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サーヴィス兄弟

川島雄三「特急にっぽん」を見た。というか、また見た。あるいは、4回目くらいかも。この作品、川島ファンの間ではあまり評価が高くないとも聞き、まあいわんとすることは分からんでもないんだけど、これがいちばんサーヴィスがいいんじゃないのか。あまりに鉄壁のプログラム・ピクチュアだから、伝統的名画主義者の人々にも、古い邦画をサブカル的に見るひとたちにもウケが悪い、ということなのかもしれない。

ところが、わたしは、どうやら、この映画の、その、プログラム・ピクチュア的な部分というか、作家性のなさというか、主張の希薄な部分というか、手を変え品を変えな感じというか、そのあたりが気に入っているみたいで、とはいうものの、やはり最近見た、ヴェンダースの「ランド・オブ・プレンティ」なんかだと、やむにやまれず撮ってしまった、みたいな、まるで周りが見えていないところがいとおしかったりもするから、こういうことは、一般的な法則があってどうこうということでは、必ずしも、ない。

ただ、現時点で、一般論としてぎりぎり引き出せそうなのは、作品にはおよそどんなものでも、作り手の側に属する部分と、社会とかジャンルとか歴史とかに属する部分があるということ。どんなものでも、どちらかの側面しか持たないということはありえない。「オレたちの音楽はオレたちというジャンルで、他のなににも似ていない」などと言われてしまうと、ちょいとイラっとしてしまう。

このごろはだいぶ、作品は作り手によって完全にコントロール可能、という考え方の方が支持されているけど、その無邪気さはほんとうに不思議だと思うし、品がないとも思う。だからこそ、後期の川島のサーヴィス精神はとても貴重なものに感じられる。あー、また「とんかつ一代」が見たいなあ。などとひとりごちてみる。

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夜。「真剣10代しゃべり場」を見る。ゲストは魚喃キリコ。あまりかわいくない女子が、モテたいのにモテない、との相談をしていた。どうやらその子の相談は、正確には、「現状のまま、自分ではなにひとつ変えずに、周りにチヤホヤしてほしい」とでも表現されるべきもののようで、そりゃあ難しいよね。元からかわいいひとはいいだろうけどサ。

魚喃もゆってたとおり、笑顔を心がけているだけでもだいぶ違うはずで、そりゃ、最初のうちは、「ブスは笑うな、キモい」とかののしられるかもしらんけど、笑顔のパワーって案外バカにしたもんでもないんじゃないかなあ。そのうち、きっと、ね。

その流れで、上池袋606スタジオ(わたしんち)でも急遽、夜半から、真剣20代&30代しゃべり場が開催されてしまった。さすがに遅い時間まではしんどい。おかげで、今日、寝過ごしてしまったよ。

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以下、小ネタです。といっても大ネタがあったためしなぞないのですが。

gsminekさんのところで知った、「ふい字」。いい年こいた男がかわいいかわいい言うのもどうかとは思うが、かわいいフォントです。さっそく拾ってきて使っております。

ボンゴさん情報。ルー・リードの写真集が出るらしい。おっと、ルー・リードが被写体になった写真ではなくって、ルー・リードが撮った写真を集めた本だよ。タイトルは「ルー・リードのニューヨーク」!

トムズ・キャビンの招聘でジャネット・クライン&ハー・パーラー・ボーイズがまた来るらしい。あいにくと彼女の音楽にはさほど興味が持てないのだけど、今回はなんと、パーラー・ボーイズの一員、イアン・ウィットコムのソロ公演が予定されている。4月16日(日)、下北沢ラ・カーニャ。万難を排して駆け付けなくてはね。

明日の日曜日は、渋谷エッジエンドにてPPFNPa.k.a.森山兄弟のサーヴィス・デイです。みなさま、お忘れなくお越し下さい。

(森山)
by soundofmusic | 2006-01-28 16:18 | 日記


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