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声に出して読みたい日本映画

声に出して読みたい日本映画_d0000025_16271072.jpgラピュタ阿佐ヶ谷で千葉泰樹の「河のほとりで」を再見して、褪色しまくったプリントにげんなりしつつ、いかにも石坂洋次郎的なセリフのセンスにクラクラしてきました。前から言ってることだけど、戦後日本の思想家のひとりとして石坂を再検討するとおもしろいと思う。思ったことをへんに持って回らずストレートにぶつけあい、それでいてそれを人格への攻撃だととらえたりは決してしない人間関係のありようは、わたしにとってむずがゆい理想郷であり続けている。

いろいろいいセリフがあったのだけど、あらかた忘れてしまった。ひとつだけ覚えているのは、これは初見時から気に入っていたもので、岩場で全裸になった星百合子が水着で焼け残った白い肌を指して発する、「この白い部分が文明であり教養であり常識なのね」とかいうもの。しびれる。

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新文芸坐では、仲代達矢特集で勅使河原宏「他人の顔」を。原作と脚本が安部公房。これも全篇、いかにも安部公房的なセリフと論理展開のうねりが満載で、安部公房の頭のなかを覗き込んでいる印象。最初のほうに義手ならぬ義指が出てきて、「これは指ではない。指の形をした劣等感だ」とか、もう、かつての愛読者としてはキタキター! という感じ。おもしろいかっていうと、まあ普通。

それで思い出したのは、シェイクスピアの芝居を見た田舎者が、「このひとはハァー、ことわざだけで芝居を作っちまって偉いもんだなィ」とか感想を漏らしたという小噺。もちろん、その逆です。

超エンタテインメント作品である「方舟さくら丸」なんかも、映画で見てみたい気がひしひしします。ついでにいうと、安部の作品以外でも、北杜夫の「楡家の人びと」(ドラマにはなってたと思うけど)とか、筒井康隆「虚航船団」とか、小林信彦「ぼくたちの好きな戦争」とか、映画で見たい日本文学、たくさんあるけどね。日本もそうだろうけどハリウッドなんてとくに映画の原作が不足してて、みんな鵜の目鷹の目で探しているっていうけど、ほんとなんだろうか。

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たびたびお伝えしております、徳本直之+鎌田綾監督の「しあわせ」情報。ちょうど昨日今日あたりに、ロッテルダム国際映画祭で上映されているようです。映画祭のホームページでの紹介はこちら

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早いもので、今度の土曜日、31日は今年最初のPPFNPです。楽しいおまけができています。こぞってお越しくださいませ。景気づけに、愉快に踊れるような曲を多めにしようかなと思っています。

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by soundofmusic | 2009-01-25 16:26 | 日記


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