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夕暮れの(たぶん)ルー・ドナルドソン

バトンの件。

すばやく答えたほうがいいだろう、とさっさと書いたけど、音楽とどんなふうにつきあってきたかを振り返るには、いい機会だったかも。人間、未来については実はそれほど想像力は働かないんじゃないか、そのかわり、過去のことはいつまででも際限なく思い出し続けることができるんじゃないか……。

これは別にバトンとは関係なく、昨日の「めざましテレビ」に出ていた華原朋美(馬に乗って登場!)を見ての感想。当時の自分を振り返って、「あの状況に置かれたら、自分のことを幸せだと思わない人はいないんじゃないかと思う」と断言。実にいい表情。

ファースト・アルバム『LOVE BRACE』は当時としてはもう、大名盤。とくに「summer visit」は、今でも覚えているひとなら誰もが、名曲と認定するはず。だからといって、あわてて買いに行ったりする必要はないけれど。

今では考えられないかもしれないけど、初期のPPFNPではこの曲もかかったことがある(!)。

* * *

ところで、子供のころの記憶。実家には60~70年代のロックやジャズのレコードがたくさんあって、などということは全然ない。たぶん森山の兄弟が後年、ロック学習癖を身につけたのは、子供のころ、そういうバタくさい音楽にほぼまったく触れなかったからだと推測できる。

保育園への送り迎えの母の車で聴いたのが、夕方のある時間、CRT栃木放送(AMラジオ)でジングルとして使われていた、インストの「オーヴァー・ザ・レインボウ」。

やけにとろりとしたアレンジのそれを聴くと、一日がゆっくりと終っていく気分になって、眠気を誘われたものだ。今でも使われているなんてことはまずないはずだけど、90年ごろまでは同じそれを聴いていた記憶がある。

あれはルー・ドナルドソンのヴァージョン(名盤『エヴリシング・アイ・プレイ・イズ・ファンキー』収録)ではなかったか、と、半年くらい前、ふと思い当たった。何年も前に買ったこのアルバム、我が家のコテコテ・コレクションの古顔だけど、初めて聴いた時にはとくに何も感じなかったし、そもそも、本当にルーさんのヴァージョンだったかも、今では確認不能。

ていうか、CRTっていうとアレ思い出しますね。そう、コレじゃなくって、アレね。

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こういった話はいくらでもいじくり回せる。たとえば、「ソウル・ジャズとの出会いはまだ子供のころ。夕方のカー・レディオから流れてきたルー・ドナルドソンのサックスの響き、メルヴィン・スパークスのトレモロがぼくの体にゆっくりとしみわたっていったのだった」だとかね。そういう、文字通り劇的な自己演出はうさんくさい。極力避けるに限る。

ただ、パトンの話に戻ると、こうしたゲーム自体を否定する気になれないのは、やっぱり音楽の話は自分でするのも聞くのも好きだから。どんな音楽も聴き手なしでは意味がないことを考えると、音楽をめぐることばとは、レコードを回すターンテーブルみたいな意味を持つのじゃないかと思う。

参加しないのも、もちろん見識なんだけど、ひとの書いたものは、けっこう楽しんで読むんでしょ? だったら、自分でも書きましょうよ、ねぇ? いつも話が通じるとは限らないし、「こいつに話したってムダだ」と感じることが増えているのも事実だけど(もしかして、みなさんも?)、「話せば分かる」って、けっこう好きなことば。知り合いから「音楽の話をしませんか?」と訊かれて、断る理由は、少なくともぼくには、ひとつもなかった(その割に、適当に答えちゃったけど)。

(森山)
by soundofmusic | 2005-06-24 13:56 | 日記


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