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越境

d0000025_9101792.jpg1週間ほどサンフランシスコに行ってきました。もともとはうないさんと一緒に行くことになっていて、これは、ふたりで2004年にロンドンにモーズ・アリスンのライヴを見に行った伝説的な旅行の続篇(「ブルース・ブラザーズ2000」的な?)ものとして位置づけられていたんですが、出発まで1週間を切ったあたりで急に、切実かつバカバカしい理由でうないさんが行けないハメになり(詳しくは後述)、わたしひとりで行くことになってしまいました。ひとりだとやはり面倒なことも多いし、前もってそう決まっていたならそれはそれでいいんですが、なんか余計な手間(飛行機のキャンセル、ホテルの予約変更など)と緊張を強いられてだいぶ気持ちに負荷がかかった状態で現地に到着し、最初の数日は身を固くしていたのがしだいに解放されていき、やはりなかなか覚えられないコインの見分け方が多少すばやくなったかなと、そしてカリフォルニアの乾燥した空気ですっかり肌が粉を吹き、唇がひび割れまくったところでいま帰りの飛行機のなかであると、まあ1週間とはその程度の時間であります。

いままでに行って、自分の足で何日かでも歩いた国内外の都市をいま数えてみるに、10かそこらしかないとわかって、あっそんなもんか、と気づいたところですが、総合的に、つまりいいレコード屋があって映画館があって歩いていて楽しい、という意味でですが、いちばんよい場所のひとつだと言わざるを得ません。

よく、サンフランシスコのことが、坂の多い街、と形容されたりしますが、端的にあれはウソです。丘陵地、あるいはいくつかの山の連続体がそのまま都市になっている状態。たとえば長崎とか尾道はどうなんでしょう、行ったことがないのでわかりませんが、少なくとも今月行った伊豆の山歩きよりもキツい瞬間が多々ありました。3方向が海なので、たいていの坂は、のぼりきったあたりでどっちかの方向には海が見えるのもすばらしい。

音楽。サンフランシスコに行った理由のひとつは、サンフランシスコと、その近郊の大学町バークレーにそれぞれある、アメーバとラスプーティンという(中古)レコード屋を訪れることでもありました。ラスプーティンの、サンフランシスコの中心街の店舗は、普通のビルの1階から5階までという、まだふつうに納得できる形状なんですが、バークレーのラスプーティンと、アメーバ(サンフランシスコ、バークレーとも)は、いずれも誇張一切なしで体育館、あるいは巨大な倉庫のような大きさで、真面目に見ていたら1軒あたりでそれぞれ半日はかかるであろうというもの。これだけの大きさになると、よーし山ほど買っちゃうぞ、という気分にはかえってならず、逆に入った瞬間にげんなりしてしまうものだとわかりました。ものごとなんでも程度が大事だという好例ですが、これだけ大量の、資本主義の作物としてのレコード、CDを目にすると、音楽に対する考え方、接し方も自然に変わってこざるをえないのだろうなと感じました。量の変化が積み重なると、それがあるとき、質の変化へと変質することが事実としてありますが、要はそういうことです。

これらの店舗は、わたしがいままで行ったなかで最も巨大なレコード屋ですが、旅行中たまたま、北に20キロくらい行ったミル・ヴァレー(この曲で有名)の、ヴィレッジ・ミュージックという店の存在を知りました。この店についてのドキュメンタリー映画が作られていて、ミル・ヴァレー映画祭のホームページを見ると、「ヴィレッジ・ミュージックをレコード屋と呼ぶのは、エヴェレストを丘と呼ぶようなものだ」との記載を発見。猛烈に行きたくなるわけですが、残念ながら2007年に閉店してしまっているらしい。でも事前にアポっとけば倉庫を開けてくれると書いてあったりもして、うーん、次にもしサンフランシスコに行くことがあったら訪れるべきなのか、どうか。

音楽がふんだんにあふれているっていうのは別にレコードが山のようにあるっていう意味だけではなくて、たとえばたまたま通りかかったそこらの公園で演奏しているバンドがこんなふうにごきげんであり、そしてそれに対してみんなごく自然に反応していることだったりする。その翌日にはアラン・トゥーサンを見に行ったら前座のバンドが「ジャンバラヤ」をやっていて、当然のように客が大合唱している。なんとなくカントゥリーなだけだと思っていたこの曲、歌詞を読んだら南部沿岸部の風物が歌い込まれていることに初めて気づく。そしてその翌日には、見た目半分くらい中南米であるようなミッション地区に遊びに行って、テイク・アウトしたタコスを交差点の広場で食べていたら、広場にはいくつかの露店が出ていて、うちひとつがスピーカーを設置して、大音量でラテン音楽を流していた。わたしの背後のカフェの脇には、勝手にそれに合わせてコンガを叩いている男がいて、背中の方から響いてくるそれが気持ちいいもので、タコスの汁で汚れた手をペットボトルの水で軽く洗いながらずっと聴いていたら、突然、前方からギロをギィロギィロと鳴らしながら別の男が歩いてきて、これには驚いた! 街の中でこんなふうな音楽、いや、音響体験が可能だなんて考えてみたこともなかった。ギロの男がコンガに加わり、さらには白人らしきじいさんがギターでそれに合わせ、とくに展開するでもなく延々とリズムを刻み、そのあいまに何かを喰らったりジュースを飲んだり、聴いているのはおもに彼らの仲間だろう、ワルそうなラテン系のあんちゃんたち、もちろんわたしのような観光客もしばし足を止めたり通り過ぎたり、気持ちよさに離れがたいところをえいやっと身を引き剥がしてホテルに歩いて戻る途中にはブーツィ・コリンズみたい恰好の(たぶん)ホームレスと遭遇。ブーツィのあれは当然ステージ衣装だと思っていたので、実際にそういう服装の人間が闊歩しているのを見てまたまたびっくり、ホテルに戻って少し昼寝してからバークレーにウィルコのコンサートを見に行った。トゥーサンのときもそうだったけど、禁煙ということになっている会場のそこかしこで煙が上がっていて、そしてそれは明らかにわたしの知っている類の煙ではないのだ。

越境、越境、行きの飛行機では和久井光司の「ビートルズ原論」(河出文庫)を読んでいた。彼の書いたものをしばらく読んでなかったけど、彼の言い分、論理の展開はわたしには馴染み深いのでおもしろく読んでいるうちに、そういえばサンフランシスコはビートルズがラスト・ライヴをやった土地だったんじゃなかったっけ(ついでに言えばセックス・ピストルズも)、と思い出し、読み進めていたら、アップルの内部の実験音楽レーベル、ザップルでは、サンフランシスコのビート詩人たちの朗読のレコードがいくつか企画され、実際に録音が済んでいたものもあった(が未発表)、なんてわたしが初めて知った事実もあった。当然、サンフランシスコに行くからにはシティ・ライツ・ブックスにも足を運び、グラフィック・ノヴェルによるビート早わかりみたいな本を買って、帰りはそれを読んでいた。ヨーロッパっぽいカフェが並ぶノース・ビーチ地区と、かの有名なチャイナタウンとの境目あたりにこの本屋はあって、ものの5分くらいの歩行、歩行のうちにまったく違った国から国へと自分のいる場所ががらりと変わったような感覚を味わうことができてクラクラする。昔、シンガポールで、チャイナタウンとインド人街が接しているところがあって、通りを渡ると空気の匂いがはっきりそれとわかるくらい違ったこととか、栃木街道を車で走っていて、というか正確には父親や母親の車に乗せられてというか載せられて走っていて、滝谷町の交差点が雨と晴れとの境目だったことがよくあったななんてことを思い出したり、いずれにしてもバラバラに見えていたいろんな物事がなにかの拍子でぱたぱたとつながっていったり、あると思った境目がゆるやかに消滅していったり、自分にはまだまだ解放される余地があるなと気付かされた、啓蒙された。

写真。上から順に。
○シティ・ライツ・ブックス店内の「サンジェルマン・デ・プレではありません」の標識。
○バークレーのアメーバの店の外に放置されていたレコード。
○濃い空を背景にしたコイト・タワーとサンフランシスコ式の駐車。坂が急なので道路と90度の角度で停める。
○ウィルコのコンサート前のバークレー、グリーク・シアター。
○サンフランシスコのジャパン・タウン。「忍者マーケット」かと思ったら「ニジヤ・マーケット」だった。
○典型的なサンフランシスコの景色。
○建物の壁に彫られたヘレン・ケラーのことば。
○サンフランシスコ、ヘイト・ストリートのアメーバ店内。
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by soundofmusic | 2012-09-29 09:08 | 日記 | Comments(0)

黒の試走車<テストカー> Vol.67

日時:2012年10月06日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート(渋谷区円山町28-8第18宮廷マンション1階奥つきあたり)
地図
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:チバ/あずまきょういち/森山兄
ゲスト:mitsu/autoproc

☆「黒の試走車<テストカー>」は、毎月第1土曜日に開催される、踊る前から踊り疲れているひとのためのイヴェントです。ラウンジの名の下に、ロック、ジャズ、ソウル、ラテン、邦楽、フレンチ、サントラ、モンド、電子音楽などをデタラメ、かつ控えめ(音量が)にお届けしています。

会場のメスカリートは、渋谷、道玄坂をのぼりきった先、マンションの1階つきあたり奥にあるスペース。全身にぬるま湯のように浸透する絶妙な反響効果で、何を聴いても自宅の3割増しでいい印象を受けることができる不思議な音楽空間です。未知の音楽との出会いに、既知の音楽との再会に。軽い舞踏に。気のおけない会話に。酩酊に。密会に。ぜひ一度遊びにいらしてください。

過去分のセットリストその他は、「黒の試走車<テストカー>」のmixiコミュニティにて閲覧可能です。

10月のゲストは、それぞれ2度目のご出場となるおふたり。非常にこなれた機材扱いがいかにもDJらしくて印象的だったmitsuさんと、事前の入念な下調べにより見事に当イヴェントの傾向を呑み込んでこられたautoprocさんです。また、当日は、森山のサンフランシスコみやげであるところのチョコレートの配布も予定されております。どうぞおたのしみになさってください。

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by soundofmusic | 2012-09-28 06:35 | 黒の試走車イヴェント情報 | Comments(0)

リスト Volume 92 2012.09.08 ゲスト:スズフウ&オウジ(civic)

☆暫定版です。

***森山兄***

01 Horst Jankowski / Do You Know the Way to San Jose
02 Tilling-Ikiz-Kling / Bickering
03 Baja Marimba Band / Telephone Song
04 George Shearing / Alone Again (Naturally)
05 Leo Addeo / Tropical Merengue
06 Emil Richards / Call Me
07 Jerry Orbach / Half as Big as Life
08 Mike Sammes / Vespa
09 John Pizarelli / I Feel Fine/The Sidewinder
10 Hoagy Carmichael / Riverboat Shuffle
11 ロンサム・ストリングス / メイド・イン・USA
12 Joe Pass / Mother's Little Helper
13 Ben Sidran / Snatch

〈コメント〉
♪01 ドイツの鍵盤奏者。『ヤンコウスキーノーツ』より。ハル・デイヴィッド追悼。とはいえこのヴァージョンはインストゥルメンタルですし、デイヴィッドの書く歌詞の内容を意識したことはとくにないのではありますが。(Amazon)

♪02 現代スウェーデンのピアノ・トリオ。現代ジャズにありがちな抽象性は低めで、わたしのような者にも普通に聴けます。変拍子です。アルバム『ソリタリー・インタレスツ』より。(Amazon)

♪03 マリンバ版ティファナ・ブラス的なイージーリスニング・グループ。CD化は遅れているような気がします。アルバム『ウォッチ・アウト!』より。わたしはこの曲はスタン・ゲッツとアストラッド・ジルベルトのライヴ盤『ゲッツ・オ・ゴーゴー』で知りました。(YouTube)

♪04 イギリス生まれの盲目のピアニスト。アルバム『追憶(The Way We are)』より。ギルバート・オサリヴァンのカヴァーです。(Amazon)

♪05 素性の知れないレコード。『カリプソ・アンド・アザー・アイランド・フェイヴァリッツ』より。

♪06 パーカッション奏者による変拍子集『ニュー・タイム・エレメント』より。トニー・ハッチの曲。(Amazon)

♪07 本日初の歌入りナンバー。バカラック=デイヴィッドが音楽をつけたミュージカル「プロミセズ、プロミセズ」のオリジナル・キャスト盤より。これも軽く変拍子。(YouTube)

♪08 イギリスのイージーリスニング・コーラス・グループ? CM曲などを集めたコンピ『ミュージック・フォー・ビスケッツ』より。これはタイトルどおり、ヴェスパのCM曲だと思われます。(Amazon)

♪09 新譜『ダブル・エクスポージャー』より。リー・モーガンの有名曲と、ビートルズの曲のマッシュ・アップ。「ザ・サイドワインダー」って、別にかっこよくもなくもっさいリズムだと思うんですが、発表当時はあのもっささがほかにない感じだったのかな……と、まあそれくらいしか言うことはないですね。(YouTube)

♪10 一説によると、イアン・フレミングが抱いたジェイムズ・ボンドのイメージはこのひとだったとも言われます。洒脱系作曲家/ヴォーカリストの原点のひとりのようなひと。アルバム『スターダスト・ロード』より。(Amazon)

♪11 最近は中村まりと組んで活動することが多い弦楽器4人組。和製アメリカーナ=和メリカーナ(←ダサい呼び方)を代表するグループのひとつでしょう。この曲はアストル・ピアソラのカヴァーのようです。(Amazon)

♪12 ジャズ・ギタリストによるローリング・ストーンズのカヴァー集『ザ・ストーンズ・ジャズ』より。イントロのベースがグルーヴィ。日本盤CDの解説は越谷政義ですが、なんら有益な情報もない。いいかげんにするべきでしょう。(YouTube)

♪13 黒人音楽研究家としての側面も持つヴォーカリスト/ピアニスト。おそらく彼の最良のアルバムのひとつと思われる『ドント・レット・ゴー』より。ジャム・バンド的インスト。(Amazon)

***森山弟***

お待ちください

***スズフウ***

01 Flap+Frog / フレーバ (orenge)
02 一十三十一 / サマーブリーズ '86
03 Microstar / 夕暮れガール
04 Metro Trip / サマーデイズ
05 KA=YA / Small World
06 Minimum Electric Design / Secret Garden
07 Lamp / 夏に散らした小さな恋
08 しゃばだば feat. Witch / 恋のディスコボール トゥナイト☆
09 Blue Marble / 懐かしのバイアーナ

***オウジ***

01 Feist / 1234(2007)
02 Allo Darlin' / The Polaroid Song(2010)
03 Seapony / Dreaming(2011)
04 Lali Puna / Grin and Bear (2004)
05 Guther / Statement (2006)
06 Texsas Pandaa / Sway(2008)
07 Stars / Undertow(2008)
08 Juana Molina / Que Llueva!(2003)
09 The Postmarks / Goodbye(2006)
10 空気公団 / 6月のポムさん(2005)

〈コメント〉
お声掛けいただきありがとうございました。もりやま(弟)さんからお誘いいただき、選曲するに当たって設けた制約は

1.インディポップ縛り
2.Edge Endに合う曲縛り
3.女性ボーカル縛り

の3点でした。いかがでしたでしょうか?

♪01 (弟)さんにお声掛けいただいた10秒後に決めた曲です。1曲目は、インディ感があり且つ絶対みんな知ってる曲で視線をDJブースに釘付けにしてやろうと思ったのですが失敗しました。

♪02 2010年の個人的インディポップベストトラックです。PVの垢抜けない感じもいいです。(YouTube)

♪03 2011年の個人的インディポップベストトラックです。最近知ったバンドの中で最もお気に入りのSeaponyです。この雰囲気を狙って出せるバンドはほぼいないと思います。近々新譜が出ます。

♪04&♪05 たぶんこの手の音楽の2大巨頭だと思いますが、あまり思い入れはないです。上手く後半につないでいきたかっただけで。

♪06 これもつなぎです。日本のバンドです。2年前サインもらいました。後、ギターボーカルの女性がご懐妊だそうです。

♪07 エレクトロニックなポップスも入れたくなって選んでみました。聞いてると眠くなりそうな雰囲気もあり迷いましたが、ぼくのDJなんかまあどうせ誰も聞かないだろと思って己の欲望のままに選んでみました。

♪08 大学を卒業してフリーターだったときにバイト先に行くときに車の中で毎日聞いていたのがJuana Molinaでした。そのときに遊んでいた友人がほとんどみんな結婚してしまったので、ふと思い立って選曲しました。

♪09 (弟)さんに一番紹介したかった曲です。それだけのために選曲しました。たまたまこんなタイトルですが、深い意味はありません。

♪10 1曲目を決めた後にすぐ決まったのがこの曲です。ラストは絶対日本人で締めたかったので。日本に脈々と流れる良質なポップミュージック(≠Jポップ)の系譜という意味で言うと、空気公団以降の歴史はまだ生まれていないと思います。とまで言うと大げさかもしれませんが…。そして彼らの曲は、世界・世間一般で言われる「インディポップ」の範疇には間違いなく含まれ【ない】と思いますが、彼らの曲は日本独自の文化が生み出した「日本のインディポップ」と呼ぶにふさわしいのではないか、と個人的に思うのです。だから、彼らの曲をあの場で流そうと即座に思いました。そして、そんな空気公団の中で締めにふさわしいと個人的に思った曲が、たまたまこの曲でした。

酒飲みながら書いてたらこうなりました。恐縮です。後、選曲についていろいろ書いてますが、全部嘘です。後付けの理由です。

***森山弟***

お待ちください

***森山兄***

01 Wilco / I'm the Man Who Loves You
02 Moses & Joshua Dillard / My Elusive Dreams
03 benzo / 抱きしめたい
04 山下達郎 / ピンク・シャドウ
05 Lionel Hampton / China Stomp (Chinatown)
06 Rene Netto / Cotton Fields
07 Mike Sammes / Dulux Super 3
08 The Grand Award All Stars / I'm Gonna Sit Right Down and Write Myself a Letter
09 猪俣猛とウェスト・ライナーズ / 10番街の殺人
10 ムース・ヒル / スープ・ソング
11 Daniel Martin Moore & Joan Shelley / Hollow Heart
12 ビューティフルハミングバード / 流線形
13 Ben Sidran / Hey Hey Baby
14 Kenneth Pattengale / Charlie

〈コメント〉
♪01 2005年ごろのライヴ盤『キッキング・テレヴィジョン』より。リンク先は2006年のライヴ。(YouTube)

♪02 カントゥリーとソウルの出会いの数々をコンパイルした感動的なオムニバス『ビハインド・クローズド・ドアーズ』 より。この曲は軽快なノーザン・ダンサー。(YouTube)

♪03 20年ぐらいしたら、フリーボ、ザ・チャンあたりと一緒に1990年代のレア・グルーヴとして再発とかされそうなバンド。アルバム2枚を残して解散しております。バンド名は、帯広を開拓した依田勉三の名にちなんでいるらしい(メンバーが北海道出身)。細野晴臣なんかに重用されているベーシストの伊賀航がこのバンド出身だったような。(Amazon)

♪04 先週の「黒の試走車」で岡村くんと話していて自分の音楽的体験の中にヤマタツ成分が不足していることを自覚したため、近くにあった2枚組ライヴ盤『イッツ・ア・ポッピン・タイム』を引っ張り出してきました。これはブレッド&バターのカヴァー。「原曲はレイドバックしすぎているように感じていた」と語るヤマタツ、ぐっとシャープにやってます。(YouTube)

♪05 1930年代後半の録音を集めた『リング・デム・ベルズ』より。この曲では本職のヴィブラフォンではなく、ピアノを弾いています。おそるべきスピード感。(YouTube)

♪06 マルチ・リード奏者。レッドベリーの曲を、回転数間違えたかと思うような高速でプレイしています。『ザ・サウンド・オヴ・レネ・ネット』より。

♪07 前半の08と同じ出典。下記リンクの、誰かが勝手に作ったヴィデオは、歌詞の内容もうかがい知れて楽しいです。(YouTube)

♪08 イノック・ライトのプロデュース。やたらと左右に飛び回るステレオ効果が楽しい。『パーカッション&ブラス』より。(YouTube)

♪09 ヴェンチャーズのヴァージョンで有名になった曲。オムニバス『モダン・パンチ・フォー・ユー』より。凝ったアレンジが楽しいですが、途中1箇所、リズムがズレたみたいになってますよね?(Amazon)

♪10 伊藤ゴローのソロ・プロジェクト。『デザート・ハウス』より。この曲でのヴォーカルは原田知世。(Amazon)

♪11 現代アメリカのマイナーSSWの中で、わたしがもっとも注目しているひとのひとりがDMM。今回アルバムを共作しているシェリーさんの素性は存じ上げません。いずれにしても静謐なフォーク・アルバムであるところの『ファーゼスト・フィールド』より。(Amazon)

♪12 何枚かアルバムを出していますが、来歴とかはよく知りません。アルバム『呼吸』より。今回聴いてみて、単にオーガニックなだけではなく、フリーフォークに通じる部分もあるひとたちなのかなと思いました。(Amazon)

♪13 前半の13と同じ出典です。(YouTube)

♪14 最近たまたま、ミルク・カートン・キッズというデュオの存在を知り、公式サイトで無料でアルバム丸ごとダウンロードできるのに驚きつつもダウンロードしたものの、さすがにそれだけは申し訳ないなと思い、ふたりとも自己名義のアルバムを複数枚出しているのでそれらを中古で買ったりしています。そんなうちの1枚『ストーリード・プレイスィズ』より。(YouTube)
ミルク・カートン・キッズのダウンロードはこちらから。素晴らしい内容です。

***おまけCD『How to Steal a Song』曲目***

01 Primal Scream / Jailbird
02 ザ・ハイロウズ / 罪と罰
03 They Might Be Giants / Youth Culture Killed My Dog
04 16TONS / 銃殺の朝
05 Eilen Jewell / If You Catch Me Stealing
06 スピッツ / 花泥棒
07 Sam Cooke / Chain Gang
08 Herbie Hancock / The Thief
09 中川五郎 / 殺し屋のブルース
10 Ben Sidran / The Foolkiller
11 Chris Difford / Passion Killer
12 猪俣猛とウエスト・ライナーズ / 10番街の殺人
13 Serge Gainsbourg and Brigitte Bardot / Bonnie and Clyde
14 Pentangle / Let No Man Steal Your Thyme
15 巻上公一 / 殺しのブルース
16 Stina Nordenstam / Crime
17 M. Ward / Not a Gang
18 Iron & Wine / Arms of a Thief
19 オリジナル・ラヴ / 殺し
20 Isobel Campbell / Beggar, Wiseman or Thief
21 Tamas Wells / The Crime at Edmond Lake
22 グレイト3 / フール&ザ・ギャング

☆なんとなく犯罪に関係しているっぽい曲を集めました。
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by soundofmusic | 2012-09-28 06:21 | PPFNPセットリスト | Comments(0)

節約~僕の無事を祈ってくれ

d0000025_19573818.jpg考えてみたら最近、というかここ1、2年、なんでもかんでも100円コンヴィニで買ったものばかりで生きていて、野菜や肉もスーパーにすら行かずにそこで済ましている有様。普通のコンヴィニも利用するけれど、パンとかおにぎり以外のものはめったに買わないし棚にも近寄らない。昨日、たまたま普通のコンヴィニに入って数分間時間をつぶさなくちゃいけない事態になって、雑誌のあたりをゆっくりと歩き、ふと顔を動かすと医療品っぽいものが売られている棚が目に入った。そこには体温計があり高級そうなマスクがあり、いつまでも湿り続けていることができそうなウェットティッシュめいたものがあり、それらの品々は100円コンヴィニでは見かけることができないものたちなので新鮮な驚きを感じると同時に、ああ、やっぱり安物にばかり接していたら目も舌も肥えないんだろうなあ、とふと思った。

まあわたしの場合、そういう細かいところで節約しつつ、CDとかで盛大に、そしてあまりにも無造作に浪費しているわけなんだけど、海外旅行なんて浪費の最たるものかもしれない。以前ひとと話をしていて、だいたい2年に1回のペースで海外旅行に行く、と言ったらまるで大富豪のような扱いを受けたことがあり、たしかに自分でも身分不相応だとは思うものの、いや、ちょっと待ってほしい。

同じ会社のまわりのひとたちを見ていると、1日に2本くらいペットボトル飲料を買ったり、スターバックスのコーヒーを買って持って出勤してきたりする。ペットボトル飲料を1日1本に減らすことで1日130円の節約。毎日のスターバックスのうち、週に2回はドトールにすることで400円の節約。これでだいたい週に1300円浮かせる。年間に65000円、2年で13万円。充分海外に行けるじゃないですか。とはいうものの、得意気に節約の話をするのはなんかさもしいのは知ってる。

こんなことを書いてみたのは、今週からその2年に1回の海外旅行に行くにあたり、やはりなにが起きるかわからないので、一応最後にみなさんの前に姿を現しておこうという意図からです。今回はとくにロクでもないことが起きそうな気がしていて、というのも、そもそもはこの旅行、宇内さんと行くことになっていたのに、バカバカしくものっぴきならない事情で宇内さんが参加できなくなり、しかもそれがわかったのが出発まで1週間を切った頃、という……。

それであわてて飛行機をキャンセルしたり、ホテルの予約をトゥインからシングルに切り替えたり(奇跡的に空きがあった)、まったく本当に余計な手間をかけさせられたというほかはないし、海外でひとりだと、食事をする場所を探したり決めたりするのが億劫になるのがあれなんだけど、せっかくなので気軽に楽しんでくるつもりです。

それで思い出したのが、ビリー・ホリデイがうたった「Trav'lin' Light」という曲。「身軽な旅」なる邦題がついているんだけど、最初、チェット・ベイカーのヴァージョンで知ったときは、遠くからやってくる星の光、みたいなうただと思っていた。だいぶ昔の話とはいえ、わたしの英語力はその程度なので、うまく意思疎通が取れなかったことが原因で死体がゴールデン・ゲイト・ブリッジのたもとあたりに浮かぶ可能性も、ゼロではない。どうか無事を祈ってください。
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by soundofmusic | 2012-09-16 19:58 | 日記 | Comments(0)

カレーにまつわる後悔

d0000025_1121435.jpgご報告遅れましたが、先週土曜日、PPFNP無事終了いたしました。次回は11月10日の開催です。./irori(←バンド名。読み方は「イロリ」)のアコースティック・ライヴがフィーチュアされる予定ですのでどうぞお楽しみに。

土曜日がそれで、金曜日はライヴに行って、日曜日もライヴに行って、月曜日は映画と芝居見て、火曜日はライヴ見て、本日水曜日は映画見てから仕事をしました(普通)。わたしはライヴ見に行ってもかなりの場合、見始める前から疲れていて、早く終わらないかなーと思っている、というのが言いすぎであれば何時頃終わるのかなーと思っているのですが、そうでないときもごくまれにあります。

日曜日に行ったのは、渋谷WWWでおこなわれた、かきつばた、三田村管打団?、片想い、そして三田村~と片想いの合体バンド、両想い管打団!。マップのイヴェントで、なぎ食堂のヴィーガンカレーも売られてました。この会場、初めて入りましたが、ここは映画館シネマライズのふたつあったスクリーンのひとつをつぶして作ったもので、客席部分の傾斜とか天井の高さとか映画館時代そのままで、なんか不思議な無理矢理感があります。

ちょっと遅れて会場入りすると、ポスト・ロック風のインストゥルメンタル・バンドが演奏しており、地味にじわじわ盛り上がる演奏を聴きながら思ったのは、こいつらのバンド名はいったい、わたしが知っている三田村管打団?以外のふたつのうちどっちなんだろう、ということでした。片想い? たしかに道ですれ違ってもあいさつしてくれなさそうだけど、片想いってそういうもんじゃないだろう。かきつばた? うーん。と首をひねっている間に演奏は終わり、結局彼らは、彼ら自身による申告によってではなしに消去法で判明したところによると、かきつばたでした。

この日のわたしのお目当ては三田村管打団?。このブログでは彼らについて言及したことがなかったようですが、このグループを一度ライヴで見たくて仕方なかったのでした。関西を拠点にしている彼ら、大阪や神戸、瀬戸内あたりではときおり演奏しているものの、関が原から東にはついぞやってくる気配がない。東京公演は、5~6年ぶりだったそうです。わたしのファン歴はほんの2年くらいのもののはずなので、とりあえず上京情報を見逃していたことはなかったことがわかって、ほっとしました。

三田村管打団?がどんなバンドかというと、最大時は打楽器3人を含んで総勢15人くらいになるらしいブラス・バンド。今回の編成はわずか9人くらいでしたが、ドラムスひとりに8人の管楽器がずらりと並ぶのは壮観でした。たとえばこの「キネンジロー」の動画を見てもらうと、舞台にいるのが耐え切れないかのようにメンバーが、いや音楽がそこらへ拡散していくのがわかりますけど、日曜日の渋谷では、客席の後ろから音が聞こえ始め、客席脇の通路を歩きながら演奏しながら、メンバーがステージに向かっていく。

それにしてもこの日の彼らの演奏は、一糸乱れぬとか、神がかったとか、そういうところからははるかに離れた場所にいて、わたしがいままでに見たあらゆる類のライヴ・パフォーマンスでおそらく一度も感じたことがなかった、いまここで音楽が、泉から水が湧いてくるみたいに作られつつある、そんな感覚を与えてくれました。達者な演奏、メンバー同士の親密な力学、もちろんそうしたものを目の当たりにしたことは何度もあります。しかしそれにしてもこの日の彼らの演奏は、以下同文。

実際にその場で、複数の人間が呼吸をあわせて、ときにあわせそこねて、リアルタイムで音楽をつくっていることをもっと真摯に受け止めなくてはいけない。なんてことは、いまこうして思い出しながら書いているときの頭であって、体を動かしながら考えていたのは、ぼくらはもう、この多幸感を得るためにわざわざ飛行機に乗ってニューオリンズに行かなくてもいい。そのかわり、その飛行機代で10回くらい、ぷらっとこだまか夜行バスで、大阪に行けばいい。ということでした。そして付け加えるならば、もちろん三田村管打団?は別にニューオリンズのブラス・バンドの真似っ子をしてはいないし、さらに彼らは、3枚目のアルバムを年内にはリリースするそうなので、そうなれば単独での東京公演が実現することでしょう。

で、知らなかったバンド、片想い。こちらも8人くらいの男女混合編成。人数に不相応な隙間のある音。メロウな鍵盤プレイがあるかと思うと突然オールド・スクールなラップが始まり、ベースはフライングVだし、JB風のファンクもあるし、夕焼け楽団っぽいチャンキーな瞬間もある。まじまじ見るとメンバーみんな少々どんくさい。90年代からこっちの、70年代レプリカなバンドたちからは一線を画す(おそらくあえての)垢抜けなさ。見ているうちに、70年代のフィリッピンあたりのハコバンにこんなのがいたんじゃないか、とあらぬ妄想が浮かんできました。

このふたつのバンドが合体した両想い管打団!は、必然的に17人くらいいるわ、数曲で加わった中尾勘二(トロンボーン)がある瞬間に突然ものすごい勢いで咆哮し始めるわ(トロンボーンで)、いやはや、これはもう音楽というかお祭りだなと、えっ、てことはつまり、フェスってことか、自分はフェス行かないけど、こういうんだったらまた行きたいし、いまさらながら、ヴィーガンカレー、食べときゃよかったよ。
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by soundofmusic | 2012-09-13 01:13 | 日記 | Comments(0)

マジック・アワー

d0000025_17393642.jpg2泊3日で伊豆半島をなんとなく歩いて縦断してきました。とくに微に入り細に入り書く必要もないとおもいますが一応書いておくと、1日目は三島から歩いて柿田川湧水群を見に行って、歩いて三島二日町駅に行き、そこから伊豆箱根鉄道で修善寺へ。修善寺で遅い昼食をとって17時過ぎに歩き出し、そこから湯ヶ島まで歩くつもりだったけど18時半過ぎには真っ暗になってしまい、車の通行も普通にある街道とはいえ危険だし心細いので最後の5キロほどはバスに乗って湯ヶ島温泉に着き、そこで宿泊。

2日目は街道ではなく、おもに渓谷沿いの遊歩道を歩くことが多かった。滝やら、つづら折りの旧下田街道やら。途中、かなり本格的に山の中に入ったなーと感じる区間も多くて、もちろん人跡未踏の地というわけではないにせよ、単なる林の中の、なんとなく踏み固められているようないないような、心もとない道だったりしました。元気があったら河津か下田まで歩く予定だったけど、時間的にも体力的にも無理そうだったので、河津七滝からバスに乗って河津に出て、伊豆急で下田に到着。そこで泊り。

3日目は午前中、下田の海沿いをぶらぶらして、電車で帰って来ました。

とにかく1日目の日没はヤバかった。事前に調べて、18時過ぎが日没時間であることは分かっていたので、山の向こうに沈みつつある太陽が雲の下っ腹を照らす様子に驚嘆しつつも、もうそう長い間は歩き続けられないな、と思ってはいたのだけど、街灯もろくすっぽなく、明かりといえば行き交う車のヘッドライトくらいの田舎では、日没後1時間たったら、完全に夜なのでした。まがりなりにも田舎のことを多少知っているつもりではいたけれど、やはり東京暮らしが長いせいでしょう、ナメてましたね。夜になるということは店も旅館もほとんどすべて閉まり、予約してない徒歩の観光客は途方に暮れる状況ということです。

1日目を里から山に分け入っていく過程だとしたら、2日目はほぼずっと山の中で、朝から夕方まで、山の緑の濃淡を浴びまくっていました。保坂和志が、ふだん見慣れているつもりの山の木の描写も難しくて、気を抜くとすぐにブロッコリーみたいになってしまう、というようなことを書いていたのを思い出しました。暑くて汗だくだくだったけど、木とか川とかの自然物はなかなか見飽きないようにできているもので、ただ歩いているだけでも退屈しない。

そもそも、この伊豆半島縦断というのは、伊豆の踊子で有名なコースなわけですが、わたしが最初にこのコースを旅してみたいと思ったのは10代のころでした。なんでそんなことを考えたのかは忘れましたが、20数年たってようやく実現することができて、よかったです。しかし考えてみたら、こういう、旧道を歩くって老人の趣味だよね……。最近は口がゆるくて、電車で寝ていて気がつくとよだれが垂れていたりするし、また、飲み物やツバが気管に入ってむせこんだりもするし、そろそろもう死期が迫っているのかもしれない。

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ということで、明日は死期が迫っているわたしと弟(まだ当分死ななそう)によるDJイヴェント、PPFNPの日です。ハイセンスなおまけCDが配布されるのはいつものことながら、明日は特別に、わたしが伊豆で買ってきたおみやげのお菓子も配られるとおもいます(本当です。ただしこちらは先着15名くらい)。こぞってお越しください~。

☆Pure Pop For Now People Volume 92


2012年09月08日(土)18時~22時

渋谷エッジエンド(Tel:03-5458-6385)
地図

800円(1ドリンク&おみやげ付き)

DJ:
オウジ(civic
スズフウ(Twitter)(bem2011
森山弟(弟)
森山兄(兄、サウンド・オヴ・ミュージック)
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by soundofmusic | 2012-09-07 17:41 | 日記 | Comments(0)