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衒学

d0000025_16222644.jpg菊地成孔ダブ・セプテットを見ました。もともとダブ・セクステットとして活動していたところに女性トロンボーン奏者を加えたこのバンド、いまはまだ録音物はなく、しかも、エリック・ドルフィーやジョージ・ラッセルの曲をおもなレパートリーにしているとのことで、これは行っておかねばなるまいと感じて出向いていったわけですが、そもそも、「ジョージ・ラッセルの曲をおもなレパートリーにしているバンド」というものの異様さと、そういうものに釣られて東京とも神奈川ともつかぬ土地まで足を伸ばしてしまう自分の……と書いてみたところで、みなさまが、秘教的な理論を展開し、ときに電子音楽にまで触手を伸ばした特異な作曲家/編曲家であるジョージ・ラッセルのことをごぞんじでない可能性に思い至りましたので、まずはこちらをお聴きください。

○George Russell : Manhattan

冒頭1分半、ジョン・ヘンドリックスのナレーションとドラムスだけの部分が異常にかっこよくて、DJで2回くらい使ったことがあるかもしれません。5分17秒あたりからの、ビル・エヴァンスのピアノ・ソロは、いわゆるブルースっぽさを周到に避けているように聞こえますが(違ったらご指摘ください)、バックのリズムは何度か変化しながら、6分半あたりからR&B風でもあるズンチャズンチャなビートになり、上でいくら難解なことをやっていても、下部構造としてのリズムいかんでかなり音楽の印象は決定付けられるのではないか、などと思わされます。より正確には、「決定付けられてしまう」というか。だから個人的には、たとえば、コテコテのジャンプ・ブルース的なリズム・セクション+ラッセルの譜面によるホーン、なんてのも聴いてみたい。

それとは違うけど、こんなのも。

○George Russell Sextet - Concerto for Billy the Kid

現代ジャズのある種の傾向としての、ラテン(orアフロ)+フリー的なものの融合をさかのぼっていくと、もしかするとこのへんが源流になるかもしれません。このモチアンのリズムが続いていれば、ほかのパートに相当無茶なことをやられても、ある程度気持ちよく聴けるのではないかな。ここでもピアノ・ソロはエヴァンス。「エヴァンスがわからない」と公言してはばかるところのない非エヴァンス派(「反」ではない)のわたしですが、この抜群のノリのよさには脱帽。

んで、こういう音楽をおもなレパートリーにしているバンドの異様さ、に話を戻すと、こういう音楽を生で聴けることの喜び、はそれはそれとして、聴いていて、まだ「難しい曲をがんばって演奏している段階」だなあと感じさせられる瞬間が多々あって、そのうちそこを突破すれば難曲ならではのスリルとか快感が出てくる予兆も感じられたのですが、ええい、もうめんどくさいから個人名を出しちゃうと、類家心平、駒野逸美の両氏にとって、これは相当キツイお仕事なのではないかと。駒野氏のプレイは今回はじめて聴きましたが、類家氏にはCD、生演奏で接して、目を覚まさせられるような思いをしたことがあるだけに、もっとのぴのぴと演奏してもらいたかったなと、ここまで書きかけて、このバンドにそれを望むのは(音楽的に)無理だわ、無理。

バンマスの菊地氏のサックスの生演奏を本格的に聴くのは初めてのような気がしますが、さすがに年の功、普通でないフレーズを軽々と(あるいはそう見えるように)連発していて舌を巻きましたし、坪口昌恭氏のピアノは、前述の「コンチェルト・フォー・ビリー・ザ・キッド」や、「暑苦しい曲ばかりでしたので最後に甘いものをひとつ」との菊地氏のMCに続いて演奏されたアンコール曲など、おそろしく優雅でした。

そして、このバンドの特徴である、パードン木村のリアル・タイム・エフェクト。バンド名からして、生演奏にガンガン容赦なくダブ処理を施していくものかと思っていたら案外そうでもなく、冒頭の2曲メドレーでの音響は、とくに奇をてらったところはなかったです。次の曲では目立った形で仕事をしておりましたが。

それよりも、始まってすぐにおやっと思ったのは、わたしの耳に届く類家氏のトランペットの音が、会場の大きさ、ホールの形状、マイクと演者の距離、いままでに見たいろいろなライヴ演奏での経験、などからあらかじめわたしが想像したものと少なからず異なっていたことで、ステージ上とわたし(前から6列目、舞台に向かって中央やや右あたりにいました)とのあいだに、通常想定される以上の音響的距離が存在していました。PAのよしあしっていうのも感覚的なもので、それを差し置いてもあきらかにすばらしいときとあきらかにしょーもないときがあるものだと思いますが、この日の音響は、生楽器の音を生かしつつも、届いてくる音は生音そのものとは違うのだぞという事実を絶えず聴衆に突きつけてくるような音、という印象でした。そしてそれはときどき、これはまったく批判的な意図を含むものではないのですが、CDをプレイしている音を聴いているようにも思われました。この音像が木村/菊地の目指したものなのか、それともこの日の音響スタッフ(わたしたちには名前が知らされることがない)の仕事なのかはわかりません。

聴いているだけで自分の頭がよくなったような錯覚におちいることができそうなラッセルの音楽を長時間浴びることには、ペダンチックな快感があったのですが、と同時に、自分がここ20年くらい準拠/妄信してきた、知的なもの=カッコイイ、というモードが、徐々に(自分に対する)訴求力を失いつつあるなあということも、ひしひしと感じられた晩でした。そしてそれはもちろん、菊地氏に対してわたしのとっている/とるべき態度とも密接にかかわってくる問題であり、しかしながらそれについては項をあらためたいと思います。とか言ってると書きゃしないんだ、たいてい。
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by soundofmusic | 2013-03-30 16:48 | 日記 | Comments(0)

蒸気のイメージ

d0000025_11362067.jpgこちらではごぶさたいたしました。そうこうしているうちにPPFNPから2週間がたち、セットリストの完全版が公表され、来月の「黒の試走車」(ゲストはssotaくんです)の告知が解禁され、といった具合です。「サウンド・オヴ・ミュージック」のアンケート冊子の発送は、参加してくださったみなさまに向けては、ほぼ完了しています。と同時に、すでに残部僅少となっておりますので、参加してないけど欲しいってひとは、早急にご連絡ください。じきになくなります。そうこうしながらも内職をしたり頼まれごとをこなしたり風邪を引いたりがあって、ようやく昨日あたりになってもろもろだいたい片付いて肩の荷が下りた感じです。

マリク・ベンジェルール監督のドキュメンタリー映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」を見ました。70年代初頭にアメリカで2枚のアルバムを残したものの商業的な成功を収めることができなかった無名ミュージシャン、ロドリゲスの曲が、ふとしたことから南アフリカで大ヒットし、反アパルトヘイトのシンボル的な存在になったって話で、そう言われると、どんなすごい音楽なんだろうって思うわけですが、いざ劇中で流れているのを聴くと、まあそこそこ才能はあるんだろうけど……と、おまえ何様、と言われるのを承知で、そう言いたくなるようなうたなのでした。

まずディラン、そしてJTの好青年っぽさと、あとはなんだ、リッチー・へヴンズのフォーキー・ソウル、そのへんを混ぜた感じで、決定的な個性は見出せなかった。ちなみにルックスはホセ・フェリシアーノに似てる。もっとも、ディランを引き合いに出した言われ方は当時からあったみたいで、「そういう言い方をするやつには、全然違う、って言ってやったよ」みたいな関係者の証言があった。そう言われると、はぁそうですか、と返すしかない。

この映画のなにがおもしろいって、ロドリゲスの音楽がとりたてておもしろいわけでもないっていうところでしょう。なにぶん昔のことなもんで、南アフリカでバカ売れした当時のリアルタイムの印税はどこかに消えてしまってロドリゲス本人のところには届いていないっぽい。大もうけしそこなったわけだけど、なんとなく、まあ仕方なかったなんだろうな、と思える程度の才能(すごく失礼な言い方だけど……)。でも晩年(現在)の彼は幸せそうで、それもなんというか、身の丈にあった程度の幸福というか。映画の冒頭ではやたらと謎めいた男に思われたのが、結局そこらのおっさんだった、みたいなオチは悪くない。

あとあれだ、ミシガン州ディートロイトの街の寒そうな様子がかっこいい。というかかっこよく撮っている。道路のいたるところから白い蒸気がもうもうと出てきてて、そういえば映画でよく見る気がするけど、日本だと温泉地でしか見かけないですよね。なんなんでしょう、あれ。画像はイメージ。
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by soundofmusic | 2013-03-24 11:38 | 日記 | Comments(0)

黒の試走車<テストカー> Vol.73

d0000025_1525754.jpg日時:2013年04月06日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート(渋谷区円山町28-8第18宮廷マンション1階奥つきあたり)
地図
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:あずまきょういち/チバ/森山兄
ゲスト:ssota

☆「黒の試走車<テストカー>」は、毎月第1土曜日に開催される、踊る前から踊り疲れているひとのためのイヴェントです。ラウンジの名の下に、ロック、ジャズ、ソウル、ラテン、邦楽、フレンチ、サントラ、モンド、電子音楽などをデタラメ、かつ控えめ(音量が)にお届けしています。

会場のメスカリートは、渋谷、道玄坂をのぼりきった先、マンションの1階つきあたり奥にあるスペース。全身にぬるま湯のように浸透する絶妙な反響効果で、何を聴いても自宅の3割増しでいい印象を受けることができる不思議な音楽空間です。未知の音楽との出会いに、既知の音楽との再会に。軽い舞踏に。気のおけない会話に。酩酊に。密会に。ぜひ一度遊びにいらしてください。

過去分のセットリストその他は、「黒の試走車<テストカー>」のmixiコミュニティにて閲覧可能です。

4月のゲストは、ときどき出てもらっているssotaくんです。当イヴェントでのはなばなしいデビューから早数年、神童感はやや薄れたとはいいながらも、引き続き安定したクウォリティのプレイを見せてくれることと思います。なお、当日は森山の旅行土産が配布されるかもしれません。あまり期待せずにお越しください。

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by soundofmusic | 2013-03-23 15:25 | 黒の試走車イヴェント情報 | Comments(0)

リスト Volume 95 2013.03.09 ゲスト:autoproc ライヴ:阪本正義

***森山兄***

01 Bryn Haworth / All I Want
02 Emmylou Harris & Rodney Crowell / Bull Rider
03 寺田十三夫 / そっとあなたを
04 George Jackson / All in My Mind
05 The Main Ingredient / Jamaica (Let Me Go Home)
06 Maria Joao & Mario Laginha / Love is the Seventh Wave
07 Lilian Terry / St. Thomas
08 見砂直照と東京キューバン・ボーイズ / ゲット・バック
09 Dusty Springfield / Don't Let Me Lose This Dream
10 オリジナル・ラヴ / 青い鳥
11 Robin McKelle & The Flytones / Fairytale Ending

○コメント○
♪01 英国スワンプのSSW。ハーモニカの音が気持ちいいですね。ジャケも最高なホワスト・アルバム『レット・ザ・デイズ・コー・バイ』より。(レコ屋のサイト)

♪02 ロドニーさんについては存じ上げませんが、出たばかりのこのふたりの共作アルバム『オールド・イエロー・ムーン』より。(Amazon)

♪03 アルバム『雨上がりの街』(1973年)(Amazon)より。西海岸ロックと、英国テイストを高い次元で融合したなかなかの力作だと思います。この曲はギルバート・オサリヴァン的なアレでしょうか。同作に収録の「路面電車」は超グルーヴィ。→(YouTube)

♪04 南部のソングライター。ほぼ未発表曲集『イン・メンフィス1972‐77』より。こういうデッドなドラムの音って、わたしが初めて接したのはオザケンのファーストでだったよね(別に威張ることじゃない)。(YouTube)

♪05 70~80年代のソウル・グループ。『シェイム・オン・ザ・ワールド』より。このヘンなリズムはレゲエをイメージしてるんでしょうか。微妙。(allmusic)

♪06 ポルトガルの二階堂和美、あるいはヤノカミ。と言ってるのはたぶんわたしだけ。スティングのカヴァー。ほかにもいろいろカヴァーをやってるアルバム『アンダーカヴァーズ』より。ちなみにだいぶ前、母から、ラジオで聴いていいと思った曲を探してくれと言ってもらったメモには「スピング」と書いてありました。(YouTube)

♪07 イタリアのジャズ歌手。先日の「黒の試走車」でこれをかけようとして間違えてほかの曲をかけてしまったので、リヴェンジしました。『CGDデイズ・コレクション』より。(ユニオン)

♪08 和ジャズのひとたちによるビートルズのカヴァーを集めたアルバム『和ジャズ PLAYS ビートル・スウィング 青盤』より。ビートルズのカヴァー。編曲は前田憲男だったかな。ハード・マンボに衣替え。(Amazon)

♪09 ダスティっていうと、「この胸のときめきを」の歌い上げな感じとか、嫌いでしたねぇ。こういう、ノーザンっぽいダンサーもあることを知ったのはだいぶ後になってから。『ホウェア・アム・アイ・ゴーイング?』(ンなこと知らないよw)より。アレサ・フランクリンのカヴァーだったような。(YouTube)

♪10 カヴァー集『キングスロード』(Amazon)より。レオン・ラッセルの曲に自分で日本語詞をつけたものです。ドラマティックでかっこいいです。ライヴの(YouTube)。レオン・ラッセルのオリジナル・ヴァージョンはこちら(YouTube)。ほぼ同じような気が。

♪11 よく知らないひとですが、姐御系のレトロ・ソウル。ホーンのあしらいが春らしい。(YouTube)

***森山弟***

01 Curt Boettcher / I Call You My Rainbow(1973頃)
02 Cara Dillon / She's Like the Swallow(2002)
03 Clare & the Reasons / Pluto(2008)
04 Susanna Hoffs / Picture Me(2012)
05 Extradition / A Water Song(1971)
06 Beirut / The Gulag Orkestar(2006)
07 Howe Gelb / 4 Door Marverick(2011)
08 Drag City Supersession / The Girl on the Billboard(2001)
09 Joe Pass / Nowhere Man(1966)
10 小島麻由美 / DOO-BEE-DOO-GOO(2001)
11 The Jumping Jacques / Mississippi Mischief(1969)
12 Almand Trovajoli / Seven Golden Men(1965)
13 Eli "Paperboy" Reed / Stake Your Claim(2008)
14 One AM Radio / Credible Threats(2011)

○コメント
01 元ミレニウムとかサジタリアスのソフトロックの重鎮。セカンド・ソロのために録られたままお蔵入りになっていた未発表集より。爽やか。

02 ケルティック・フォークのエッセンスを程よく散りばめた現代アイルランドの女性SSW。

03 ジェフ・マルダーの娘クレアのバンド。ノスタルジックなレトロ・アメリカン。

04 元バングルズの人。「60年代へのラブレター」をコンセプトに去年出した16年ぶりのソロより。非常によいです。

05 オーストラリアのアシッド・フォーク。アルバム1枚しか出てないし名盤だと思うのでおすすめです。

06 無国籍オルタナ・フォーク。

07 砂漠のルー・リードことジャイアント・サンドのリーダーのソロ。

08 ジム・オルークとかエスパーズの所属するレーベル、ドラッグ・シティのスーパーセッション。

09 ビートルズのカヴァー。

10 スキャット。

11 スキャット。兄が買ってたので真似して買いました。

12 スキャット。イタリア映画「黄金の七人」のテーマ曲。

13 ド迫力のヤング・ソウル・シンガー。60年代のディープ・ソウル丸出しの白人の若者。

14 一応エレクトロニカに分類されそうな、繊細なアコギとストリングスが美しいグループの4作目より。ダンスっぽい方向へ転換中。

***autoproc***

01 Yo La Tengo / I Saw The Light
02 Joanna Newsom / The Fray
03 Aspidistrafly / Homeward Waltz
04 Jolie Holland / Springtime Can Kill You
05 FREEBO / 僕の車
06 Rallypapa And Carnegiemama / 枯葉のブルース
07 Thurston Moore / Honest James
08 Ferraby Lionheart / Small Planet
09 SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER / If I Happen To Fall Down (In Your Arms)
10 The Welcome Wagon / Half A Person
11 ガールズ / オー!ダーリン
12 佐野元春 / 情けない週末

○コメント
♪01 Yo La Tengoの最新アルバム『Fade』のボーナストラック、いわずと知れたTodd Rundgrenの名曲のカバー。なんとなく森山(弟)さんからの繋がりがよいかなと思ってかけたら森山(兄)さんに「いかにもautoprocさんがかけそう」といわれました。はい。その通り。いかにもです。

♪02 Joanna Newsomはとても好きで、初来日と再来日時と二度聴きにいきました。今日はライブでギターの弾き語りもあることだし、指で弦を弾く音は趣旨に合うだろうと思い、かけました。ハープの響きが綺麗なのは指で押さえない開放弦だからなんでしょうかね。アメリカ音楽の豊かさを感じさせる様々な要素が織り込まれる最近の楽曲群も素晴らしいですが、こんな初期の瑞々しい録音もまた良いです。『Walnut Whales』から。

♪03 森山(弟)さんに誰の曲かと尋ねられましたが、読めなかった(読もうとしたことがなかった)ので伝えられず残念でした。今検索してみたら「アスピディストラフライ」と読むらしい。そのまんまだけどやっぱり覚えられないと思う。シンガポールの男女デュオ、日本のミュージシャンも多数参加している2011年のセカンドアルバム『A Little Fable』から。

♪04 Jolie Hollandは初期のもわっとした一発録り的な音も凄みがあって素晴らしいのだけど、多彩なインストゥルメントを臨場感たっぷりに聴くことのできるこのアルバムもとても好きです。2006年リリースのサード『Springtime Can Kill You』のタイトルトラック。

♪05 マキシシングル『月明かりを撃て!』から。FISHMANSのDAY DREAMカバーをかけるつもりで持ってきたのだけど、なんかこっちをかけてた。

♪06 今日はこういう日なのかな…という予想で持ってきたところ、やっぱりそういう日だった気がする。関西のライブではあがた森魚さんのバックをつとめたりもしていた彼らの『Last Album』より。

♪07 アコースティックギターがいい音で鳴ってる曲をかけたいと思ってまず手に取った『Tree Outside The Academy』から。

♪08 たしか試聴して気に入って買ったんだと思う。どういう人なのかはよく知らないです。カントリーで育ったベックって感じのサウンドと歌声。2007年のファーストアルバム『CatchThe Brass Ring』から。

♪09 とても切ないアコギの曲。私のオールタイムベストの中の一曲。

♪10 Sufjan Stevensプロデュースのアルバム『Welcome To The Welcome Wagon』からThe Smithsのカバーを。カバー曲って好きですね。この彼らのバージョンはダンガリーシャツのボタンを一番上まで留めたようなぴしっと几帳面な仕上がり。

♪11 この日の失敗。こういう曲をかけると場末のシケたBarって雰囲気になってしまうのだなあ…という発見がありました。

♪12 この後がライブなのでしっとりした曲で終えようと思って。それと週末だったから。

***ライヴ:阪本正義***

01 リバー
02 夕焼け
03 あいつ
04 乳房
05 三時の子守唄(細野晴臣のカヴァー)
06 道しるべ

***森山弟***

01 Caroline Herring / Black Mountain Lullaby(2012)
02 中村まり / From the Other Way Around(2009)
03 Maria Muldaur, Marcia Ball, Angela Strehli, Tracy Nelson / Shout, Sister, Shout!(2003)
04 The Carnival / Son of a Preacher Man(1969)
05 Count Basie Orchestra / Dr. NO's Fantasy(1965)
06 Count Basie Orchestra / The Kid from Red Bank(1957)
07 Little Barrie / Long Hair(2005)
08 The Last Shadow Puppets / The Age of the Understatement(2008)
09 Black Rebel Motorcycle Club / Conscience Killer(2010)

○コメント
01 ミシシッピの女性SSW。上質のフォーク音楽です。

02 日本が世界に誇っても罰は当たらなそうなフォーク・シンガー。

03 シスター・ロゼッタ・サープのトリビュートより。

04 セルジオ・メンデスのブラジル'66のメンバーによるソフト・ロック・グループ。アレサ・フランクリンのカヴァー。

05 カウント・ベイシーが007の曲をビッグ・バンドで再現したアルバムより。

06 カウント・ベイシーはビッグ・バンドのダイナミズムみたいなものを長いこと軽視してたことに気づかせてくれるありがたい人。

07 最新型の英国モッズ・バンド。ゴリゴリしててかっこいい。

08 アークティック・モンキーズの人のサイド・プロジェクト。クラシック・ロックの雰囲気が充満するナイス企画。

09 現代のガレージ・ロックでは最もいかした部類に入るんじゃないでしょうか。

***森山兄***

01 グレイト3 / Dummy Oscar 誰かの唇
02 山下達郎 / ラブランド、アイランド
03 Smokey Robinson / The Family Song
04 The New Californians / Today
05 The Jumping Jacques / Love Me Now
06 Baja Marimba Band / For Animals Only
07 Paul Simon / Take Me to the Mardi Gras
08 The Hot 8 Brass Band / Fly Away
09 The Bourbon Street Stompers / I've been Working on the Railroad
10 Louis Prima / Pennies from Heaven
11 Ingrid Lucia / Sunny Afternoon
12 Bryn Haworth / Sunny Side of the Street
13 Lou Reed/John Cale / Style It Takes

○コメント○ 
♪01 活動休止前の最後のアルバム『クライマックス』(2003年)(Amazon)より。ゲストDJのautoprocさんは、グレイト3でこの曲がいちばん好きだそうです。エイティーズ的なキラキラ感のあるナンバー。

♪02 やっぱり山下達郎の音楽って、大好き!って感じにはならないんですよね……。と、先日と同じことを書いてますが、この曲はかっこいいと思います。『フォー・ユー』より。(YouTube)

♪03 ミラクルズと袂をわかってのホワスト・ソロ『スモーキー』より。ゆったりとしたグルーヴが気持ちいいニュー・ソウル。(YouTube)

♪04 たぶんCD化はありえまいと思われる宗教ソフトロックの名盤。素人とは思えない構成の妙、美しいコーラス。おすすめです。(レコ屋のサイト)

♪05 アルバム『シュガー&スパイス』より。ユニオンで安く見かけて、名前もジャケも安っぽいし、どうなんだろうなと思って調べてみたらよさそうだったので買ってみたら、はねまくるリズムに美しいコーラス、ズバリ当たりでした。これ、2月の「黒の試走車」でもかけてた。(YouTube)

♪06 マーティン・デニーのバンドにいたヴィブラフォン/マリンバ奏者、ジュリアス・ウェクターによるバンド。ティファナ・ブラスに続くA&Mのエキゾ系グループですが、再評価される気配は薄いです。これは、動物にちなんだ曲ばかりを集めた『フォー・アニマルズ・オンリー』のタイトル曲。(YouTube)

♪07 『ひとりごと(There Goes Rhymin' Simon)』より。ここ数年の感じだと彼のアルバムではこれがいちばん好きかな。マッスル・ショールズのかっちりとしたリズム。曲の後半にちょっとだけ出てくるブラス・バンドがいいですね。この曲は何度かDJで使っているはずで、そのたびにほぼ同じコメントをつけているはずです。(YouTube)

♪08 英トゥルー・ソウツ・レーベルが初めて契約したアメリカン・アクトらしいです。現代のニューオリンズ・ブラス・バンド。この曲はいろんなひとたちが演奏している伝承曲。『ロック・ウィズ・ザ・ホット8』より。(YouTube)

♪09 1988年に米・ウィスコンシン州で結成されたディキシーランド・ジャズ・バンド。いわゆるプロではないのかもしれませんが、複数枚のアルバムをリリースしています。この曲は「せーんろは続くーよー」として有名な伝承曲。『アイ・ライク・ディキシーランド』より。(YouTube)

♪10 娯楽系ビッグ・バンド。ズンチャズンチャ系のリズムにシュビドゥビ系のコースが乗った、楽しい曲。『ザ・コール・オヴ・ザ・ワイルデスト』より。(YouTube)

♪11 現代のビリー・ホリデイと呼ばれているひとは何人かいそうですが、そのひとり。『オールモスト・ブルー』に収録の、ザ・キンクスのカヴァー。(YouTube)

♪12 英国スワンプのSSW。セカンド・アルバムのタイトル曲。前半♪01のホワスト・アルバムと2イン1でCD化されてるのでお得です。(レコ屋のサイト)

♪13 元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのふたりが、むかし世話になったアンディ・ウォーホルに奉げたアルバム『ソングス・フォー・ドレラ』より。これはケイルの曲ですが、そんなことよりこのふたりの目線の交わし方がBL的にヤバい。(YouTube)

***おまけCD『Workers Playtime』曲目***

01 高橋幸宏 / タックスマン
02 The Books / Getting the Done Job
03 Travis / The Beautiful Occupation
04 ハンバートハンバート / コックと作家
05 The Bourbon Street Stompers / I've been Working on the Railroad
06 水森亜土 / 僕は特急の機関士で
07 Slide Hampton / Work Song
08 江利チエミ / 南京豆売り
09 Lee Dorsey / Gotta Find a Job
10 The Main Ingredient / Work to Do
11 Chicago / Policeman
12 Orchester Pete Jacques / Fruit Vendor
13 ザ・ディランⅡ / 悲しみのセールスマン
14 The Band / Last of the Blacksmiths
15 Steeleye Span / The Blacksmith
16 First Aid Kit / Sailor Song
17 Calexico / Writer's Minor Holiday
18 Lou Reed/John Cale / Work
19 Kula Shaker / Super CB Operator
20 真島昌利 / 俺は政治家だ
21 Vetiver / Blue Driver
22 Rockpile / Teacher Teacher
23 XTC / Senses Working Overtime

☆なんとなく、職業っぽい曲を集めました。
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by soundofmusic | 2013-03-16 12:01 | PPFNPセットリスト | Comments(0)

「サウンド・オヴ・ミュージック」アンケート号発行のお知らせ

d0000025_726184.jpg1990年代後半からほぼ毎年この時期に発行されております、フリーペーパー「サウンド・オヴ・ミュージック」の、前年を振り返るアンケート号が今年も無事リリースの運びとなりましたので、お知らせいたします。というか、「サウンド~」イコールこのアンケート号、だと思ってるひともいますが、本来はそうではなく、年に何回か発行されているうちのひとつがアンケート特大号、でした。しかしここ数年、通常号は出ておらず、アンケート号しか発行されてないのでやむをえないかもしれません。

ともかくこの冊子は、20代、30代、40代、70代の一般人31人(全員日本人)が、2012年のそれぞれの生活を振り返ったアンケートに答えた、その回答をまとめた冊子です。A5判68ページ、約8万字。

質問した項目は下記のとおりです。
☆A 回答者の名前など
☆B 2012年のまとめ、2013年への展望
☆C なんでもランキング(勝手になんでもランキングする)
☆D 死刑についてどう思っているか
☆E 2012年のレコード、CD、配信などの入手枚数
☆F そのなかで印象に残っているもの

誌名から察せられるとおり、「サウンド・オヴ・ミュージック」はもともと、音楽関係のフリーペーパーです。質問☆Eや☆Fは、いわゆる音楽雑誌の年間ベストテンのコーナーに相当するものです。しかしながら、最近では音楽を聴くひとも少なくなり、このアンケートも、☆Cや☆Dから浮かんでくる、一般人の生活のまとめみたいなものを楽しむものへと変質しつつあります。そしてそのことはとくに不本意だとは思っておりません。

一般人の書いたものを読む機会は、いまでは別に珍しくなくなっていますが、これだけまとまって、しかも紙で読めるのは、やはり貴重ですし、そうした意味ではとても楽しい冊子である、と自負しております。

入手は下記の方法で可能です。

・3月9日のPPFNPにて配布されます。ここが公式にはリリース開始日です。

・吉祥寺の本屋、百年。レジカウンター下のフライヤー置き場にあります。部数が少ないので、この週末にははけてしまうと思います。また、商品として置いてあるわけではないので、お店には絶対に問い合わせないでください。

・郵送。本体・送料とも無料にて、全国津々浦々に発送いたします。森山にメールをくださるか、こちらのフォームから、住所、氏名、希望部数をお知らせください。なお、おおむね24時間以内にわたしからの返信がない場合は、なんらかの問題が発生している場合が高いです(メール未着、見落としなど)。その場合はお手数ですが、再送してください。なんども送ってしまって恥ずかしいな……とかそういう心配は無用です。

どうぞよろしくお願いします。この冊子がなにかのきっかけになったら嬉しいです。
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by soundofmusic | 2013-03-08 07:28 | 日記 | Comments(0)

特別な瞬間の終わり

d0000025_2194175.jpgさて、今週の土曜日はみなさん待ちに待ったPPFNPです。よろしくお願いします。イヴェントの詳細はこちら。毎年恒例のアンケート冊子も、たぶん配布されます。絶賛編集中。ていうか正確には、まだ提出してこないウスノロな奴らに恫喝メールを送りつつ、自分の分を書いてる最中! お楽しみに。(写真は恫喝してるイメージ)

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先週の金曜日、新宿ピットインで、酒井俊+桜井芳樹+鬼怒無月のライヴを見ました。ふつうの認識だと、ギター(ほか)ふたりをバックにして歌手がうたう、ってことになるわけだけど、酒井俊の場合はそうはならないわけで、男衆ふたりもなれあうでも反撥しあうでもなく、要はみっつの点が緊張感と親密さを保ちながら近づいたり離れたりする、音楽。

桜井はエレキとバンジョー、鬼怒はエレキとアコギを、曲によって持ち替えたり曲の途中で取り替えたり。鬼怒のエレキはときに完全にロック・ギターにかぎりなく接近していて、せっかくだからもっと爆音にすればいいし、客も爆聴すりゃいいと思うのに、まあジャズのライヴ・ハウスではそうもいかないか。

後半の「アイ・シャル・ビー・リリースト」~「ロンサム・シティーズ」~「ワンダフル・トゥナイト」の流れが圧巻。いずれも酒井俊がよくうたっていて、何度も聴いている曲だけど、いつもより言葉と音がまるごと体に入ってきたというか、このひとがうたうのを聴いていると、なにを言ってるのかよくわかるので(たぶん酒井が歌詞をよく咀嚼しているからでしょうが)、自分が英語がわかるようになったような錯覚をいつも覚える。

「アイ・シャル~」だと、サビのところの歌詞はこうなってます。

I see my light come shining. From the west unto the east. Any day now, any day now. I shall be released.

この曲をはじめて聴いたのはわたしはRCサクセションによる日本語ヴァージョンだと思うんですが、清志郎はこの部分を、「日はまた昇るだろう このさびれた国にも」「日はまた昇るだろう 東の芝にも」とうたってました。まあ当時は、『カヴァーズ』の発売中止に対しての抗議、あるいは皮肉ということはわかっても、それ以上は考えてなかった。ピットインで、酒井が英語でうたうのを聴いて、なんだよ、清志郎の書いた歌詞、意外と原詞に忠実ないい訳じゃないか、と気付きました。

うたいだしのラインからして最高なロッド・マッケンの「ロンサム・シティーズ」も、何度も聴いているうちに、しょっちゅう楽旅ばかりしている酒井の心情がダイレクトに反映された選曲のような気がしてくる。安酒場っぽいアレンジもいいね。シナトラのはゴージャスすぎるなあ……。あんた全然ロンサムじゃないでしょ、と言いたくなる。リムジンかなんかで乗り付けてる感じ。

アンコールの「満月の夕」の前のMC、これは一言も漏らさずにおぼえておかなくてはいけないぞ、と背筋を伸ばしながら聞いていたのに、ピットインを出て、雨上がりの道を駅まで歩いていたら、やっぱりものすごい速度で忘れていってしまう。けど、だいたいこんな感じのことを言っていたとおもう。正確ではないであろうことをあらかじめお断りしておきます。

明日わたしはどこかの町でうたうかもしれないし、海に向かってうたうかもしれない。道に飛び出して道の真ん中で歌うかもしれないし、野原に寝っ転がってひとりでうたうかもしれない。でも、そういうことは全部、いまこうしてみなさんの前でうたうことや、100人、1000人の前でうたうことと、結局は同じなんだと、最近気付くようになりました。

別にライヴだとかにかぎらず、誰かと話しているときでも、ああこれは特別な瞬間なんだな、とその最中に感じることがときどきあるもので、ただしそういう体験をしばらくしていないと、それがどういうものかわからなくなってしまう。たゆまぬ努力、なんて言い方は音楽を聴くのにふさわしくないけれど、でもまあそういうことなんだろうとおもいました。
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by soundofmusic | 2013-03-04 02:23 | 日記 | Comments(0)