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系図

d0000025_21465332.jpgルーシー・ウェインライト・ローチの『ルーシー』を買って、「アメリカ」を10回くらい立て続けに聴いていました。もともとこの曲はポール・サイモンがS&G時代に作ったもので(YouTube)、神がかり的なストーリーテリングにはいつも感服してしまう。なんなら天才と呼んでもいいし、ポール・サイモンがいれば村上春樹はいらないかなとも思う。高校生でも分かる英語であるところがまたすばらしい。

ルーシーさんは名前が示すとおり、ラウドン・ウェインライト3世と、3姉妹のグループ、ローチェスのいちばん下であるサジィ・ローチとの間に生まれた娘です。ラウドンの子供としては、彼とケイト・マッギャリグルとのあいだに生まれたルーファス・ウェインライトとマーサ・ウェインライトがいて、このふたりのほうがルーシーより年上。ケイト・マッギャリグルは姉のアンナとデュオで活動していたし、さらに、ラウドンにはスローン・ウェインライトという妹がいて、このひとも歌手。アンナの娘も歌手だそうです。

『ルーシー』は、LWRの初めてのフル・アルバム。その前に少なくとも2枚のEPを出している。この2枚はたしか薄っぺらな紙ケース入りで、インディーズ・レーベルとかですらない完全な自主制作だった気がする。アマゾンでも取り扱いない。とりあえず異母兄姉と比べるとだいぶクセのないうたい方。母のサジィはじめ、ローチ姉妹とステュアート・レーマンが全面的に参加しているので、そのへんの好きな方はチェックする価値ありです。というか、ローチ=ウェインライト=マッギャリグル家のひとたちだけでちょっとしたフェスが開催できそうで、すごい系図。

ルーシーとローチェス(3人のはずだけどふたりしか映ってない。カメラ位置の関係なのかな?)が「アメリカ」をうたっているライヴ映像(YouTube)。うたい始まったところでお客さんが何の曲か気づいて拍手するのがいね。


ところで、何度か書いているけれど、サジィが何枚か出しているソロのうち、『Songs from an Unmarried Housewife and Mother, Greenwich Village, USA』は、タイトルだけで泣けちゃう名盤です。なんというか、存在として、90年代前半の白水社が出してたような、アメリカ文学の短篇集の香りがするのです。

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来年1月14日のPPFNPの情報をアップしました。こぞってお越しください。
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by soundofmusic | 2011-12-29 21:49 | 日記 | Comments(0)

Pure Pop For Now People Volume 88

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2012年01月14日(土)18時~22時

渋谷エッジエンド(Tel:03-5458-6385)
地図。

800円(1ドリンク&おみやげ付き)

DJ:
KCQイトウ
太田健一
森山弟(弟)
森山兄(兄、サウンド・オヴ・ミュージック)

早いもので、2012年最初のPPFNPのお知らせです。ゲストは、ここ数回連続して人材を送り込んできている某社のロック部から、KCQイトウさんと、もうひとりは、前々回(2011年09月)にライヴ・アクトとしてご登場いただいた太田健一さんです。

おみやげのCDは、毎年年始恒例の干支シリーズ。2012年は辰年ですが、竜関係の曲だけだと数が少なかったため、2013年の干支である蛇も一緒にコンパイルして強引に2イン1にしました。どうぞ長いものに巻かれる気分でお聴きください。たくさんのみなさまのご来場をお待ちしております。
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by soundofmusic | 2011-12-29 20:01 | PPFNPイヴェント情報 | Comments(0)

黒の試走車<テストカー> Vol.58

d0000025_1318514.jpg日時:2012年01月07日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート(渋谷区円山町28-8第18宮廷マンション1階奥つきあたり)
地図
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:チバ/あずまきょういち/森山兄
ゲスト:stein/アツロー

☆「黒の試走車<テストカー>」は、毎月第1土曜日に開催される、踊る前から踊り疲れているひとのためのイヴェントです。ラウンジの名の下に、ロック、ジャズ、ソウル、ラテン、邦楽、フレンチ、サントラ、モンド、電子音楽などをデタラメ、かつ控えめ(音量が)にお届けしています。

会場のメスカリートは、渋谷、道玄坂をのぼりきった先、マンションの1階つきあたり奥にあるスペース。全身にぬるま湯のように浸透する絶妙な反響効果で、何を聴いても自宅の3割増しでいい印象を受けることができる不思議な音楽空間です。未知の音楽との出会いに、既知の音楽との再会に。軽い舞踏に。気のおけない会話に。酩酊に。密会に。ぜひ一度遊びにいらしてください。

2012年の新年第1回目は、steinさんをゲストにお迎えします(もうひとり、アツローさんが追加されました。12/29)。辰年にちなんで、竜に乗ってご来場の方、あるいは名前に「龍」「竜」「辰」の字が入っている方には森山がワンドリンクごちそういたします(証明書要)。また、これらに該当しなくても、自分の竜っぽいポイントをアピールして森山を納得させた方にもふるまっちゃうかもしれません。なお/ただし、森山は21時ごろで早退する予定ですのでお気をつけください。

過去分のセットリストその他は、「黒の試走車<テストカー>」のmixiコミュニティにて閲覧可能です。

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by soundofmusic | 2011-12-26 13:23 | 黒の試走車イヴェント情報 | Comments(0)

キメラブック

d0000025_17164751.jpgリトル・プレス、ファンジン、ミニコミ、同人誌、呼び方はなんでもいいんだけど、河波くんと田口さんが一緒になってそういったものを作っていると聞いたのはたしか10月頃に田口さんから東京国際映画祭のチケットを合意の上で売りつけられたときのことで、おーこのタッグで作られるものであればおもしろくないはずがないだろう、と期待して、どんな内容なのかと聞いてみると、「ん? Kポップ」と。あ、ここ、あなたの脳内で沢尻エリカの「別に」の口調に変換していただいても差し支えないです。で、「そっかあ、Kポップかあ」と、あからさまに興味のない様子で返事してから待つこと2か月、28ページフルカラーの冊子「キメラブック」第1号がつい先日、届きました。

もっとも、最新情報はありません、と高らかに宣言されているとおり、これはKポップ愛好者の内輪の言説ではなく、わたしの身の周りの1980年代前半生まれのひとたちのなかでもっとも信頼に足る文章家ふたりが、Kポップをどのように自分の心身に反射/透過させたかの記録だから、とりあえずつべこべ言わずに読めばよいと思う(Kポップがお好きな方や、あるいはとくにお嫌いな方はまた別の感慨もあるだろうけど、それはわたしの知ったこっちゃない)。

もちろんそこには従来からのふたりの趣味趣向も反映されていて、河波くんはKARAのメムバーひとりひとりの魅力を語るのにいちいちベンヤミンやブコウスキーやジャック・デリダを引き合いに出さずにはおれないのだし(そこにはわたしがやるようないやみったらしさは皆無)、田口さんの、アイドルとはリアルタイムで更新され続ける時間芸術=独自のアート・フォームである、との論理には目からうろこが落ちますよね。見てくれも中身も、わたしには逆立ちしてもこれは作れないので脱帽するしかない。

同世代としてのイコン云々みたいなことが書いてあったのでわたしの受けた印象をついでに書いておくならば、このふたりには常々、ロッキングオン・ジャパン的な97年世代的なものを感じていて、その用語をわたしが正しく理解しているかは心もとないのだけど(たぶんまちがってる)、要するにフィッシュマンズ、中村一義、くるり、TMGE、ナンバーガール、アジカン、あたりの、あ、わかんないひとたちが出てきた、な感覚ね。なんかおれも馬齢を重ねたなー的な。共通の趣味はキリンジだけみたいな。来年はがんばろっと。

あーそうだ、キメラブック、定価も書いてないしまだお店には置かれてないようですが、そのうち吉祥寺の百年とかでは取り扱われるかもしれません。要確認。とりあえず興味のある方はメールで問い合わせてみてください。

☆12/28追記
吉祥寺の百年と、中野のタコシェで取り扱いが始まったようです。定価は600円。Lilmagにも売り込んだらいいんじゃないかと河波くんには進言済み。
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by soundofmusic | 2011-12-25 17:18 | 日記 | Comments(0)

自分たちヴァージョンの何か

d0000025_445578.jpgさてそういえば、PPFNPでは前回11月と前々回9月と、2回続けてライヴ・アクトにご出場いただいていて、こういうことは長く続けてきた中で初めてです、とかなんとか言ってたけど、あれ、間違いでした。以前にもあったわ。昔のセットリスト見ていて気が付いた。

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このブログのネタといえば、2回に1回くらいは、おもにYepRocのメルマガを情報源にした、ニック・ロウにまつわるあれこれなわけで、今週もまた、ひとさまのふんどしで相撲を取るがごとく、新しいネタをご紹介。SPINのサイトに掲載された、インタヴュー。英語。

ざっとしか読んでませんが、なかなか興味深い内容。ニック・ロウ程度の売れ方でも、心身をおかしくしてしまうのだなとか、なぜかR.E.M.の解散の話題になって、ニック・ロウはマイケル・スタイプ以外のメムバーとは顔見知りで、去年、ロンドン公演を見に行ったとか、そんな話が出てくる。全体の調子は悲観的とも楽観的ともひとことではまとめづらい感じで、なかなか食えない輩なのかも、と思わせるもの。

たとえばこんなことを言っています。超訳:

曲作りっていうのは、屋根の葺き方だとか、あとはあれ、田舎に行くとよくあるような、セメントを使わないで石だけで組み立てた塀ね、ああいうのをどうやって作るのかっていうのを知ってるようなもんだよ。(Songwriting is a bit like knowing how to thatch a roof or make one of these stone walls you see in the country that are just made of stones without any cement holding 'em up.)

思うんだけど、どの世代にもそれぞれ、自分たちヴァージョンの何かがあってさ、それは昔からあるもんなんだけど、これは新しいみたいに言ってみたいわけよ。でもほんとはそんなに新しくもなくて、新しいフットペダルがちょこっとついてて少し違ったように聞こえるとか、その程度。でも昔からあるのと同じなんだよ。(I think that each generation has it's own version of something that went before and they call it new, but it ain't really, it's the same old stuff with a few new foot pedals to make it sound a little bit different, but it's the same old guff.)

結局のところ、今年のアルバム『ジ・オールド・マジック』は、“ニック・ロウ1作おきにいいアルバムを出す”の法則を裏切らない佳作でしたし、外見的なことを言えば、いまがいちばんかっこいいんじゃないかという気さえしているのです。
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by soundofmusic | 2011-12-18 04:47 | 日記 | Comments(0)

よくあることさ

このブログのほぼすべての文章同様、これもまた、どうしても書いておかねばならぬというほどのものでもないのだけど、やはり少し気になるので書き留めておく。というのは、柔道の内柴正人のことなので、と書き始めるとすでに、なにを書いても地雷を踏む結果になりそうなのですが、わたしはデヴィ夫人のように彼の行為を擁護しようとはおもわないものの、しかしまあ、あれに類したことはわりあい珍しくないのではないか、と推測しているし、それよりも、調べるならきちんと調べてほしい、とも思う。

そもそも、未成年が正常な判断力を失うほどに泥酔することは、実際問題としてよくあることとはいえ、いくら飲酒経験の少ない未成年者とて、飲み始める前はおそらくシラフであったろうし、また、泥酔に至るまでにグラデーション的な酩酊段階をたどったに違いない。そしてその段階のどこかで離脱することができなかったのには、相当な同調圧力ないしはヒエラルキー的抑圧があったと考えられるだろう。そうしたいびつな力関係が長期間にわたって存在し続けていたとしたらそっちのほうが問題で、今回「事件」とされていたのはそのごく一部に過ぎないのではないか、そして、そもそもわたしたちが普段「合意」として認識されているものはどういう風に成り立っているのか、などなど。今回は、金メダリストと女子学生、という具合に力関係が一見明確(=お互いキャラが立っていた)だったから大騒ぎになったのであって、合法的に結婚している夫婦の間にも、仲のよいカップルにも、同じような力学構造がもしかしたら存在してやしまいか。ゴダールに訊いてみよう。

ところで内柴正人が柔道界でどの程度価値のある存在なのかについてはわたしは判断を下せない。とはいえ今回のニュースを聞いて思い出したのは、昔ときどき考えていた、個人の価値についての逸話というか、仮定のこと。

ある日、万能の宇宙人(神様でも可)が自分の家にやって来て、こう言うとする。「わたしは、地球上からジョン・フォードのすべての作品のプリント、ネガ、DVD、その他のすべてのソフトおよびディジタル・データを消滅させることに決定した」。わたしは答えるだろう、「それは困る。どうにかならないか」。宇宙人「あんたが生贄になって死ぬんだったら、勘弁してやるよ」。さて、そうした場合に自分は死ぬかどうかだ……あきらかに、ジョン・フォードの全作品と自分ひとりとをはかりにかけたらわたしなどひょいと吹っ飛んでしまうのであり、一秒たりとも躊躇せずに死ぬべきなのだろう。

それでも、そういう場合に死を強いるべきではない、というのが戦後民主主義であり(違うか)、内柴正人氏は、もし強姦をしたのだったらしかるべき裁きを受けて、必要に応じて服役して、その後、柔道指導者として並外れた能力があるのだったらその力を生かせることができればいいと思う。男子学生だけを指導させるとかして、今回と同じ事件が物理的に起こりようがない環境を作ることはさほど難しくないはずなので。

(もう一度繰り返しますが、内柴正人を擁護しているとかでは毛頭なくて、言いたいのは、可能性としてはよくあることだということと、よく調べなさいよということ)
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by soundofmusic | 2011-12-15 03:41 | 日記 | Comments(0)

美学

d0000025_21171397.jpg細川周平「レコードの美学」(勁草書房)を図書館で借りて読んでいるけれど、難しくって適当に読み進めているのにぜんぜんはかどらない。難しい本をガンガン読んでいた(と思っていた)ころは遠くなった。そんな奴が言うのもなんだが、たぶんこれ、タイトルが誤解を招くんだと思う。もちろんここでの美学は学問の名前としてのそれなわけだけど、どうしたってほれ、たとえば「モッズの美学」みたいな感じのものを想像してしまう。だいぶうろ覚えだけどずっと昔、哲学を勉強しているひとから聞いた話で、実家とかに帰って親戚と話をしていると「哲学=人生訓」みたいに認識されている、と。実際は、やってることは文献解釈(哲学学?)なのに、とかそんなことを聞いた気がするけど、例によってまたいい感じで記憶を捏造しているだけかもしれない。

土曜日の「黒の試走車」、結局ゲストなしだったので、わたしとチバさんとアズさんが75分ずつくらい1セットずつ回しました。これもまた個人差があるでしょうけど、1曲3~4分のうたものでやる場合、やはり1セットは40~45分くらいがいちばん組み立てやすいかなあ。30分だと物足りないし、1時間だと長いから構成を考えなくちゃならない。で、それより長くなると、気張ってもしゃーないか、となる。

「黒の試走車」はわりといつも、DJ陣の選曲と店の壁の反響とがいい感じの相乗効果をかもし出していると自画自賛しているのですけど、それにしてはご来場者様が少なくてもったいない。わたしの関わっているイヴェントはだいたいそうですけど、「黒の試走車」も、“何々系”というのは、ないです。Domani1月号の中吊り広告で見かけて度肝を抜かれたフレーズ「30歳過ぎてもキレイな人は“自前力”がすごい!」を引用するならば、毎月毎月、DJの自前力がダダ漏れになっている、稀有なイヴェントと言えます。次回は新年、1月7日に開催予定。またおいおい告知します。圧倒的におすすめ。
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by soundofmusic | 2011-12-07 21:16 | 日記 | Comments(0)