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d0000025_3392961.jpg世田谷文学館の「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」に行ってきました。土曜日の10時半ごろ着いて、まだ時間も早いしガラガラかな、と思ったら普通にひとが入ってた。小さな子供連れの女のひとが複数いて、なるほど、それだけ時間がたったんだなとそこで直感的に理解する。自分が若いころに接したものを、いつまでも「若い(ひと向けの)文化」だと思ってしまう。それは中年ならではの特権で、自分もそれを無意識のうちに行使していたってこと。

考えてみたら、最初の単行本から活動停止までが10年。そこからいままですでに20年近くたっている。そして自分が彼女の作品に親しむようになったのは、わずかに事故の2年くらい前にすぎない。こうして90年代のことを思い出したりすると、当時の時間の流れといまの時間の流れを、体感的に同じものとしてとらえるのが難しい。

要するに昔の話なんですよって割り切れればいいんだけど、「リヴァーズ・エッジ」の原画なんかを見ると、当時読んで、もうこれはマンガを超えてる、現代文学の最前線と並走してる、って(だいたいこんな感じの言葉づかいで)思ったことを思い出した。その当時の感覚に偽りはないんだけど、それからいままでいろんなものが出てきてるわけなので、若いひとが真に受けて、無理して岡崎京子を読み始める必要は必ずしもない、っていう思いもホント。

客観的にどうかとはまったく別の話で、とにかく自分にとっては密度が濃い展示で、だいぶ体力を消耗した(悪い意味ではない)。好きな映画やマンガやアニメからの大胆で無造作な引用はいまのひとのやり方とは違うだろうなということと、それと、このひとはめちゃくちゃ絵がうまいんだろうなということを、たぶん初めて思った。壁だったかガラス・ケースの中だったかに大きくプリントされた「くちびるから散弾銃」の3人の並んだ横顔の重なる絵、それだけで映画みたいだった。

会場の入口ではピチカート・ファイヴの「衛星中継」が小さな音で流れていたけど、もっと音楽ガンガン流れててほしかった。ディー・ライト、スリッツ、昭和歌謡、なんでもいいよ。建物に入ってすぐの物販コーナーには、ありったけの彼女の単行本がずらりと並んでいて、壮観だった。図録はレアなマンガ作品もたくさん収録されていて、これはどう考えても買って損はない。自分は買わずに帰った。家に着く前に、池袋にオープンしたばかりの店で牛かつ定食を食べた。

もう終わっちゃったけど、連動企画で「“90年代”ZINEをつくろう!」っていうワークショップがあったそうで、これは覗いてみたかったなあ。ただし当時はZINEなんて言い方はほぼされてなかったはずで、こういう具合に歴史は修正されていく。
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by soundofmusic | 2015-02-22 03:41 | 日記 | Comments(0)

d0000025_027841.jpg余計な前置きは抜きにします。水曜日、スタックス・フレッドで、岩見夏子企画「【音楽と季節】冬の章~春によろしく~」を見ました。決して広くはないライヴ・ハウスのステージが花であふれ(岩見夏子自身がディスプレイしたもの)、そこで、丹念に選ばれたであろう3人、安部たかのり、mue、ジョー長岡、が順番にうたっていく。

まあ、順番なのは当たり前というか普通ですが、対バン同士の必然性や流れが感じられないライヴもときどきあるわけじゃないですか。この夜はそうじゃなくて、きちんと流れがあった。グルーヴ感のあるブッキングと言ってもいいかな。

お客さん同士も、悪い意味じゃなく見知った顔が多くて、アット・ホームな空気が充満してました。なんかこれはあんまりない感じの夜だぞ、と思ったのは、トリのジョー長岡のとき。出てきて歌う前のMCが、いつもと同程度にしか面白くないのに(っていうと失礼だけど)、めちゃくちゃ客席を沸かせてるのね。もちろん自分も釣られて笑って、小さな声で「よっ!」とか「ジャム!」とか合いの手を入れてました(ジャムを煮る話をしてたので)。きっと花々がひと足先に春を呼んで、居合わせたみんなを狂わせたのに違いない。

振り返ってみると、トップ・バッターの安部たかのりからして、耳がピンと立ってしまうようなうたで。聴いたの初めてだったんですが、なんだこのむやみやたらに大物感のある男は、とびっくり。微妙にこちらの予想を裏切るようなコード進行だったり、王道のうたにアシッド感のあるギターがくっついてきたり。聴きながら、ティム・バックリィとキリンジを同時に思い浮かべたりしてましたが、なかなかそんな音楽、ないですよね。

mueはPPFNPに出てもらったこともあるのでうたは知ってるけど、あらためて彼女のうたとギターのリズムはただものではないなと、口をあんぐりさせながら聴いてました。オリジナル曲同様に、カヴァーに驚かされます。ブルーハーツの「トレイン・トレイン」をこんなふうにうたうひとは、たぶん地球上のどこにもいない。あと、とんちピクルスの「どうだいドラえもん」という曲を彼女のうたで知ることができて、本当によかった。

ジョー長岡については何度か書いてる気がするので省略しますが、なんかこの日は、いつもより固い決意みたいなものが伝わってきた。とだけ言っておこう。期待してます。

しかしなんといっても、たとえ本人が遠慮したとしても、この晩は岩見夏子のものだったというしかない。いちばん最後のあいさつで、今日の演者たちを初めて見て気に入ったなら覚えて帰って、次につなげてくださいみたいなことを言ってたと思うんだけど、この言葉には猛烈な母性を感じた。夏子さんと初めて会ったのは何年くらい前でしたっけ、たしか「高円寺の湯川れい子」と紹介されて、自分もそういう見立てが好きなんですがそれはそれとして、よく占い師とかで、どこそこの母、って呼ばれてるひとっているじゃないですか。そういうときの「母」って、この晩の夏子さんみたいなひとのことなんじゃないかなって思った。新高円寺の母。

終演後には、ステージに飾られていた花がおすそ分けされて、お客さんが少しずつ持ち帰るシステム。うちでももらって帰って、夜、さっそく玄関に飾りました。それが上の写真。で、翌朝、仕事に出かけるとき、はっとした。花瓶の横の小窓から光が差し込んできて花を照らして、それで初めて、あ、ここからこういうふうに光が入ってきてるんだ、って、ふだん気にしてなかった部分が、初めて見えるようになった。
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by soundofmusic | 2015-02-13 00:30 | 日記 | Comments(0)

黒の試走車<テストカー> Vol.96

d0000025_10382024.jpg日時:2015年03月07日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート(渋谷区円山町28-8第18宮廷マンション1階奥つきあたり)
地図
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:籠/あずまきょういち/チバ/森山兄
ゲスト:木内(Hour Musik)/ヒジカタ(スランキーサイド)

☆「黒の試走車<テストカー>」は、毎月第1土曜日に開催される、踊る前から踊り疲れているひとのためのイヴェントです。ラウンジの名の下に、ロック、ジャズ、ソウル、ラテン、邦楽、フレンチ、サントラ、モンド、電子音楽などをデタラメ、かつ控えめ(音量が)にお届けしています。

会場のメスカリートは、渋谷、道玄坂をのぼりきった先、マンションの1階つきあたり奥にあるスペース。全身にぬるま湯のように浸透する絶妙な反響効果で、何を聴いても自宅の3割増しでいい印象を受けることができる不思議な音楽空間です。未知の音楽との出会いに、既知の音楽との再会に。軽い舞踏に。気のおけない会話に。酩酊に。密会に。ぜひ一度遊びにいらしてください。

過去分のセットリストその他は、「黒の試走車<テストカー>」のmixiコミュニティにて閲覧可能です。

完全に私事(=みなさまにはどうでもいい情報)なんですが、会場であるところのメスカリートのシンクはお湯が出ないので、冬場はグラスを洗うのがめちゃくちゃヤなんですが、もうそろそろ3月あたりからは水もぬるみ始め、そんなに苦でもなくなるような予感がしています。そんなわけですのでみなさまこぞって遊びにいらしてくださいませ。ゲストDJ様の情報は確定しだい追記します。
→ゲスト様は木内さん(Hour Musik)とヒジカタさん(スランキーサイド)に決定いたしました。謹んでご報告いたします。(3/1追記)

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by soundofmusic | 2015-02-12 10:38 | 黒の試走車イヴェント情報 | Comments(0)