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思わぬ方向に進ぬ!

気がつくと引っ越しまであと半月しかなくって、とにかく本とCDとレコードの整理にうなされているような具合。売らないで新居に運んでいく分も当然あるので、それを入れるためにも、と思って、ディスクユニオンやらに段ボールを送るように頼んでいるのだが、レコードを売りたい、と言うと、やたらと警戒されてしまう。

いわく、「最近の買い取りはコーティング・ジャケのヨーロッパものなどに移行しており」「ロックに関しては60~80年代の国内盤は帯つきでもないかぎり値段がつきません」。あれれ、今、そういう風になっちゃってるの? もちろん、「ジャズやロックの英米盤が中心です」って言って、段ボール箱、送ってくれるよう頼んでますけどね。ユニオンのひと、許してね☆

現在の住まいを解約しに行ったら、その場で半自動的に引っ越しの見積もりをさせられた。出された紙に家具の種類や個数を書いて、その後、業者のひとと電話でちょっと会話。「あのー、森山さん。この、段ボールの数が“ひゃく”ってなってるんですけど……」

いろいろ合計したら、そのぐらい行くんじゃない? 現に今、売り飛ばす予定のCDを詰めた箱が、台所に、背の高さくらいまで積み上げてあるけれど、それでたった10箱、1000枚だし。

* * *

いちいち聴き直しているヒマがないので、1枚あたり2、3秒で、ぱっと眺めて、いるものといらないものとを分別していく。今回の「おことば」は、そんな作業の中で発掘された、3・ムスタファズ・3のCD『ショッピング』で掲げられていた、彼らのキャッチ・フレーズ。

3・ムスタファズ・3っていっても、知ってるひとには懐かしく、知らないひとにはなんのこっちゃな名前のはず。80年代末期の、パリ発のワールド・ミュージック・ブームなるもの、90年代的なロックのリスナーには非常にうさんくさいものに感じられたのだったが、むしろ今では、そのコンセプトも音楽も、なじみやすいという段階を一気に通り越して、陳腐なものに見えるかもしれない。

今でこそ知られるようになったけれども、90年代の半ば、初めてパリに行ったときは、黒人が多いのにとにかくびっくりして(誰もそんなこと教えてくれなかったから)、で、ああなるほど、と、ワールド・ミュージックがパリを発火点にして広がったことに合点が行ったのだったか、行かなかったのだったか。

バルカン半島のシェゲレリ村出身という触れ込みの3・ムスタファズ・3は、実はイギリスのプログレ・バンド、キャメルのメンバーが関わっていたりして、由緒正しくうさんくさい来歴。ぼくが初めて見た外タレのライヴは彼らで、たしか88年か89年の夏、場所は渋谷のクアトロ。お盆のころだったが、すぐ近くで、トレンチ・コートのようなものを着た女のひとが激しく踊り狂っていたのに圧倒されたことを今でも覚えている。

そのときのクアトロはたしか2デイズで、ぼくが見たのは2日目。初日には細野晴臣やあがた森魚が来た、とあとで雑誌(「オン・ステージ」!)で読んで、少し悔しく思ったのだった。細野晴臣の『オムニ・サイトシーイング』とか、あがた森魚のバンド、雷蔵(すごい名前)とかも、そのうち、また脚光を浴びることがあるのかなとも思う。

そんなこんなで思い出にひたっていると部屋の片付けは遅々として進まないけれど、それにしても、「あらゆる方向に進め!」とは、いい言葉。PPFNPのキャッチ・フレーズとして、半永久的に借用したいくらいだ。

(森山)
by soundofmusic | 2005-10-03 03:01 | 日記


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