1 ![]() ミトがここで語っていることをざっとまとめると、長年やってきていろんな状況をかんがみるに、ボカロとかアニソン方面で若い才能が台頭してきて、もういままでの自分たちのやり方では通用しなくなったので、意識的に変わることにした、とくに原田郁子の詞に徹底的にダメ出しをした、って感じになると思うんですが。 言葉の調子が強いのでなんとなく説得されてしまいそうになるんだけど、なんか必要のない危機感を持ってるように思えてならない。いちばんイヤなのは全体的に余裕がなくなっていることで、この余裕のなさは、純粋に音楽的なものというよりもかなり経済的なものが要因としてあるんじゃないだろうか(根拠はないけど)。デビューして15年っていえば中堅というかヴェテラン級で、でも2年に1枚アルバム出せば悠々と食っていけるってほどの売れ方では全然なくて、でもまさかもう工事現場のバイトするわけにもいかないし……って、そういうポジション。 ミトの言う、自立的にバンドを運営していく重要性、みたいな部分はかなりの程度、正しいのでしょう。でも、ボカロPのひとたちの「<設定厨>の極み」みたいな歌詞を高く評価するっていうのはなんか的外れのような気がする。そっちのが現代っぽい、っていうんならそりゃそうなんでしょうが、だったらミトさんが言ってるのは、クラムボンを現代化してガンガン売っていくぜ! っていう、セル・アウト宣言にすぎなくないですか? ここ半世紀くらいのバンド史的なものをざっと振り返ってみるに、とても同じひとたちとは思えないほど音楽性や雰囲気やルックスが変化したバンドっていくらでもあったでしょう。その変化の理由は、自発的なものだったり、外部のプロデューサーによるものだったりさまざまですが、変わっていくバンドってのは、いちいち能書きなんぞ垂れずに、どんどん変化していくものなんじゃないんだろうか。 あと、この件については、ボブ・ディランが出てきたときにキャロル・キングとジェリー・ゴフィンが(どっちか片方だったかもしれない)、いままでやってきた自分(たち)の仕事が急に恥ずかしくなって、レコード叩き割ったっていう(たぶん多少盛り気味の)逸話を思い出した。こういう焦りってほんとにバカバカしい。ディランの「風に吹かれて」とゴフィン=キングの「ウィル・ユー・スティル・ラヴ・ミー・トゥモロウ」とどっちが哲学的で深みがあるかなんて、一概には言えないし、そもそもそんなこと気にする必要はないのに。 --- ついでだから話を続けますが、ちょっと前にミスチルの映画が限定公開されてました(見てない)。見てないけど、話を聞いた限りだと、アルバム録音→トゥアー、というルーティーンに疑問を感じたミスチルさんがおこなったある試みが記録された映画らしい。 その試みというのが、アルバム発売前に、ファン・クラブ会員のみを対象にしてライヴ・ハウス・トゥアーをするというんだけど、どう考えてもぬるいよなあという感想しか出てこない。ミスチル規模のバンドがライヴ・ハウス・トゥアーをしたら、瞬時にソールド・アウトするに違いないし、来るのはファン・クラブ会員だけなんだから基本的には賛辞しか聞こえてこないでしょう。 やるべきなのは、完全に匿名でそこらのライヴ・ハウスに出演するとか、幼稚園ないしは老人ホームで演奏するとか、もしくは駅でバスキングするとか、そういうことなんじゃないのかな。それくらいは、わたしに言われなくてもミスチルさんもわかってるだろうけど、なかなか実行に移すのは難しいんでしょうね。お察しします。 --- とはいっても実際、いままでの自分の殻を破るのはたいへんなわけで、ですからサーストン・ムーアと離婚してソニック・ユースを解散させた(のが彼女なのかどうかはわかんないけど)キム・ゴードンの決断は相当なものだったろうなと思うわけです。もっとも、ソニック・ユースっていうのも普通のバンドとはだいぶ違いますからね。じゃあ普通のバンドって一体なんなんだよ、って話になっちゃうけど。 なにが言いたいかっていうと、キム・ゴードンの自伝「Girl in a Band」、邦訳のタイトルはどうなるのかなって気になってるって話。たぶん原題(のカタカナ表記)+キム・ゴードン自伝、みたいな具合になると思うんだけど、AもTheもつかないこのタイトル、どんな日本語にしたらしっくりくるだろうか。「バンドをやってたあの子」とかかな。 最後にクイズです。クラムボン、ミスチル、ソニック・ユースのうち、わたしがライヴを見たことのないバンドはどれでしょう? ▲
by soundofmusic
| 2015-03-27 08:32
| 日記
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![]() 10年たった今年、クアトロではなくビルボード・ライヴにダーティ・ダズン・ブラス・バンドを見に行きました。その前日ではなく1週間前にもビルボード・ライヴに行きまして、ただし見たのはダン・ヒックスではなくてリチャード・トンプソン。 --- リチャード・トンプソンを見るのはここ20年弱で4回目。ただし過去3回はすべてアコースティックだったので、今回初めてRTのエレキを生で聴くことができました。彼のアコ・ギは強靭なリズムを内にかかえたもので、それ自体にまったくなんの不満もないのではありますが、エレキはやはりすさまじかった。1曲目の途中で、隣の客が感極まったように、「すごいね」と話しかけてきました。ふとそちらを見ると、弟が座っていました(たまたまではなく、一緒に行ったので)。 ライヴに行く前には予習がてら、RTのソロや、フェアポート・コンヴェンションにいたころのアルバムを何枚か聴いていました。おおざっぱに言ってここ10年くらい、アメリカ音楽を薄ーく勉強するような聴き方をしていますが、わたしはもともとはカントゥリーなんぞは聴かないヒトでして、英国フォークにどっぷりひたった数年間がありました。 いまにして思えば、その数年間よりもはるかに長いその後の現在が10年くらい続いているわけですが、三つ子の魂百までというか昔取った杵柄というか、やっぱりこっちのがしっくりくる、と感じますし、ひさしぶりに『リージ&リーフ』なんぞ聴くと、おそらくはザ・バンドに触発された若者たちが、おそろしく短期間で米語から英語への翻訳をなしとげたことに驚きもします。 そういった軽~い予習のあとに聴いたRTのエレキは、思いのほかロックンロールの影響が強くて、いやもちろん知ってはいましたよ、知ってはいましたがそれにしても、それを頭ではなく耳で理解したのは今回初めてだったかもしれません。同じような感想を持ったひともいたんじゃないだろうか。なんだかんだ言っても、実物を見て初めてわかることはあるなあという話。 --- DDBBを見るのはたぶん通算3回目。前回見たときは、ニューオリンズ訛りのMCがほぼ聞き取れませんでしたが、彼らもそれに気付いたのでしょう、今回は、「ルイズィアーナ!」「ニューオリンズ!」といった、とくにこちらが内容を理解する必要のないフレーズを連発することで客席のヒート・アップを試みていました(半ば成功、半ば失敗といったところ)。 オーネット・コールマンとジェイムズ・ブラウンと三田村管打団?を同時に思い起こさせるような音楽はなかなかないわけです。聴きながら、JBのカヴァーとかやらないんだっけ、と思っていたら最後のほうでJBっぽいフレーズが出てきてびっくりしました。そして、個々のプレイヤーの技量が際立っていなくてもいくらでも楽しくなれるのが「バンド」なんだよなあと気付かせてもくれました。 めちゃくちゃ愉快なステージでしたが、ただ、見ながら別のことを考えてもいて、というのは、ももクロとラッツ&スターのブラック・フェイス問題についてです。経緯はこちらとかをご覧ください。まあほんとにこれは一言ではなんともいえない「問題」でして、そういう書き方をするからにはつまり現在のわたしは、もっとやれとも今すぐやめろとも言うことができずに口ごもってしまうのですが、このことについてわたし自身あるいは誰かがどういう立場をとるかということとは別にして、この日のDDBBが、自らの黒人性を戯画化して見せているようにもわたしには見えてしまったのでした。それが正しいかどうかはわかりません。たぶんわたしの思い過ごしでしょう。ではたとえば、アート・アンサンブル・オヴ・シカゴはどうなのか。 もちろん、ニューオリンズの音楽、あるいはもっと幅広くジャズ一般が、アメリカの黒人の歴史や文化(当然、そこには奴隷制度や差別を含みます)と比較的濃厚に結びついている音楽であることを疑おうという気は毛頭ありませんし、個人的には、そうしたことについて知識を得たいと思っています。と同時に、たとえばイクラの語源を知らずにイクラをうまいうまいと言って食うひとに対して、なにか説教しようとは思いませんし、「黒人」や「ブラック・ミュージック」と書いたり言ったりするときに、その前に「いわゆる」をつけなくてはいけないとしたら窮屈だとも感じます。 長くなりそうなので強引にまとめにかかります。 日本のポピュラー音楽の少なくない部分は、ブラック・フェイス的側面を持っていると思います。という表現が性急かつ乱暴だというのなら、もっと乱暴な言い方をしましょうか。このフレーズの「ブラック」を、「ホワイト」と入れ替えることすらできる国が、日本なのです。シャネルズの黒塗りが差別だというのなら、ソウル・ミュージックを露悪的に日本語環境に移植し続けているOnly Love Hurts(面影ラッキーホール)は、黒人音楽文化に対する侮辱にはあたらないのでしょうか? 大和田氏が(この件については、という留保つきでも)「日本の文脈は成立しない」と言うのは氏の知見としてもっともなのですが、個人的には、度の強いメガネをかけて、首からかけたカメラでパチリパチリやりながら、繰り返し繰り返し、「そこをなんとか」とへいこらへいこらし続けるような図々しさの側に立ちたい気が、若干、します。 ▲
by soundofmusic
| 2015-03-11 17:06
| 日記
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![]() 会場:渋谷メスカリート(渋谷区円山町28-8第18宮廷マンション1階奥つきあたり) 地図。 料金:500円+1オーダー(500円~) DJ:籠/あずまきょういち/チバ/森山兄 ゲスト:調整中 ☆「黒の試走車<テストカー>」は、毎月第1土曜日に開催される、踊る前から踊り疲れているひとのためのイヴェントです。ラウンジの名の下に、ロック、ジャズ、ソウル、ラテン、邦楽、フレンチ、サントラ、モンド、電子音楽などをデタラメ、かつ控えめ(音量が)にお届けしています。 会場のメスカリートは、渋谷、道玄坂をのぼりきった先、マンションの1階つきあたり奥にあるスペース。全身にぬるま湯のように浸透する絶妙な反響効果で、何を聴いても自宅の3割増しでいい印象を受けることができる不思議な音楽空間です。未知の音楽との出会いに、既知の音楽との再会に。軽い舞踏に。気のおけない会話に。酩酊に。密会に。ぜひ一度遊びにいらしてください。 お越しくださっているみなさまにおかれましては割とどうでもいい(しかも、すでに終了した)情報ではあるものの、当イヴェントはたしか2007年3月にスタートした気がしておりまして、ということは3月で丸8年だったわけです。せっかくなのでお祝い的なことをすればよかったですね。このままのペースで開催が続けば、本年7月でめでたく通算100回に到達です。それまでの4月5月6月と、とくになんのアニヴァーサリーでもない中途半端な回が続きますが、それはそれとして、ご都合の許す限り毎回遊びに来ていただけたら、と思います。 過去分のセットリストその他は、「黒の試走車<テストカー>」のmixiコミュニティにて閲覧可能です。 ![]() ▲
by soundofmusic
| 2015-03-10 14:35
| 黒の試走車イヴェント情報
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![]() 2015年04月11日(土)18時~22時 □ 渋谷エッジエンド(Tel:03-5458-6385) 地図。 ■ 800円(1ドリンク&おみやげ付き) □ DJ: なっちゃん Hotwaxx 森山弟(弟) 森山兄(兄、サウンド・オヴ・ミュージック) Hotwaxx……1978年、福井県生まれ。たまの夜にDJをやっているサラリーマン。三茶のDJバーST.PAXにてニューウェイブでディスコなごった煮選曲パーティRAW DISCOを不定期に開催。 ■ ライヴ:森田崇允(Vo/G.Gt)X Ko2rock(A.Sax/S.Sax) ○森田 崇允(モリタ タカマサ) ・Guitarist・Vocalist・Composer・Lyricist 世界各地の様々な様式の音楽に影響を受け、独自の感性でミックスした色鮮やかな楽曲に、日本人の庶民的な日常を言葉躍らせ唄う。 ギタリストとして多種多様なアーティストと共演し会得した奏法を、独自の解釈で伝統的かつ斬新に昇華した弾き語りを母体に、様々な楽器奏者とセッションすることで、無国籍でグルーヴィーな空間を提供。 都内を中心にライブハウス、クラブ、飲食店、野外ステージなど各地で精力的にライブ活動を行い、2014年3月には日比谷野外大音楽堂のステージも経験。 趣味はラーメン屋巡り 森田崇允ブログ ○Ko2rock(ココロック) Kokoro+Rock=ko2rock! ロックンロールの真最中なSax吹き。 (ex.Strings Club) いろんなトコでちょいちょいSax吹いてます。Blues 40% R&R 40% Swing 20%くらいの下品な音色で吹き散らかしてます。PUNKが好きらしいよ。 ブログ □ 早いもので、今年2回目、通算105回目のPPFNPとなります。ゲストDJ2名とライヴひと組をお迎えし、春らしくにぎやかに開催いたします。DJはいずれも初登場となるなっちゃんさんとHotwaxxさん。ライヴはギター/ヴォーカルの森田さんとサックスのKo2rockのデュオ。 いつもどおり、いい曲率高めのおまけCDも配布される予定。もろもろ含めてご期待ください。 ちなみに、いままでの弊イヴェントのセットリストはこんな感じです。どうぞご参考になさってくださいませ。 ▲
by soundofmusic
| 2015-03-10 13:49
| PPFNPイヴェント情報
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