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黒の試走車<テストカー> Vol.102

d0000025_062538.jpg日時:2015年09月05日(土)19時~23時
会場:渋谷メスカリート(渋谷区円山町28-8第18宮廷マンション1階奥つきあたり)
地図
*建物入ってすぐ左側の自動ドアのエントランスには入らず、店舗の並んでるほうをまっすぐ進んで、つきあたりを左に曲がったいちばん奥、行き止まり部分の扉です。
料金:500円+1オーダー(500円~)
DJ:あずまきょういち/チバ/森山兄
ゲスト:まにあ氏(EX.はやかわ)
限りなく欠席:籠

☆「黒の試走車<テストカー>」は、毎月第1土曜日に開催される、踊る前から踊り疲れているひとのためのイヴェントです。ラウンジの名の下に、ロック、ジャズ、ソウル、ラテン、邦楽、フレンチ、サントラ、モンド、電子音楽などをデタラメ、かつ控えめ(音量が)にお届けしています。

会場のメスカリートは、渋谷、道玄坂をのぼりきった先、マンションの1階つきあたり奥にあるスペース。全身にぬるま湯のように浸透する絶妙な反響効果で、何を聴いても自宅の3割増しでいい印象を受けることができる不思議な音楽空間です。未知の音楽との出会いに、既知の音楽との再会に。軽い舞踏に。気のおけない会話に。酩酊に。密会に。ぜひ一度遊びにいらしてください。

ついにみなさま待望の102回目! 半端! ゲストには、先月に引き続いてまにあ氏(EX.はやかわ)をお迎えします。同じひとが2か月連続でゲストとして登場するのはもしかしたら当イヴェント初の事態かも。お見逃しなく。

過去分のセットリストその他は、「黒の試走車<テストカー>」のmixiコミュニティにて閲覧可能です。

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by soundofmusic | 2015-08-28 00:06 | 黒の試走車イヴェント情報 | Comments(0)

月曜日、武蔵野、バラカン

d0000025_1312050.jpg1991年の夏、同級生のHくんの引っ越しの手伝いをした。彼もわたしも大学1年生で、だからその春に地方から上京して住み始めたばかりの部屋を移るのには時期が早すぎるのだけど、最初に入った恋ヶ窪のアパートには風呂がなくて、銭湯まで自転車で行かなくてはいけないのがイヤになったのだと言っていた(と思う)。

どういう風に引っ越しをしたのか(業者を頼んだんだっけか、それとも誰かが車を運転したんだっけ?)とか、どの程度手伝いをしたのかとかはすっかり忘れてしまったけれど、恋ヶ窪から移った先はひとつ隣の鷹の台で、ひと仕事終えたわたしたち(同級生2、3人が駆り出されたんだったと思う)は鷹の台の駅のそばで、Hくんのおごりで(たしか)かつ丼を食べた。かつ丼を食べたのはわたしだけだったかもしれない。帰り際、Hくんは店のひとを呼びながら(たしか)「おあいそお願いします」と言った。

18歳のわたしにとって「おあいそ」は、知ってはいても自分では使わないし使えない言葉だったから、当時けっこう驚いた記憶がある。ちなみに水のことを「お冷や」と言えるようになったのもたぶん30歳を過ぎてからだ。さらに言えば、いまだに飲食店のひとに向かって「大将」「女将」などと呼びかけたことはないと思うし、今後もあるかどうかあやしい。

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まあ以上のことはどうでもよくて、昨日、あれから24年ぶりに鷹の台の駅で降りて、玉川上水沿いをぶらぶら歩いてムサビの美術館に行ってきました。目的は「ポピュラー音楽の世紀 中村とうようコレクションでたどる20世紀大衆音楽のダイナミズム」。わたしの家からだと交通が不便なところだけど、無料なのがすばらしい。展示内容は、とうようさん(と書くのがいちばんしっくり来るのでそう書きます、別に知り合いでもなんでもないけど)が集めた楽器、蓄音機、レコード。楽器は弦楽器と親指ピアノ(前回なんかやったときは打楽器がたくさんあったそうですが)。レコードは、ジャズとかロックとかはミュージック・マガジンに置いてあるそうで、それ以外のもの、つまりざっくり言ってワールド系とその周辺が中心。

レコードや楽器がただ並んでいるのを見て面白いのか? と考えるのはたしかにごく普通の反応で、そういえばフィルムセンターでこのあいだまでやっていた展示「シネマブックの秘かな愉しみ」のときも、行くまでは、読めない状態で本が並んでいるのを見ても意味がないのでは? と半信半疑、いや三信七疑くらいの気持ちで足を運んで、でも実際見てみたらとてもわくわくさせられる企画だった。

で、このとうようさんのやつ、実際に音を聴ける機会がけっこう設けられてて、リクエスト・タイムには展示されているレコードやCDからリクエストしてかけてもらうことができるし、それ以外の時間帯にはとうようさんのラジオ番組が流れたり、会場に置いてあるスラック・ギターや親指ピアノは試奏できる。親指ピアノはとうようさんが晩年にはまっていた楽器だそうで、ちょっと試してみたけどこれは楽しい。

弦楽器はアジア~中東~ヨーロッパ~南北アメリカの、ギター系列のものがずらり。ウード(アラビア琵琶)を間近で凝視できたのが嬉しかった。昨年パリに行ったとき、サン・ミシェル橋の南側の細道(観光客しかいないようなとこ)で、道端でウードを弾いてる男がいて、歩きながら耳だけ向けて通り過ぎちゃったんだけど、考えてみたら今後、ウードの生演奏を聴く機会がそうそうあるとは思えない。もっときちんと聴いておけばよかった。

レコードは、欧米以外のものがいろいろあるのがいかにもとうようさんらしい。自分は常々、自分の音楽観はとうようさんの間接的な影響下にあると思ってきたけど、それはたとえばジャズの見方がややそうなだけで、いわゆるワールド系のものは全然聴いてもいないから、影響されていると言うのもおこがましい話だなと気付かされた。とはいえとくに反省はしてない。ルイ・ジョーダン、カルメン・ミランダ、各種のジャイヴ、みんなとうようさんから教わったようなもんだ。つまり2015年となっては当たり前の、ロックやモダン・ジャズ中心の教条主義的な聴き方から少しでも離れることができているとしたら、それはとうようさんのおかげ。それにしても出品物でいちばん驚いたのは、ビートルズのSP盤なんてものがあったこと(インド盤)。

蓄音機類もただ飾られているだけではなくて、実際にデモンストレーション演奏されたのを聴くことができた。最初に馬鹿でかいディスクを使う方式のオルゴール、次にエディソンの蝋管蓄音機、最後に朝顔型蓄音機。いずれも電気を一切使わない完全アコースティック再生。蓄音機っていうと、手回し式ですぐに回転数が落ちて、ノイズの向こうからうっすらと音楽が聞こえてくる……なんてイメージを持っていましたが、蝋管で聴いた、バンジョーをフィーチュアしたバンドの録音の、音の表現力とディテールの豊かさには驚かされました。初期の録音は電気を使っておらず、でかい集音ラッパの前にバンドが立って(いちばん下の写真の様子がそれ)集めた音を、そのまま盤や蝋管に刻んだものですからね! 当然、個々の楽器のバランス調整とかミックスなど存在すべくもなく。いまから見るとプリミティヴですけど、音を集めて溝に刻んで閉じ込めるって、ものすごい先端技術ですよね。先日、レコード・プレイヤーを買うときに、レコード針の仕組みを調べたけど、難しくてわからなかったし。朝顔型蓄音機で流されたのはパティ・ペイジの「アイ・ウォント・トゥ・ビー・ア・カウボーイズ・スウィートハート」。これは録音は電化後だけど、朝顔から出てくる音楽のすばらしいスウィング感に興奮。蓄音機が欲しくなる。

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さて、この企画はわりあい頻繁にトークがおこなわれていて、昨日は、ピーター・バラカンと田中勝則(モデレーター)による、「アメリカ南部のブルースから西アフリカ~サハラ砂漠のブルースまで」。併設された図書館のホール、座席は100~150のところ、倍くらいの人数が入ってた。ボヤボヤしてたら立ち見になってしまい、ホールのいちばん後ろから見た。

内容は、とうようさん旧蔵の巨大な蓄音機(これも電気不使用)で、やはりとうようさんコレクションのブルーズのSP盤を聴きながら、バラカンさんの若いころのイギリスのブルース受容の話をたまわるというもの。ホールのいちばん遠くまできちんと音楽が聞こえてくる、ということは、目の前にあったら相当な爆音だろうな。どうやって増幅するんだろう。

流されたのは、レッドベリー、シスター・ロゼッタ・サープ、ライトニン・ホプキンス、オーティス・ラッシュ、マディ・ウォーターズ、リトル・ウォルター、エルモア・ジェイムズ、ミード・ルクス・ルイス、ギター・スリム、ルイ・ジョーダン。曲名に興味のある方はお問い合わせください。バラカンさん、ブルースを「ブルーズ」、レッドベリーは「レッベリ」と発音なさっておられた。

わたしがブルースにほとんど無知だからというのもあるけど、興味深い話が満載。ほかのお客さんもわりと熱心にメモをとってた。なるほどと思ったのは、イギリスのスキッフル・ブームについての「70年代のパンク・ロックと同じような影響があった。聴いた連中はみんなギターを買ってバンドを始めた」みたいな発言。英国ロックの歴史をかじると、必ずロニー・ドネガンの「ロック・アイランド・ライン」(オリジナルはレッベリ)のヒットに端を発するスキッフルの話が出てくる。わたしはこの曲を面白いと感じたことがなくて、歴史的なニュアンスをつかみかねていた。そういう疑問が氷解する瞬間というのは、あるもんなんだな。あと笑ったのが、チェス・レコードの話。チェス兄弟はもともと酒の販売をする業者で、酒を売るためにクラブをオープン→クラブには生演奏が必要→当時シカゴに集まってきていたブルーズ奏者たちを起用→自分たちでレコード製造を開始、という流れだったそう。

目からウロコの連続だったけど、ずっと立ち見はしんどいので、後半のアフリカ音楽の話はパスして前半のブルーズのところが終わった時点で退出。それでも充分すぎるほど実りある1日だった。この展示自体は16日(日)までやってます。これから最終日までのあいだはもうイヴェントは予定されてないので通常の展示のみになるけど、お時間あるひとは行ってみてはいかがでしょうか。歩いて10分くらいのところには天然温泉の入浴施設もあって、ここも寄ったけど、気持ちよかったです。
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by soundofmusic | 2015-08-11 13:13 | 日記 | Comments(0)