寺山修司賞を獲った「しあわせ」の監督のひとり、徳本さんからさっき連絡があり、その「しあわせ」が、ドイツのとある映画祭に応募されることになったとのことでした。

もちろん、まずは応募作の中から予選がおこなわれるので、映画祭で上映されるかどうかはまだ分からないわけですが、もし上映されるようなら、せっかくだから見に行ってもいいかなと思っています。モノレールにも乗ってみたいし。

---

d0000025_402558.jpg結局あんまり行けなかったシネマヴェーラのアキム兄弟特集で、ジョセフ・ロージー「エヴァの匂い」を見ました。ジョセフ・ロージーってのがどうにもよさが分からない監督のひとりなんですが、これもねえ……。主人公のスタンリー・ベイカーがなんだか魅力のない顔で、彼が魔性の女、ジャンヌ・モローにひきつけられていくんですが、どう考えたって婚約者のヴィルナ・リージ(写真)のほうがいいだろうに。

音楽はルグランで、これはさすがによい。バーみたいなところでパーカッション・アンサンブルをBGMに黒人ダンサーが踊るところなど、ぞくぞくしました。ヴェネツィアの景色もいろいろと見られるし、映像も凝っているのは分かるのだけど、この程度なら誰だって撮れるのではないか、と思ってしまったのも事実。市川崑、中平康、蔵原惟繕、といったひとたちのほうが、はるかに洒落ていた。

中平は韓国や香港で映画を撮っているし、蔵原は60年代後半から海外ロケに出かけるようになったけれど、たとえば60年代前半に、日本の若手監督をヨーロッパに連れてきて映画を撮らせよう、と考えたプロデューサーはいなかったんだろうか。いや、よしんばいたとして、そして話が持ちかけられたとしても、日本は日本で忙しかったから、無理かな。

半世紀近くたって、黒沢清の新作は日本=オランダ=香港の合作で(という言い方すら、今ではわざわざしなくなったか?)製作にも脚本にも外人の名が見える。映画が、なんだかいろいろぐちゃぐちゃの塊になって前進していくのを見るのは、頼もしい。いや、前でなくてもいいから、わたしを連れてとにかくどこかに進んでいってほしい。その行く先に、チャーミングなイタリア娘がひとりかふたり、いるとなおよい。

---

ぎりぎりの告知であいすいません。今晩開催です。多種多様の楽しい音楽がたっぷり楽しめるお得な4時間。今回はマジックさん欠席。最近すばらしいDJ活動が続いているらしいichiさんと、おなじみssotaさんをゲストに迎えます。

*黒の試走車 Vol.21

●2008/11/01(土)19:00~23:00
@渋谷・メスカリート(地図
チャージ:500円+1オーダー(500円)
DJ:森山兄、チバ、SZ、az
ゲストDJ:ichi、ssota
[PR]
by soundofmusic | 2008-11-01 04:01 | 日記 | Comments(0)