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大恐慌時代

d0000025_17535573.jpgふたつ前の日記で、英国の超新星シンガー・ソングライター、ルーマー(Rumer)のことを書きましたが、あそこに書き漏れたことが2点あって、ひとつは彼女のディクションのすっきりとした美しさ。もうひとつはある曲の曲中で、ステューディオの椅子のきしむ音(たぶん)が、おそらくは意図的に収められていること。それにしてもいいアルバムです。

しかしまあ最近はあまりディスクユニオンに行く時間もなく、数日前にはタワレコで、EMIの999円シリーズを10枚くらいまとめ買いしたはいいものの、いまだに開封すらできていない。

時間がないと言いつつも昨日の夜、下北のユニオンに行ったら、こんな日でも(といったことはわたしはとくに思わないのだけど)、粛々とレコ堀りをしている若者たちがやはりある一定数いて、そのほとんどは単独行動の男子たち。ひとり、単独行動の女子もいて、どうでもいいけど心配。ちなみに徒歩数分のヴィレッジ・ヴァンガードの店内は、いつもどおり若くにぎわっていました。

昨日届いた、中村まりの『シーズ・トゥ・グロウ』が、たぶん今年最後の大衝撃になるはず。1977年生まれのこのひとは、英語の歌詞のオリジナル曲を中心としたシンガー・ソングライターで、わかりやすくあえて言うならば、ギリアン・ウェルチとカレン・ダルトンを足して2で割ったようなひと。英語の発音のよさやディクションの美しさもさることながら、端的にのどが震えている感じと形容すればいいか。大恐慌時代のアメリカの一軒家のクローゼットの奥の隠し扉を開けたらそこが現代日本に続いていた、とでもいうような、浮世離れしていて、それでいて趣味的だったりマニアックだったりはしない、ちょっと存在すること自体が考えられないような音楽です。

1曲を除いては簡素な編成ですが、楽器の鳴りも素晴らしく、音響芸術としても一級品だと思いました。マイスペースなどで、ぜひ試聴してみてください。公式サイトはこちら

いま思い出しけど、中村まり、どうも早川くん(1月8日のPPFNPにご出場)が、どっかでかけていて聴かせてくれたことがあるような気がするわ。
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by soundofmusic | 2010-12-25 17:56 | 日記 | Comments(2)

クライテリオン

d0000025_17172839.jpgご存知の方は先刻ご承知の通り、アメリカにクライテリオンという会社があって、世界各国の古典映画や近年の良作のDVD、ブルーレイなんかを発売しているのですが、そこが来年、成瀬巳喜男のサイレント映画のボックスセット(DVD3枚組、5作品収録)を出すので、詳細確認がてら、ついでにぐるりとサイトを見て回ってみた。DVDを買って手元に置いておきたいという欲求が比較的薄いわたしのような者でも、ああ、これが家にあったら気分がいいだろうなあと思うような内容、デザインのものがいろいろあって、きわめて目に毒なので、怒りをこめて、とりあえずジャケット写真だけいくつか貼っておく。

上から順に、チャップリン「モダン・タイムス」、大林宣彦「ハウス」、今村昌平のボックス「Pigs, Pimps & Prostitutes」。

チャップリンはまるで「時計じかけのオレンジ」みたいだし、「ハウス」は日本版DVDよりも化け猫映画感が増していて好ましい。今村ボックスは「豚と軍艦」「日本昆虫記」「赤い殺意」の3作品収録されていて、タイトルも、たくさんの豚をあしらったデザインも、その上の書き文字も、完璧としか言いようがない。こちらで、でかい画像を見ることができます。

逆に、日本のメーカーが出している旧作日本映画のDVDで、パッケージのデザインを見てうわっ、欲しい、となるものってあんまりない気がする。松竹の清水宏ボックスは、紙の質感をよく生かしていてなごめるものだったけど、あとは、目がちかちかしそうなくらいサイケデリックな「太陽を盗んだ男」とか、それくらいかなあ。

最初に話を戻すと、そもそも成瀬のサイレント時代の作品は日本版のDVDは出ていないように思うし、中国とかの廉価版も見た記憶がない。もしかすると世界初DVD化でしょうか。こうしたことを日本のメーカーがやらない、できないのはどうなんだと思わないでもないけれど、もしかすると、90年代にしきりにあった、古い洋楽が日本でのみCD化されまくった現象の逆転ヴァージョンなのかもしれません。当時は、アメリカ人やイギリス人が、なんで読めもしない日本語のライナーノーツがついている高い輸入盤(日本からの)を買わなくちゃいけないんだ、とぶつくさ言ってたのかもしれないですね。

ここから経済と文化の話を始めることもできそうだけど、めんどくさいので省略します。
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by soundofmusic | 2010-12-18 17:32 | 日記 | Comments(0)

我が魂の季節

d0000025_1720060.jpg「我が魂の季節」なんていうと大げさというか、全共闘世代のひとが書いた鬱陶しい回想録のタイトルみたいですが、そうではなくて、パキスタンに生まれて英国で活動するシンガー・ソングライター、ルーマー(Rumer)のデビュー・アルバム『シーズンズ・オヴ・マイ・ソウル』がいいよって話です。

バカラック、キャロル・キング、カーペンターズあたりが引き合いに出されているらしく、たしかに曲もアレンジもそのへんをよく再現しているみたい。っていうと、なんかそういったものは定期的に登場する気がするし、1回聴けば分かる気がするし、なんなら音を聴かなくても噂を聞くだけで充分な気もする。ところが、このアルバムが手元に届いたのは先週の金曜日で、思い出せるもんなら思い出していただくと、たしか東京では気温が20度を上回る暖かい日だった。夜、たまたま、やや郊外の夜道を歩く用事があったので、このアルバムをずっと聴きながら歩いていた。夜になってさすがに気温は下がってきたとはいえ、まだ昼間の余熱は残っていて、速くもなく遅くもないテムポの曲のつらなりと、まっすぐにのびる道の広い歩道とが、かちっと音を立ててはまりこんだ! 

それ以来、1日2回ずつくらい聴いています。わたしが購入しているたくさんのCDのうち、大多数はゼロ回ないしは1回しか聴かれないことを考えると、ちょっと優遇しすぎなのだけど、とにかく、黄色くてふわふわした落ち葉を踏みながら歩くのにこんなにもぴったりなアルバムはなかなかないので、本格的に寒くなるまではしつこく聴き続けると思う。こちらで全曲ちょっとだけ試聴できるので、時間があったらしてみてください。

アルバム最後の「グッバイ・ガール」は、元ブレッドのデイヴィッド・ゲイツが、ハーバート・ロス監督の同名の映画のために書いた曲のカヴァー。ほかにも、公式サイトからは、ポール・サイモン「ロング・ロング・デイ」のカヴァーがダウンロードできたりもする。これを読んでいるあなたはどうか知りませんが、わたしの場合、音楽の新しい地平を切り拓く!とかいうふうに雑誌で持ち上げられるひとよりは、昔の誰それに似てる、というひとのほうに興味を持ってしまいがちで、そしてその興味(と、それにもとづいてつかった金)は報われないことが少なくないのですが、ひさしぶりに投資額に見合った音楽でした。森山弟のお墨付きはまだついていませんが、成り行きによっては、21世紀に入ってからまだ3枚くらいしか存在していないように思われる、森山兄弟ふたりともが推薦する新譜(メグ・ベアード『ディア・コムパニオン』、トラヴィス『12メモリーズ』なんかが含まれる)になるやもしれません。

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来年1月8日のPPFNPの告知が出ています。
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by soundofmusic | 2010-12-06 17:20 | 日記 | Comments(0)

Pure Pop For Now People Volume 82

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2011年01月08日(土)18時~22時
*2010年09月から、開催日が奇数月の第2土曜日へと移動しています。

渋谷エッジエンド(Tel:03-5458-6385)
地図。

800円(1ドリンク&おみやげ付き)

DJ:
せんだいーね(はやかわ)
したてやはなおか(タエラマン)
森山弟(弟)
森山兄(兄、サウンド・オヴ・ミュージック)

なんだかあわただしくて申し訳ないですが、早くも来年の案内をさせてください。2011年、第1回目のPPFNPは、松の内気分も抜け切らないであろう8日(土)の開催。ゲストは、何度も改名を繰り返しなにがなんだかよく分からなくなっているせんだいーね(はやかわ)くんと、相撲観戦・映像制作・裁縫・リサイクルショップでの労働・鉄道など、幅広くご活躍なさっているしたてやはなおか(タエラマン)さん。

恒例のおまけCDは、干支にちなんで、ウサギっぽい曲を集めてみます。これ、意外と苦戦しそうなんですが、無事作成できるのだろうか……。8曲入りとかの小ぢんまりしたものになっても、ご容赦くださいませね。

いままでのセットリストは、こちらにあります。どんなイヴェントかのイメージを、思う存分がっちりとおつかみください。
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by soundofmusic | 2010-12-05 15:02 | PPFNPイヴェント情報 | Comments(0)