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ストリートの思想

d0000025_15332937.jpg青山一丁目から、閑散とした外苑東通りを歩いてミッドタウンに赴き、ビルボード・ライヴでダーティ・ダズン・ブラス・バンドを見ました。当イヴェントの旧ホームページ(現在は消滅)から、現在のこのブログに移行しての初めての記事もやはりDDBBのライヴの感想だったわけで、感慨深いですね(と、一応言ってみる)。ずいぶん経った気がするけど、まだ6年半かあ。その間、DDBBは何度か来日していたみたいだけどなぜかスルーしていて、見るのは今回が2度目。

1曲目はギター、ドラムス、そしてスーザフォンのトリオでの演奏。このバンドにはベースはいないので、スーザフォンが低音部分を受け持つことになるんだけど、エフェクターを踏み踏み、ズブズブと輪郭のぼやけた、沼のような響きを送り出してくる。ここですでにただものではない感じなところに、ホーンが加わってくると、彼ら本来の(?)セカンド・ラインよりも、スライやJBのカヴァー、ラテン・リズムで奏でられる「キャラヴァン」、客席との掛け合いで進むカリプソ、バイヨー風の(?)深いエコーのかかったバリトン・サックスによるムード歌謡、とドス黒いのにカラフルなごった煮サウンドが次々に繰り出されて、とにかく楽しい。

以前見たときも思ったことだけど、なぜか全体的にはダラダラとしたヒップホップ・アクトのように見えるところが興味深くて、それは彼らが若い連中を意識してみたとかではなくて、自分たちならではのやり方でストリート・ミュージックをやってたら、結果的に似てきてしまったってことなんだろう。ジョン・レジェンドとザ・ルーツが四つに組んだみたいに、誰かアトランタあたりのヒップホップ・アクトが、DDBBと組んで完全生音のヒップホップ・アルバムを作ったらおもしろいとおもう。具体的に誰が起用されるべきなのかはわたしにはわからないけど。そしてもしかしたら、そんなアイディアは現地のアメリカ人にとってはあまりにも凡庸すぎて採用するに値しないのかもしれないけど。

最後の曲はまるで葬式みたいな、「セント・ジェームズ病院」。ほとんどまったく聞き取れないMCも含めて、南部文化の幅/奥行き/深み、つまり立体的な広がりを否応なく突きつけられた。今度はスタンディングで見てみたい、いや、できうることならニューオリンズあたりで。

写真はたぶん1982年ごろの彼ら。

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今週末のお知らせです。どんな感じの選曲にするかはまだ考え中です。今月はオカムラくんをゲストにお迎えします。どうぞお気軽に遊びに来てください~。

*黒の試走車<テストカー> Vol.56*
日時:2011年11月05日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート(地図
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:あずまきょういち/森山兄/チバ
ゲスト:オカムラ

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そして、あまりおおっぴらにしないでほしいとの本人の意向により、若干薄い文字で記しますが、9月のPPFNPでの太田さんのライヴが、こちらに全篇アップされています。録音は早川くんのiPhone。驚くほどきれいに録れています。アップロードも早川くんがやってくれました。どうもありがとうございます。

当日をしのぶよすがに、ぜひともお聴きくださいませ。

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by soundofmusic | 2011-10-31 15:35 | 日記 | Comments(0)

黒の試走車<テストカー> Vol.56

日時:2011年11月05日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート(渋谷区円山町28-8第18宮廷マンション1階奥つきあたり)
地図
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:チバ/あずまきょういち/森山兄
ゲストDJ:オカムラ
かぎりなく欠席:マジック

☆「黒の試走車<テストカー>」は、毎月第1土曜日に開催される、踊る前から踊り疲れているひとのためのイヴェントです。ラウンジの名の下に、ロック、ジャズ、ソウル、ラテン、邦楽、フレンチ、サントラ、モンド、電子音楽などをデタラメ、かつ控えめ(音量が)にお届けしています。

会場のメスカリートは、渋谷、道玄坂をのぼりきった先、マンションの1階つきあたり奥にあるスペース。全身にぬるま湯のように浸透する絶妙な反響効果で、何を聴いても自宅の3割増しでいい印象を受けることができる不思議な音楽空間です。未知の音楽との出会いに、既知の音楽との再会に。軽い舞踏に。気のおけない会話に。酩酊に。密会に。ぜひ一度遊びにいらしてください。

11月のゲストは、何回か登場していただいているオカムラくん。お楽しみに。どうでもいいですが、開催日にあたる11月5日は、森山の両親の結婚記念日(何回目かは不明)です。

過去分のセットリストその他は、「黒の試走車<テストカー>」のmixiコミュニティにて閲覧可能です。

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by soundofmusic | 2011-10-31 12:01 | 黒の試走車イヴェント情報 | Comments(0)

さて、いよいよ

さていよいよ勤め先の会社の引っ越しがおこなわれることになり、現在の場所からするとわたしにとっては不便な場所になる。具体的には、平日の仕事帰りにフィルムセンターに行くことは時間的にできなくなり、神保町の最終回はなんとかOKか?という僻地で、ちなみにエリアとしては森山弟くんの居住地にほど近い。移転を知らされてから半年くらいだろうか、とにかくいやでいやで仕方がなかったのだけど、新しい土地の様子(古本屋だとか、中古CDのありそうな店)を調べていると、それなりに賑わっていそうな感じだし、しばらくは駅の周りをうろうろするだけでも楽しそうだ。この件は追って報告するかもしれないし、しないかもしれない。

いよいよ、といえば、とどまるところを知らない円高の影響で、我が家にやってくるCD、いまや半分くらいが輸入ものになっている気がする。輸入盤という意味じゃないよ。いやもちろん、そうでもあるんだけど、イーベイ経由なり、英米のアマゾンなりから直接買うなりしたもの、という意味。送料を入れてもそっちのほうが安いって相当なもんだという気がする。よく分からないけど、たいへんなことが起こってるんだろう。

せっかくこういう機会なので、海外旅行に行ってみたい。と当然思うわけなんですが、航空券の代金はそれとは別の原理で動いているのか、バカみたいなサーチャージが加わっていて、なかなかこれがまた、気軽に出かけられるような値段にはなっていないのがなんとも。
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by soundofmusic | 2011-10-28 04:27 | 日記 | Comments(0)

音楽について話してください

d0000025_18231875.jpgコルトレーンとインパルス・レーベルを特集した、レコード・コレクターズ11月号を買いました。実はこの間、生まれて初めてミュージック・マガジンを買いまして(もちろん、中村とうよう追悼号)、買ったからにはと思って一応最初から最後まで読んでいたら、あ、やっぱり音楽雑誌って、最初から最後まで音楽のことが載ってて、普通にいいもんだな、と。バウンスはたまにもらってたけど、あれはやっぱり広告だからさぁ。

おっと……そういえば、いちばん最近もらったバウンスの最後のほうの、編集部員のひとことコーナーで、「ミュージシャンも評論家も、音源とライヴを比べてライヴのほうを上に見ることが多いような気がする。CDの販促誌として録音された音源を取り扱っているんだけど」みたいな一文があって、はっとしたんだった。わたしの記憶に基づくこの引用はたぶん正確ではないだろうけれど、いままで聞いたことのない言葉、という気がしたんだった。しかしその驚きは、バウンスの厚みが全盛期?の半分くらいになっていたことに比べたら、たいしたあれではなかったわけなんだけど。

で、わたしは求道的なコルトレーンよりもどこか軽率な感じのロリンズ派なもんで、インパルスのコルトレーンはほんとに数枚しか聴いたことない。それよりもアーチー・シェップ『マジック・オヴ・ジュジュ』『アッティカ・ブルーズ』、アイラー『ニュー・グラス』、そしてガボール・サボの諸作、あるいはライオネル・ハンプトンなんかをよく聴いた。いま、「なんかの」って一言でまとめちゃったけど、みんな音楽的にはバラバラで、でも不思議な統一感がある。それがまあ、レーベル・カラーってことなんだけど。米盤アナログだとどっしりとしたゲートフォールド・スリーヴで、集めがいがあるしね。

掲載されていたインパルスの重要アルバム100選を見ていると、意外にも未CD化の作品がまだあるのだと気付かされる。もう、ほぼ全作品CDになっているくらいの勢いかと思っていた。というか、もうたいていの音楽ファンは、聴くべき音楽はとっくにCDになっていると無意識のうちにおもっているのではないか? やっべーCDはもう時代遅れだよユニオン持ってっても引き取ってくんねー、とか、そういうことを言ってる場合でなく、むしろいまからアナログを集める勢いに方向転換しないと。それは映画において、いまだに35mmフィルムが、ディジタル上映よりもある意味で圧倒的優位にある(それはもう、見てすぐ分かるくらいのレヴェルで)のと似ているかもしれない。

それにしてもこのコルトレーンとインパルス特集、もちろんこれがいつものレココレのやり方だし、たくさんの人数で手分けして書いているとはいえ、これだけの情報の量と密度を誇る音楽雑誌が毎月出てるっていうのはちょっとものすごいことなんじゃないか、とあらためて感じました。そして、インパルスのプロデューサーでもあったボブ・シールが、ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」の作者のひとり(変名を使って)であるということは今回初めて知って、たいそう勉強になりました。

この調子で、ヴァーヴとか、パシフィック・ジャズ~ワールド・パシフィックだとかの全貌も特集してほしい。これわたし、何年も前から言ってますからね。ひとつよろしくどうぞ。

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11月12日のPPFNPのご案内が出ました。ご確認のうえ、こぞってお越しくださいませ~。
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by soundofmusic | 2011-10-22 18:24 | 日記 | Comments(0)

Pure Pop For Now People Volume 87

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2011年11月12日(土)18時~22時

渋谷エッジエンド(Tel:03-5458-6385)
地図。

800円(1ドリンク&おみやげ付き)

DJ:
バターけんしろう
いなもと
森山弟(弟)
森山兄(兄、サウンド・オヴ・ミュージック)

早いもので、2011年最後のPPFNPのお知らせです。ゲストは、ここ数回連続して人材を送り込んできている某社のロック部から、バターけんしろうさんと、もうひとりは、早川(sendai)くんに「めちゃくちゃアメリカーナに詳しいひとがいます!」とご紹介いただいた、いなもとさんです。しかしご本人はアメリカン・ゴシックという言い方のほうを好まれるかもしれない。というわけで、画像はアメリカン・ゴシックで出てきたよく分からない写真。

おみやげもいつもながらいい感じのものができあがりそうです。たくさんのみなさまのご来場をお待ちしております。
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by soundofmusic | 2011-10-20 10:47 | PPFNPイヴェント情報 | Comments(0)

ほおずき市

d0000025_21131161.jpg行こうかどうしようかちょっぴり考えていたところ、前座で中村まりが出ると聞いて速攻で予約するっていうのもどうなんだと自問しつつ、クラブ・クアトロのスタンリー・スミス公演に行ってきました。しかしそもそも、アサイラム・ストリート・スパンカーズの(元?)メムバーであり、57歳にしてソロ・デビューしたこのひとのことを知ったのが、HMVのサイトで中村まりが挙げていた無人島レコード10枚の中に、名前があったからなので、願ったりかなったりというか。

さて、中村は、ロンサム・ストリングスのうちの3人を従えて、30分ほど軽くさらっと歌っていきましたが、とにかく客席から寄せられる拍手の本気度が尋常じゃなかった。また、ロンサムとの相性もいまさらいうまでもなくぴったりで、すでにライヴや録音で何度も共同作業をおこなっているとはいえ、もともとは年齢も性別も違う別々の人間たちであったはずなのに、こんなに一体化するなんてことがありえるのかと。

ノンシャランな音楽性の印象から、80分くらいで終わるかなと思っていたスミスのステージは、それだけで丸々2時間続き、とはいえ、あっさり味なので疲れることはない。アルバムの曲だけでは時間が余るのでカヴァーもふんだんにはさみこまれていて、ディランの「くよくよなよ」「アイ・シャル・ビー・リリースト」(どちらも中村をフィーチュア)、ヴァン・モリソン「クレイジー・ラヴ」、ウィリー・ディクソン「アイ・ラヴ・ザ・ライフ・アイ・リヴ」なんかがあったのかな。ディクソンの曲の前にはMCで、「これはウィリー・ディクソンの曲だけれども、わたしのヒーローであるところのモーズ・アリスンのヴァージョンで覚えた」みたいなことを言ってらした。たしかに、スミスのアルバムを聴いていて、炭酸の抜けたサイダーみたいな歌声にモーズを思う瞬間はあった。そして、この「アイ・ラヴ~」は、猫をなでるようなギター・プレイともども、まさにモーズがギターを弾くSSWだったらこんな感じなんじゃないかと思わせるサウンドだった。と、青山陽一も言ってました

ジャズ、フォーク、ブルースを、とくに批評的にというのでもなく、少しずつつまみ食いしていくような音楽。何曲かで聴くことができた中村とのデュエットでは、彼女の堂々たる歌いっぷりと比べて、スミスの存在感はあまりにも薄味で押しが弱いけれど、それが即座に優劣に結びつくわけじゃないから音楽はおもしろい。

本篇ラストとアンコールでは、中村やロンサムの面々も入り乱れ、「聖者の行進」や「セント・ジェームズ病院」なんかのセッション。スミスはクラリネットを吹く。延々と続くロングトーン。ほっぺたがほおずきみたいに丸くふくらんでいた。赤く色づいていたかどうかは、見忘れた。
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by soundofmusic | 2011-10-15 21:14 | 日記 | Comments(0)

内輪の言葉

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なんか最近、ネットを見ていると「森山くんのダンス最高!」だとか「森山くんかっこいい」だとかの字面を目にすることが多く、なんぼのもんじゃいっ、と思いつつ大根仁「モテキ」、見てきました。平日の日中、若い男女でかなり混雑している映画館っていうのも、少なくともわたしはひさしぶりで、映画の内容ともども、なにかと勉強にはなりました。ちなみに原作の漫画、TV版ともまったくノータッチです。

この映画に対して、ツイッターやりながら音楽フェスに行くような、あまりに特定の世代および趣味層に向けられている、要するに内輪向けである、という批判は当然ありうるんだろうと思いましたが、そのへんについてはとくに気にならなくて、というのは、わたしもそうした「サブカル」趣味だからということではなくて、結局、何かを内輪だと指摘することは、じゃあお前のしゃべっている言葉はどうなんだ、と打ち返される可能性を常にはらんでいるものだからということで、高橋源一郎のエッセイ「内輪の言葉を喋る者は誰か」(『文学がこんなにわかっていいかしら』所収)を思い出したりしていたのでした。

たしかこの件で高橋とやりあっていたのはおもに富岡多恵子だと思うんだけど、高橋に対する批判のなかには、かなり理不尽なものもあったと記憶している。具体的には、荻窪だとか国立だとかいちいち細かく書かれてもそんなのわからないとか言われてた、たしか。そういう批判は批判で昔からずっとあって、ただしわたしが気にしているのはちょうど逆方向のことなんだよね。マンガなんかで、あきらかにマクドナルドを模したロゴのハンバーガー屋が出てきて、店名がマタドナルゾとかだったりするじゃない。ああいうことを無自覚に続けるうちに、確実になにかが死んでいく、とわたしは思う。もちろん、そのマンガが載っている雑誌の会社にしたら、マクドナルドと無用なトラブルを起こしたくはないだろうけど、ふだんわたしたちがマクドナルドに行ってマクドナルドの話をしてマクドナルドを食っているとしたら、それがタブーになるのはなぜなんだ? 訴えられたら困るって? そんなんで訴えるのがダサい、という世の中になってないのがおかしい。ディズニーランドでもいい。ディズニーランドでスリにあった話を誰もかけないとしたら。「モテキ」でよかったと思うのは実名主義で、森山未來はナタリーのライターで長澤まさみはEYESCREAMの編集者?だ。まあ、お互いメリットがあるから名前を使わせるんだろうし、わたしは、ただ実名を出してほしいというよりは、本当にかわされているような会話が聞きたいというだけではあるんだけど。

それにしても、外国の音楽とか映画なんてまったく存在しないかのようなこの世界はいっそ気持ちいい。レコード、CDの映っている量だけでいうならば、近年のメジャー・プロダクションの日本映画のなかではおそらく群を抜いているだろうに、いわゆる洋楽は、目立つものとしてはジャクソン・ブラウンだけ(一緒にドゥービーズも映ってたかな?)。出てくる日本人ミュージシャン(楽曲のみ/本人様ご出演とも)も、ほぼすべてわたしでも知ってるようなものばかりだったから、ま、ヴィレバン(劇中の表記)的なサブカルで、自分とはあまり関係ないやっておもったってのもある。10年前だったらきっともっともやもやしたり感慨があったりしただろうな。

予告篇で受けた印象だと、森山が長澤、麻生、仲、真木にモテまくるみたいだけどぜんぜんそうじゃない。「婚前特急」でも5人の彼氏のバランスはめちゃくちゃだったし、たぶんそれって脚本作るのが難しいんだろうな。とはいえ、この映画だったら、長澤まさみを見られる時間がいちばん長いほうがいいに決まってるので、そこには文句言わないよっ。

ウィルコの新譜のことも書こうと思ってたけど、マジメなこと書いて〆るのもなんだから、とりあえず長澤まさみを見とけと言っとく。「コクリコ坂から」に続いて、まさみさんグッジョブです。
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by soundofmusic | 2011-10-05 21:24 | 日記 | Comments(0)